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読書感想文『#ハッシュタグストーリー』麻布競馬場・柿原朋哉・カツセマサヒコ・木爾チレン
1作家につき1作品のショートストーリー。みぞおちでママレードをかき混ぜているような、苦いような甘いような、それでいてなんとなくフィニッシュは心地よい香りのする青春体験。
多くの人が共感できるであろう、若き日に刻まれた暖かくて大切な感覚、大人になっても自分を支えている宝物のような何か、といったものがそれぞれの作家のフィルターを通して描かれている。
『#ハッシュタグストーリー』というタイトル、帯の
読書感想文 『令和元年の人生ゲーム』 麻布競馬場 著
女性が書いてるんじゃないかと思うほど柔らかで可愛らしさすら感じる文体。短い文章の中にこれでもかと散りばめられるみずみずしい比喩表現はくどさを感じることなくスッと入ってくる。私が何度真似しようとしてもできなかった麻布競馬場らしさは、一段落140字の枠の外に出ても相変わらず健在である。いやむしろパワーアップしている。
著者のデビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』ではZ世代あるいはそれに
読書感想文 『つけびの村』 高橋ユキ著 (小学館文庫)
これがノンフィクションなの!?まるでテレ朝のサスペンスドラマ、あるいはテレビゲーム『サイレントヒル』の世界に入っていくような、違和感と狂気が隙間から漏れ出す集落の描写。冒頭から一気に惹きつけられました。
古い集落のおぞましい風習に狂わされた人々の末路だとか、猟奇事件の謎解きミステリーだとか、いろいろな展開を勝手にイメージしましたが、それらは大間違いでした。本作はセンセーショナルな事件を通じて、人