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記事一覧

侵略者

僕たちはこの星に生まれ

この星で生きてきた

だが突然現れた侵略者たち

僕たちは逃げ惑い

暗い穴の中へと逃れた

彼らは我が物顔でこの星を支配した

そして時は流れた

僕たちは力を貯め

侵略者たちを倒す為の刃を磨ぐ

父や母の命を奪い

僕たちを暗い穴の奥へと追いやった

残虐な侵略者たちを倒し

地上をこの手に取り戻し

日の当たる場所に再び立つ為に

僕たちモグラが立ち上がる日は近い

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超能力

私、予知能力があるんです

それから

瞬間移動も出来ちゃうんです

凄い?

それがちっとも凄くないんです

なぜかって?

予知能力って言っても

予知できるのは1秒後なんです

だから何にも出来ない

あなた今、なあんだって思ったでしょ?

それも私、1秒前から解ってました

これくらいが関の山です

だから

瞬間移動も大体察しがつくでしょう?

その通りです

あなたの読心術の方が

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合鍵

夜遅くに帰宅した

家の者は寝静まっている

合鍵を取りだし鍵穴へ

うん?

鍵が開かない

閑静な住宅街

似たような一戸建てが並んでいる

家を間違えたのか

俺は自宅を確認した

確かに俺の家だ

暫く留守にしていた間に

妻が鍵を変えたと言うのか

いやそんな筈はない

俺に断りもなしに

妻がそんな事をするわけがない

俺はもう一度鍵を確認しようと

ポケットに手を入れた

無い

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こっちの世界

あなたは目を閉じる

その時

あなたの目の前の世界は

どうなってると思う?

まさか

目を開けている時に

見ていた世界が

そのままあると思ってない?

それはあなたの勝手な思い込み

あなたが目を閉じている間

あなたの目の前にあった世界は消えるの

そしてそこには

私たちの世界が広がるの

でもそれは

決してあなたには見る事が出来ない

あなた一人の力ではね

見てみたい?

一つ

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ローリングストーン

小さな石が転がった

コロコロコロコロ転がって

少しだけ大きな石にぶつかった

今度はその少しだけ大きな石が

コロコロコロコロ転がり始めた

そして少しだけ大きな石は

もう少しだけ大きな石にぶつかった

もう少しだけ大きな石も

コロコロコロコロ転がった

そんな事を繰り返して

転がる石はずいぶんと大きくなった

ずいぶんと大きくなった石は

もう少し大きな星にぶつかって

今度はその星が

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会わせる顔がない

亭主「いやー、会わせる顔がない」

女房「当たり前さ。煙みたいにあっちの女、こっちの女とフラフラして」

亭主「もうどこへも行かないから」

女房「行かないんじゃなくて行けないんだろ?」

亭主「だから謝ってるじゃないか」

女房「会わせる顔がないんだろ」

亭主「ああ、顔がない」

女房「そりゃそうだろ。死んで火葬場で焼かれたんだから顔なんてないだろ」

亭主「確かに顔はない。でももうこの骨壺か

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勝負

侍A「抜け!」

侍B「おぬしこそ抜け!」

侍A「いやいやおぬしこそ」

侍B「いーやおぬしの方こそ」

侍A「どうあっても抜かぬのか?」

侍B「おぬしこそ抜かぬのか?」

侍A「いや、抜いてもよいが・・・」

侍B「あいや、待たれよ」

侍A「何じゃおぬし。抜けと言ったり待てと言ったり。いったいどっちじゃ?」

侍B「じゃあ抜かないで」

侍A「分かった。じゃあ抜かない」

侍B「ありがとう

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会話

A「最近調子どう?」

B「いやぁ、ちょぼちょぼで」

A「もっとシャキッと飛ばせよ。俺みたいに」

B「凄い飛距離ですね」

A「ああ、俺は飛ばしに命を賭けてる」

B「方向性も良いですね」

A「もっと飛ばせるぞ」

B「うわぁ、そんなに離れて」

A「後ろの壁まで離れたぞ。ほらほらほら」

B「ちょ、ちょっと離れすぎですよ」

A「そうか」

B「もう少し便器に近づいて下さいよ。あーあ、こん

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殺人あるある

人を殺したときによくやる事ってありますよね

私の場合は

血が固まっちゃう前によくふき取るとか

あっ、これは自分の家での場合ね

私、こう見えてもきれい好きですから

でも他人ん家ではあんまりやらない

他人ん家の場合は

指紋を入念にふき取ること

それからアリバイ工作とかよくやりますよね

友人に電話で

「土曜日の夜十時ごろ、うん、またちょっと殺しちゃったもんで」

すると友人が

「え

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思い出高速1号線

ここは思い出高速1号線

この道を走ると

様々な思い出に出会う事が出来る

駆け抜けた赤いスポーツカー

運転席には若き日の俺

助手席には名も知らぬ女

いくつもの光を追い越し

スポーツカーは闇に消えた

今度は黒いセダン

運転席の俺は

ダークスーツに身をつつみ

助手席の女の肩に手を回している

カーステレオからは

懐かしいあの曲

あんなに愛していたのに

名前さえ思い出せない

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お釣り

店員「1万円お預かりします」

客「・・・」

店員「どうもありがとうございました」

客「って、おいお釣りは」

店員「えっ、いるんですか?」

客「いるに決まってんだろ」

店員「たったの9500円ですよ」

客「たったのじゃねーよ!」

店員「ちっ」

客「ちって何だよ!」

店員「ほら9500円」

客「何だよその態度は」

店員「お釣り渡したんだから帰って。商売の邪魔だから」

客「この

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出会い系

出会い系ってありますよね

それで今度

tomadoネットプロデュースの

出会い系老人ホームを

オープンしました

「へーい彼女、わしと一緒にリハビリしない?」

とか

「昆布茶飲みに行こうよ」

とか

「わしと飲み薬の比べっこしよう」

なんて言葉が飛び交う

ファンキーな老人ホームです

「やっべ、心臓止まるかと思った」

なんて事は言わないで下さいね

本当に心臓止まりそうなんです

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ハロウィーン 地球最後の日

我々はパンツアナ星人

地球を征服するため

地球へと向かっている

我々の作戦は

ハロウィーンの行列に

本物のゾンビを紛れ込ませる

そうすれば馬鹿な地球人は

すべてゾンビとなるだろう

えっ?

そのたくさんのゾンビたちを

どうするのかって

それは・・・

その時になって考えるさ

ガクン

おっと

宇宙船が進路を変更したようだが

地球に近づいたのかな

おや?

操縦室に誰もい

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生まれ変わり

A「ごめん下さい」

B「はい、何でしょう?」

A「こちら鬼瓦権三衛門さんのお宅でしょうか?」

B「権三衛門は私の父ですが?」

A「実は私、権三衛門さんの生まれ変わりなんです」

B「父さんの生まれ変わり・・・」

A「息子よ」

B「父さん?」

A「わしの貯金通帳を持って来なさい」

B「貯金通帳?」

C「おーい、お客さんか?」

B「父さんの生まれ変わりだって」

C「わしの生まれ変

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