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移住:南紀白浜の課題と思えるもの4:ブランディング(の迷走)

2023年12月に和歌山県白浜町(南紀白浜)に移住しました。数ヶ月経ってみて感じている「町の課題」を書いてみます。課題解決に向けて微力ながら動いていきたいと思っています。非常に個人的感想/見解です。

1, 和歌山県のブランディング

木の国」が転じて「紀伊国」になった、と。

名称の由来として、雨が多く森林が生い茂っている様相から「木国」と命名された、という説がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/紀伊国

今でも山林、森林が多く、林業も盛ん。移住誘致も熱心。海岸線に山がせまっている場所も多いので、少し移動すると景色が変化して楽しめます。

一方では
「水の国、わかやま。」という打ち出しも。

和歌山県は(中略)実は、豊かな森に恵まれた土地だからこそ、その水に育まれた清らかな「水」にまつわる観光スポットも多く存在しています。和歌山県では「水の国、わかやま。」と題し、知る人ぞ知る観光スポット巡りを推進中。

温泉の国、わかやま」というコピーも使われています。火山が無いのに温泉地があちこちにあるというのが特徴。紀伊半島の成り立ちとして、海洋プレートが地中深く沈むことにより、プレートに含まれた海水が熱せられて、地下水と混じって地表に湧き出ているのだそうです。

結果として「色々なことを言っているけど、自然が豊かという以上のことを訴求出来ていない」感じではあります。自然が豊か(開発されていない)地域は日本中にあって、みんなそれをアピールポイントにしている訳で。

2, 熊野古道周辺地区のブランディング

ここ十数年で注目度が上がっている地域で、「聖地」「巡礼」「神話」「歴史」「参詣道」「霊場」「世界遺産」と魅力的なキーワードが並びます。いくつもの市や町にまたがって熊野古道は広がっているので、場所やルートによって地形も景色も由来も異なります。場所は離れていますが、高野山周辺と絡ませて「霊場」訴求は行われる場合も。

海外からの観光客にも人気ですが、彼らが抱くイメージは、そういう精神的なもの以外に「トレッキング」というものも。

聖地リゾート」というブランディングもありますが、ちょっとしっくり来ないですね・・・

熊野古道はとにかく関連情報の発信量が多くて、「物語」も多いので、国内向けにはさらに工夫の余地がありそうですね。

3, 南紀白浜のブランディング

「白浜」という地名は日本全国にあって、有名どころは「伊豆白浜

南房総白浜」など

それらとの混同を避ける為に「南紀+白浜」という通称がブランディングに使用されています。「紀伊半島の南に位置する」という意味ですが、それがなんとなく「南国イメージ」と都合よく誤解されて、宮崎県などと同様に「国内で南国の雰囲気が楽しめる場所」というブランディングにもなっているのだと思います。

まぁ、海外旅行がまだ難しかった時代に有効だったブランディングですかね。

本当の南の島に似せて椰子の木や棕櫚の木を植えたり、デザートとしてオレンジを提供したり(?)、海外から持ってきた白い砂で砂浜を作ったり、マリンスポーツを体験出来たり。昔からちょっとずつやってきた仕掛けがうまく積み重なって、南国ブランディングは関西方面の都市部の人達に刺さったのでしょう。
南国だから開放的な気分になって遊んでもいい」というのも大事な要素だったのかもしれません。飲めや歌え踊れ、脱げ。各ホテルにはお抱えバンドがいて、お客さんの歌やダンスの伴奏を生バンドが務めていたという話も聞きます。

都会のカフェやバーでもインテリアを南国風にしたり、「トロピカル・カクテル」を提供したり、BGMもそれっぽいものを流したりと、エセ南国イメージは重宝されましたね。

で、実際にハワイだのタヒチだのバリ島だのの本当の「南国リゾート」に遊びに行ける時代を経て、あらためてこの「南国イメージ」を見てみると・・・
実態は「古くからの温泉地にハリボテを被せただけ」というのも見えてきます。実際には一年通して天候が良い訳でもないし、カラッと乾燥している訳でもないし、年中泳げる訳でもないし。夏真っ盛り以外に水着で町をうろつくと浮いてしまう。

今後はこの「南国」ブランディングからの脱却、次のブランディング構築が課題になっていると思います。

3, 今後の南紀白浜のブランディング

ここがまさにこれからの議論になる訳ですが、ブランディングが必要というのは
・域外からの人モノ金の流入を確保したい
・域外にモノやサービスを売りたい
場合ということですよね。

今では日本中で「インバウンド観光客の誘致」「富裕層観光客の誘致」やら「移住者の誘致」「資本投下の誘導」「補助金の誘導」「名産品の拡売」などの競争が激化していて、これまでは地域内で閉じたマーケットだけを考えていればよかったのに、そうもいかなくなって、地名ブランディングがより重要になっていますね。

これまでは「観光(リゾート地、温泉地)」軸だけでのブランディングでやってきた南紀白浜も、されにそれを強化(アップデート)しつつ、他の側面も合わせたブランディングが必要な時代になっています。

以前のコラムで課題として取り上げた「地域キャラクター展開」「PR施策」などもこのブランディングの要素ですね。

南紀白浜以外の周辺地区のブランディングも大事ですね。周遊の誘致をしたい訳なので。これについては別項で書きます。


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