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【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】現代的観点におけるパターナリズムと共通善に関する「超克の超克」
田代剛士
起稿:2023年10月15日
私は本稿でパターナリズムを問題にする。課題意識としては、社会的父権主義の有効性と社会内存在という位相における個人の不満感との兼ね合いである。
さて、このような事柄というのは個別具体的な事象から考えるべき問題であるから、そのような方針をとる。まず、ここに一人の病識のない精神病患者がいるとしよう。そうした場合、その個人のためにもほとんどの他人のためにも、
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】時間、空間、あるいは季節感
大島昴
※注意書き※
この寄稿文は私が哲学思想研究会とは別にメンバーとして活動している同人ゲーム制作サークル、「セイランソフト(Twitter:@SEIRANSOFT)」のCi-enというサイトに記事として書いたものを加筆修正したものになります。個人的な宣伝になってしまい申し訳ありませんが、今回の内容をさらに詳細にまとめた補足記事などもそちらに掲載する予定なので、興味があればぜひともそちらもご覧
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】(無題)
犬のやっているところの学問を、我々にもやらせてくれとは言わないから、我々のやっているところのこの学問も、他の何にやらせてみたならば面白いか。などということは言わないでおこう。ではないか。
言ってはならぬとは言わないが言ってみても構わない。とのばかりのナントカ理性を、文学部ということの当て付けに意地っ張りとして発揮させることも、本当はもう飽きているのではないだろうか。本当ならば。
何が純粋であ
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】三社祭の思い出
私がふと思い立って、三社祭へ行くことに決めたのは、その最終日である五月二十一日の前日、二十日の夜のことであった。
ちょうどその時私はいつもの如く布団の上で重い学術書を引っ張り出し、傍らにボールペンとノートを広げて読書会のメモを作っていたが、三、四十分程も作業を続けていると集中力も切れてきて、本を開いてもその文章ではなくて、ページの隅の方に小さくついた滴の痕であったり、古本で買ったものだから所々
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】正義論序説 無限遡行に抗って
うそく斎
「正しさ」について突き詰めてみると、無限遡行に陥らないだろうか。Aが正しいという根拠はB、Bが正しいという根拠はC、Cが正しいという根拠は…
多くの人間がとる行為はこれだろう。「ダメななものはダメ、良いものは良い」と遡行をうち止めるか、それを問う行為自体を否定する。つまり、自らの説く「正しさ」の根拠を答えられないのだ。
ではこう返すほかないだろう。「私が正しいと判断した。だからこうする
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】正拳突き&おっさんはかく語りき
正拳突き 本書は出来るようになるという感覚を掴む練習である。人間が人間を超えてしまおうとしている狭間にいる我々は今までとは違った物とカップリングした成長の仕方を学ぶ必要があると言わざるを得ない。飯の食べ方ぐらい根本的なスキルを新たに学ばなくてはいけないほどの逼迫性に駆られたらでいい。
格闘ゲームを事例として扱っていく。私はゲーム好きであるし、歪なカップリングであるからものの例えにはちょうどいい。
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】デカルトの哲学を自然学中心に整理する
孤山老人
まえおき
本稿は授業のレポートを加筆修正したものである。実を言うと、もともと小説を投稿する予定なのが準備不足なため5日前に授業レポートを加筆して掲載する運びとなった。また、学部一年生という未熟な身ゆえ「調べ学習」の域を超えないものとなったが、寛容な目で見て頂きたい。加筆修正をした関係上内容的に本筋から外れてしまうこともあるが、この冊子が無償または低額で配布されること、そしてこの冊子は
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】(無題)
霜月
両腕を上げ、指先までぴんと伸ばすその動きを合図に、私たちは楽器を構える。
全神経を集中させ、何もかもが永遠に眠ってしまったその瞬間に私たちだけが息をするのを許される。
7分間だけの物語。
小学生の頃の私は、音楽に対して特に強い思いがあったわけではない。幼馴染の香織と一緒になんとなくで音楽クラブに入ったため完全にお遊び感覚で、月に2、3回の放課後練習と発表会の少し前から週に1回昼休み練
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】万物の根源の無限性について
「世界を構成する最小単位は何か」という問題は、多くの自然哲学者の興味であり、これまで多くのアイデアが生み出されてきた。例えば、タレスはそれを水、アナクシメネスは空気、デモクリトスは原子と主張した。また、現代物理学ではそれを素粒子に認めている。
基本的に彼らの主張は、一部の例外を除き、物質的な世界における万物の根源についてである。したがって、万物の根源は、それ自身も物質的なものでなくてはならないだ
【2023年度哲学思想研究会部誌収録文章】とある実在の視点紹介
一.始めに
今回、哲学思想研究会の冊子作製にあたり、文章を作成する機会を頂けたこと嬉しく思います。第一締め切り六日前にやっと何を書こうか考え始め、まずは私が取り組んでいる思想について現在の思索進捗をまとめようと思いました。しかしながら、冊子が一般に広く公開されるということや、語れる範囲の限界などもあり、今回は代わりに私が取り組んでいる思想の出発点や根底となる基礎的な視点らしきものを、専門用語等