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虹色ドリーミング

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アイドルとは、夢とは、恋とは、虹とは、そしてアイドルのライブとは。 それらを文章化した意欲作(長編)
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記事一覧

虹色ドリーミング(第23回)

虹色ドリーミング(第23回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

舞台の下からでも、お客さんがたくさんいるのが分かる。完売だから3000人はいるかな。ステージ背面に大きなスクリーンがあって、その映像は舞台下からでもモニタリングできるようになっている。今は私たちのMVが流れている。
≪夢のレールが続いていく≫
≪ファイナルアタックとどめの一撃≫
≪さあ走り出そう 君となら≫
≪火と火がぶつかりあって≫
≪Say Hello

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虹色ドリーミング(第22回)

虹色ドリーミング(第22回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【大畑真紀(旧姓 永橋)】
今日は私たちの結婚式と披露パーティーに来てくれてどうもありがとう。
地味婚ブームだから、2人で「入籍だけしようね」って話してたんだけど、ニジドリメンバーが「結婚式に出てみたい」って言うので、メンバーと身内、それと2人の友人を呼んで、式とパーティーをすることにしたの。
彼の仕事はイベントの総合プロデュース。当面は共働き。

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虹色ドリーミング(第21回)

虹色ドリーミング(第21回)

#創作大賞2024
#↑お仕事小説部門

【トラウト@ゆりぽん酢】
俺、よく食べる子が好きなんだよね。でも食べ方が汚いのはダメ。きれいに、かつ美味しそうに食べる子。ギャル曽根とかもえあずとか。そしてユリポン。
訓練が仕事の俺より食べるんじゃないかな。でもやせてる。やせの大食い。どういう仕組みになってるんだろう。本人は胃下垂気味だって言ってたけど。
もえあずもアイドルと兼業してるから、ユリポンも大食

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虹色ドリーミング(第20回)

虹色ドリーミング(第20回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【ココD@リナチーズ】
最初に見た時、彼女は物販で手持ち無沙汰な感じで立っていました。次に見た時は、物販中に他のグループのオタクにフライヤーを配っていました。
リナチーのチェキ列に並んだのは3回目からです。まだ方言が抜け切っていなくて
「上京して1人でがんばっているんだな、応援してあげたいな」と思いました。
アニメ好きだっていうので、共通の話題を

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虹色ドリーミング(第19回)

虹色ドリーミング(第19回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【カレン】
テレビ番組で、お客さんを入れてのスタジオライブをやることになった。
収録後の楽屋でユキが言った。
「ねえ、放送日にみんなで集まって観ようよ」
「それいいね、タコパとかしてさ」
「わたし、餃子パーティーがいいなぁ」
「誰の家にする?」
キョウカの家は8人家族、ユキはお父さんと2人暮らし、ユリポンは姉妹3人暮らし、アオイ様のとこは実家。一

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虹色ドリーミング(第18回)

虹色ドリーミング(第18回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

写真集の撮影も無事終わって最終日の夜、みんなで打ち上げをした後、尚さんに誘われて二人でバーへ行った。
「はい、おつかれさま。乾杯」
「乾杯、尚さんありがとうございました」 「どういたしまして、カレンちゃんと仕事がしたいと思ってたからさ」
「えっ、なんか、ありがとうございます」
「さっきからありがとうしか言ってないよ」
「えっ……あ、すみません、こういうと

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虹色ドリーミング(第17回)

虹色ドリーミング(第17回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

第三章『毒薬とハイパーダイナマイトありがとう』

【アオイ】
マドモアゼル。サ・ヌ・フェ・リアン。全て大丈夫だった。
機内食は迷った挙句、全てチキンにした。
パリでは、英語とフランス語がペラペラの日本人が通訳についてくれた。
ライブも日本語でOKだった。
みんなニジドリの動画を観て、予習してくれていた。ただ、本場の「Tiger Fire Cyber…………」

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虹色ドリーミング(第16回)

虹色ドリーミング(第16回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【ラジオ@最杏チーム】
実を言うとこのイベントには攻略法がある。
去年のマレーシアのJAPAN EXPO出場権争奪イベントでのことだ。
カカシは『プレモニー』のオタクとして、イーグルは『ミストレス』のオタクとして参加したのだが、お互いに「あっちには負けたかもしれない」と思ったそうだ。他のオタクの数は50人程度の中で、二つは100人ずつでいい勝負だったらしい。

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虹色ドリーミング(第14回)

虹色ドリーミング(第14回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【安達杏花(オレンジ)】
「本日は私、安達杏花の生誕祭にお集まりいただきありがとうございます」
事前に販売した300枚のピクチャーチケットも無事完売できて本日に至る。ちなみに、私と有希は4月から大学生やってる。私は今日で19歳。
ソロはこの日のためにオレンジのドレスを新調した。
「それでは聴いてください。君の知らない物語」
この曲にした理由は好き

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虹色ドリーミング(第12回)

虹色ドリーミング(第12回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【アオイ】
さあ、次はあたしたちの出番だ。円陣を組んでミオタンがいつものかけ声。
「ニジドリ行くよー!」
『おー!』
SEが流れると、手拍子の大きさでドリーマーの数が分かる。今日は小さめの箱だけど、まずまずかな。前のグループがあたためてくれたから、出ると他のグループのオタクも手拍子してくれていた。よし。
1曲目がシークレットラブ、2曲目が虹の彼方へ。虹の彼方

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虹色ドリーミング(第13回)

虹色ドリーミング(第13回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【天野澪(水色)】
「ねえ、イーグルは今回のリリイベ来られる?」
「今度はどこどこでやるの?」
「えーと、東京以外だと仙台と浜松と名古屋」
「うん、じゃあ全部行くね」
「やったぁ!待ってるね」
良かった。オタクさんの「行けたら行く」は信用出来ないけど、イーグルの「全部行く」はホントに全通してくれるから。まあ、イーグル、カカシ、ココD、ラジオ、トラウトは基

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虹色ドリーミング(第15回)

虹色ドリーミング(第15回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【高梨敬太郎】
やっとここまで来ることができた。SMILESの時からだから5年か。
きっかけはアオイのイメチェンだったかもしれない。あそこからテレビ、新曲、そして女性客やツーステ勢の新規が来てくれるようになった。異なる層も集めないと頭打ちになる世界だから。
カカシくんが
「ニジドリは7人、7色の虹で完全体」というのは、ある意味で合っている。しかし

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虹色ドリーミング(第11回)

虹色ドリーミング(第11回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【イーグル@ミオタンメン】
カカシのことは、CLEAN時代から知っています。彼は東京のトップオタでしたから。自分は横浜を推していました。特にリーダーのカエデ推しで、よく新宿ブラックノーズでワンマンやっていたので、静岡から通いましたね。
カエデの卒業ワンマンで、カエデから言われました。
「次のリーダーのマユのことお願いね」
それでTIFを干して、厚木の炎天下の

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虹色ドリーミング(第十回)

虹色ドリーミング(第十回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【寺嶋あおい(青色)】
川本綾香が死んだ日、あたし寺嶋あおいも一緒に死んだ。綾香は高校の、いや世界でたった一人の友達だった。ショートの金髪とビアスと笑顔がよく似合う子だった。彼女はロックアイドル、特にアイナが大好きでいつもカラオケでBaSHの曲ばかり歌っていたから、あたしも自然と全部覚えてしまった。『星が瞬く夜に』を10回連続でやったライブは、BaSHメ

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