【DAY.37】新潟発着!2ヶ月で、公務員がバイクで全国周る旅日記
この記事、連載は...
民間から中途で新潟県庁に入った公務員が、4年で退職するその前に、有休消化で全国をバイクで回る、という、ノープランな企画です。予約なし、フィーリングファースト。
7:30、福島県 郡山市の快活CLUBにて起床。
日記を書こうとするも、読みかけの銀河英雄伝説の続きが気になってなかなか進まない。
快活CLUBは誘惑が多い。
9:00出発。
しばらく走ると、岳温泉の看板が出てきて、引き寄せられるように左に曲がってみた。
日本百名山のひとつ、安達太良山が眼前に迫る。
今回泊まった快活CLUBには無料シャワーがなく、風呂に入りたかったというのもあるが、ここ岳温泉は思い出の場所なのだ。
岳温泉を訪れたのは、ちょうど8年前、2011年のGWの話だ。
東日本大震災の全容が徐々に明らかになってきて、津波と地震による被害もさることながら、原発事故の話が世間を賑わせていたころかと思う。
ちょうどその2週間ほど前、連日流れる震災関連のニュースを見て、いてもたってもいられなくなり、福島で会社の同期が担当していた保育園のガレキ撤去を手伝いに行き、その後、石巻まで海岸沿いをバイクで走った。
現実離れした光景に、心底ショックを受けた。
で、なぜGWに岳温泉に来たかと言えば、当時入り浸っていたバーの常連さんのご実家が岳温泉にあったからだ。
ここも、ご多分に漏れず少子高齢化が進み、加えて原発事故の風評被害も重なり、毎年開催している桜祭りをなんとか盛り上げたいとのことで、そのバーのマスターと常連さんたちのバンドが祭りのステージで演奏することになった。
当時私は沖縄の楽器、三線にどハマりしており、会社で三線部なるものを立ち上げ、その部長をやっていた。
我々三線部もぜひ参加したい、ということで、有志を募り、デカいレンタルのハイエースを私が運転し、これも知り合いづてでお呼びしたプロのマジシャンと、白いハトを新宿でピック、バンドメンバーも合流して岳温泉へ向かったのだ。
途中、急ハンドルや急ブレーキを切ると、マジックで使うハトが暴れてかわいそうなので、慎重に運転した記憶がある。
で、たぶん人生で初めて、知らない観客の前で演奏を披露する機会をいただいた。
小さなステージで、ヘタクソな演奏とはいえ、人前で演奏し、拍手をもらうというのは最高の気分だ。
他にもバンドが来ていたが、一番ウケていたのは、圧倒的にマジックだった。
ハト、どっから出てくるんだあれ。
桜は満開、地元の人たちも含め、大いに盛り上がった祭りだった。
この写真はその時撮影してもらった一枚である。
ひとつ、ショックを受けた出来事があった。
夜、地元の人たちもいる居酒屋で、バンドメンバーとマジシャンたちと飲んでいたら、地元の人たちに、物珍しくて遊びに来たんか?こっちが大変な時に、物見遊山気分か?ちょっとキレ気味に聞かれた。
丁寧に趣旨を説明して理解してもらい、そのあとはいっしょに仲良く飲んだのだが、私が新潟出身と言った時、言われたひと言は今も忘れられない。
「俺らの仲間がよ、新潟に行ったら、福島ナンバーだからって、ガソリンスタンドで給油断られたってよ」
いくらなんでもそんなひどい話があるか?
いや、でも、新潟出身の私は、閉鎖的な県民性を考えるとそういうやつがいてもおかしくないかもしれない、とも思った。
すごく申し訳ない思いと、悔しい思いでいっぱいになったのをよく覚えている。
今日は、桜は散ってしまっていたが、ここに来ることを決めて、改めて8年前のことを思い出せて本当によかった。
前置きが長くなりまくったが、目当ての温泉へ。
日帰り可能な温泉はいくつかあるが、地元の人も使う共同浴場である岳の湯に。
安いのももちろん魅力だが、客目線ではなく、地元の人たちと同じ目線で風呂に入れるというのが一番良い。
続いて、岳温泉に呼んでくれた知人のご実家、本多屋さんへ。
まだオープンまでには時間があったので、隣のお店で一服させてもらうことに。
地元なまりのおばあちゃんとのトークが楽しい。
日本一周の話をしたらすごく驚いていた。
相模原や茨城ではあまり感じなかったが、東北の言葉を聞くと、なんとなくホッとする。
コーヒーを飲んでいたら、お孫さんに、テーブル使っていいですよ、と言われた。
可愛らしいこの女の子は、聞けばまだ4歳とのこと。
この気遣い、ただ者ではない。
またしてもよい出会いをもらい、幸せな気分になった。
で、いよいよ本多屋さんもオープン、おそばをいただく。
このあたりは薬味に大根おろしを入れるのだが、これがなかなか美味いのだ。
知人のお姉さんにもお会いできた。
8年前にもお会いした記憶がうっすら...。
腹も満たされ、11:30出発。
途中、福島県庁が近くにあったので、記念写真を。
真新しい建物だが、震災の影響などもあるのだろうか。
そして、再度6号線まで戻ってきたが、やはり、このまま宮城に抜けてしまう気にはどうしてもなれなくて、昨日とは逆側から、行けるところまで逆戻りしてみることに。
先ほどの電光掲示板ではあと35km。
往復70km。
絶対に、無駄ではないはず。
途中、大量の残土らしきものを発見。
南下し、浪江町に入るとすぐ、ナミエボウルという名の廃業したボウリング場があった。
荒廃した感じが物悲しさを煽る。
ここが限界。
対応してくれた警官の方はすごく丁寧な対応で、写真もどうぞとのこと。
お疲れ様です、という一言しか思いつかなかった。
Uターンしてほんの数メートルのところに、トラクターで畑を耕すおじさんがいた。
ほんの数メートルで帰宅困難区域。
何と言っていいか分からないが、今日この日、自分の目で見たことは忘れないようにしよう。
Uターンし北上、15:30、宮城県入国。
6号沿いを走っていると、海側がきれいに何もなかったり、妙に新しい家がポコポコ建ってたり、色々考えることもあってなかなかテンションも上がり切らないのだが、ひとまず前へ。
道が走りやすいのも、震災があってのことなのだろうか。
そして、思い出の地、名取市で、8年前の記憶に、無事出会えた。
ここ、名取市の下増田小学校で、コロコロコミックとちゃおの合同サイン会を実施したのは、2011年8月27日。
当時私は28歳。
入社6年目で、いっぱしの仕事ができると勘違いしていた、鼻息の荒かった頃だ。
長くなるので細かい経緯は省くが、社内外のアゲインストな意見を乗り越え、この被災した小学校と、名取市内の3箇所の仮設住宅で、コロコロコミック、ちゃおのサイン会を実施することができた。
今では、すっかり校舎もきれいになり、すぐにはピンとこなかったが、学校の入口に立つと、隣を流れる川も含め、記憶がありありと蘇ってきた。
そして、サイン会を実施した体育館は8年前のままだった。
あの時参加してくれた小学生たちも、考えてみれば、もう選挙権を持つくらいの歳だ。
あのサイン会を覚えている子がいたら、ぜひいっしょに酒でも酌み交わしたいものだ。
役所にいてもったいないと思ったのが、若手の職員でこういう仕事ができるチャンスがほとんどないということ。
もちろん、災害対応はあるが、基本的にはマニュアルなり指揮系統がある。
最前線で地域課題に直面しながらも、なかなか自分の思いを形にするような機会はない。
そういう機会を作りたくて、色々なイベントに関わり、主催してきた。
久しぶりに、そのきっかけとなった場所に立ち寄れて、本当によかった。
そのきっかけとなった、被災したイオンモール名取も懐かしい。
GWだからか、満車状態だった。
あの時泊まったルートインも。
過去の記憶と、自分の活動の原点に出会えたところで、再び北上。
18:30、富谷市の知人宅に到着。
この方、元々は新潟県内で地域おこし協力隊をやっていて、その時の知り合いなのだが、半年前にこの富谷市に移住してきて、私の旅を知り、ぜひうちを使ってくれとのありがたい打診をいただいた。
持つべきものはよき友である。
早速夕食を食べに近くの利久に行くも、GW効果か満席。
コストコで食材を仕入れ、家で食べることに。
人生初コストコを、この旅で経験するとは思わなかった。
中に入って、圧倒的なスケールにビビる。
巨大なテレビが売っていた。
スケールもさることながら、匂いが異国。
今さらながら、海外旅行も良かったかなぁ、とちょっと思う。
ロティサリーチキン、鶏一匹丸ごとで699円。
安すぎる...。
ちなみに、買い物中に車で待ってる間、お漏らししたやんちゃボウズがいたとかいないとか...。
家に帰って、早速実食!
ジューシーで美味い!!
この後、富谷市の職員の方が合流して、ワインとともに熱い話で盛り上がる...が、案の定、さっぱり覚えていない。
というわけで、快適な寝室で就寝...。
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