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THE TECHNOLOGY NOTE

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THE TECHNOLOGY REPORTは、テクノロジーの風向きへの感覚を言語化・体系化していくことで、手段先行に陥ったり、進むべき方向を見失わないようにするためのコンパスを作… もっと読む
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THE TECHNOLOGY REPORT Issue:03 "Creativity" 特別インタビュー:馬田隆明/東京大学 FoundX ディレクター

THE TECHNOLOGY REPORT Issue:03 "Creativity" 特別インタビュー:馬田隆明/東京大学 FoundX ディレクター

「技術」は、社会を変えてきました。
わたしたちが実現したい未来を描くとき、おそらく、そこにはあたらしい「技術」が共にあるはずです。その「技術」は、どのように進化を遂げているのでしょう。「技術」を社会に実装する際、視点はどこに置くべきか。ティンカリングの重要性やランダムの価値にも触れながら、数多くのスタートアップ支援に関わってこられた東京⼤学 FoundX ディレクター⾺⽥隆明氏にお話をお伺いしまし

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枯れた技術について検討する

枯れた技術について検討する

テクノロジーの潮流を観測していると、つい最新の技術に目を奪われがちです。

しかし、最新の技術は十分な検証ができておらず安定性が今ひとつだったり、コストが高いといった問題があります。そのため、ある課題に対する解決策を考える時、そもそも最新技術をあえて採用せず、ずっと昔からある、いわば「枯れた」技術を使えば、安定性が高く、コストも削減することができることがあります。

このように、テクノロジーを利用

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スマートフォンから、なにできる?📱📡🤖

スマートフォンから、なにできる?📱📡🤖

THE TECHNOLOGY NOTEの今回のお題「枯れた技術:ヴィンテージ・テクノロジー」に沿って記事を書いています。寝かせたからこそ使いごろになっているテクノロジーのメリットは大きくは次の3つでしょうか。

・導入コストが低い:大量生産されているので安く利用することができる。
・説明コストが低い:すでに普及しているので扱える人が多い。
・費用対効果が高い:そうきたか!というびっくり感を作ること

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ヴィンテージ・テクノロジーについて考える

ヴィンテージ・テクノロジーについて考える

日々変化していくテクノロジーの潮流を観測していると、ついつい最新の技術に目を奪われがちです。やっぱり、これまでできなかったことができるようになる、というのは楽しいですし。

ただ、それぞれの分野に専門の研究者の方がいることからも分かるように、最新を追いかけ続けるのは本当に大変です。進化が早すぎて数日間情報をチェックしなかっただけで状況がガラリと変わるようなことになってくると、肝心の「これで何をしよ

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ヴィンテージテクノロジーは表現の苗床になるのか

ヴィンテージテクノロジーは表現の苗床になるのか


「新たな」レトロブームここ数年、1990年代後半から2000年代のデザインをリバイバルしたような「新しい」レトロなデザインが人気である。当時を経験した世代からのニーズだけかと思えばそうでもなく、それらを経験していない世代(つまり20代の若い世代)からも人気を博しているようだ。

K-POPの枠を超えて世界的な人気を博すグループ、NewJeansのウェブサイトも敢えて、今よりも一昔前のウェブサイト

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カセットテープからデータセンターへ : 古くて新しい磁気テープ

カセットテープからデータセンターへ : 古くて新しい磁気テープ

最初に入った会社では社内サーバーのバックアップを磁気テープにとっていた。決まった時刻になるとサーバールームに行ってテープをセットするのは新人の仕事で、自分も同期と交代でその業務を行っていた。自分が最初に覚えた仕事と言ってもいいかもしれない。

それまでコンピューター用の磁気テープを手にしたことはなかった。初めて見るその小さな磁気テープに、映画の中に出てくる巨大なコンピューターと大きな回転するオープ

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世界を形作る型

世界を形作る型

「クッキー型の型のうた」をご存じだろうか。
NHK の番組「ピタゴラスイッチ」内で放送された歌だ。誤植ではなく本当に「型の」が2回続くタイトルとなっている。

内容としてはこうだ。

まず最初にクッキー型からクッキーをたくさんつくる歌、「クッキー型のうた」が流れる。

その後、以下のようなナレーションが入る。

そこで工場でクッキー型を生産している映像と共に「クッキー型の型のうた」が流れ始めるのだ

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Flasherの逆襲

Flasherの逆襲

「Flasher」というと、日本のデジタルクリエイティブ業界の一部では、「Adobe(古くはmacromedia) flash」を使って何らかのコンテンツ・仕組みをつくる人たち、ということになる。そもそもAdobe flashすらよくわからないという読者もいるかもしれないので、Wikipediaから抜粋しておくと、

というもので、ウェブブラウザのプラグインとしてflashでつくったものを再生する

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NFTアートの熱狂が落ち着いてきた今このタイミングで読みたいSF小説📚80'sサイバーパンク🧠と90'sサイファーパンク🔑

NFTアートの熱狂が落ち着いてきた今このタイミングで読みたいSF小説📚80'sサイバーパンク🧠と90'sサイファーパンク🔑

NFTアート/クリプトアートが注目を集めはじめた2021年頃、ふと思い出したSF小説がいくつかありました。今回のTHE TECHNOROGY NOTEのお題が「NFTアート」のため、直接的にクリプト(暗号)の記述がないものも含めてメモ的に書き記します。

まずはサイバーパンクの古典『ニューロマンサー』(1984年)を産み出したウィリアム・ギブスンが、2000年代初頭に手がけた同時代を舞台にしたシリ

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NFTアートについて考えるための5つの記事

NFTアートについて考えるための5つの記事

今回は、2020年ごろから大きな話題となった技術「NFT」について考えます。NFTというコンセプトが登場して以来、トレーディングカードやゲーム、アートなど複数の分野でよく聞くようになりました。

どのようなデータも複製しやすいというデジタルデータの特性により、データ自体の唯一性・真正性が担保しづらいという課題に対し、ブロックチェーン技術を利用して取引記録を記録することによって、画像自体はコピー可能

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NFTアート再考

NFTアート再考

NFTアートについて、いまだによくわかっていない。

以前「メタバース」について書いた時もそうだったんですけど、コンセプトはすごくわかるし、もちろん面白いと思うのだけど、どうも「ノリきれなくて語りにくい」というところがあるんですよね。

自分なりに、なぜノリきれなかったのかを考えてみると、メタバースもNFTも、コロナ真っ只中の2020年末くらいに不自然なくらい急速に喧伝されるようになったのを見て、

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NFTと愛

NFTと愛

今回、この特集で記事を書くにあたり、人がどんな気分で「NFTアート」と呼ばれるものを購入するのか、というモチベーションが全然理解できていなかった。

一応こういう仕事だし新しもの好きではあるので、NFTプラットフォームでNFTを発行してみたことなどはある。しかし、アーティストの皆様など、他の人が発行したNFTを所有したことは無かったし、正直なところ所有する気にもならなかった。仕事の現場では散々NF

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紙みたいなものをつくる

紙みたいなものをつくる

子供の頃、牛乳パックから紙を作る体験をしたことはあるだろうか。
牛乳パックを数日間水に漬け込み、柔らかくなったパックを細かくちぎってミキサーにかけドロドロにし、それらをすいて乾燥させ固める。
小学生の自由研究における定番のそれは、紙なんていうありふれた道具をつくるために、ものすごい時間と労力が必要なんだという当たり前だが忘れていた事実を、改めて再認識させてくれる良い題材だと思う。

そもそも二千年

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ジェネレイティブアートとNFT

ジェネレイティブアートとNFT

ジェネレイティブアートとの出会いジェネレイティブアートという言葉を知ったのは30歳前後の頃だった。当時メーカの研究開発部署でプログラミング業務をしていた私は研究データのビジュアライズ手法について悩んでいて、そのさ中にProcessingというツールを見つけた。

Processing関連の検索をするとさまざまなデータをプログラムを書いて美しくビジュアライズするサンプルや手法に満ちていて、「プログラ

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