Dentsu Lab Tokyo

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Dentsu Lab Tokyoは、研究・企画・開発が一体となったクリエーティブのR&D組織です。 テクノロジーを起点とした新しい表現開発に取り組んでいます。是非サイトにもお越しいただき、私たちの活動を知っていただけると幸いです!→http://dentsulab.tokyo

マガジン

  • THE TECHNOLOGY NOTE

    • 49本

    THE TECHNOLOGY REPORTは、テクノロジーの風向きへの感覚を言語化・体系化していくことで、手段先行に陥ったり、進むべき方向を見失わないようにするためのコンパスを作ろう!という思いを共有するBASSDRUMとDentsu Lab Tokyoのメンバーによりはじまったプロジェクトです。

最近の記事

時間と空間を編集する新しい撮影ツール「4D NeRF」

こんにちは。Detsu Lab Tokyo のクリエーティブテクノロジストの横山です。 先日 Dentsu Lab Tokyoは、独自の R&D プロジェクトで新しい撮影ツールである「4DNeRF」のプロトタイプを九鬼、齋藤と開発しました。 また、その撮影技術を用いて日本のテクノポップバンドLAUSBUBさんのMVを制作しました。 この記事では技術開発のお話を少しだけできればと思います。 (プロトタイプ開発のリリース記事↓) (LAUSBUBさんの実際のMV、下記リンク

    • はじめまして、高梨です!

      はじめにはじめまして。Dentsu Lab Tokyo新入社員の高梨と申します。 今回のnoteでは自分の自己紹介も兼ね、自分が興味を持っているものについて紹介しようと思います! 学生時代からテクノロジー を使った表現に興味を持ち始め、日々AIやVRやwebなどを使った表現のプロトタイプや制作を行っています。特に、音楽領域や音楽ライブパフォーマンスにおけるテクノロジーの活用に興味があり、大学時代はテクノロジーを使った演奏システムなどを作っていました。 もともと幼少期からピ

      • 「そもそも」から考える、Web技術の新しい使い方

        こんにちは、Dentsu Lab Tokyo 新入社員の山岸です。 Webと聞くと、ニュース記事やコーポレートサイトなど、情報発信のためのWebページをイメージするかもしれません。 その一方で、私たちの普段使っているPCやスマホの性能が上がり、開発環境も充実するなか、Web技術を従来の用途とは異なる、新しい使い方をする活用例がジワジワと増えてきています。 この記事では、私がこれまで作ってきたものを中心に、「こんな使い方もできるかも?」という可能性について一部、紹介したいと思

        • スマートフォンから、なにできる?📱📡🤖

          THE TECHNOLOGY NOTEの今回のお題「枯れた技術:ヴィンテージ・テクノロジー」に沿って記事を書いています。寝かせたからこそ使いごろになっているテクノロジーのメリットは大きくは次の3つでしょうか。 ・導入コストが低い:大量生産されているので安く利用することができる。 ・説明コストが低い:すでに普及しているので扱える人が多い。 ・費用対効果が高い:そうきたか!というびっくり感を作ることができる。 2020年を舞台に宇宙テロを描いた小説『オービタル・クラウド』(藤

        時間と空間を編集する新しい撮影ツール「4D NeRF」

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        • THE TECHNOLOGY NOTE
          49本

        記事

          ヴィンテージ・テクノロジーについて考える

          日々変化していくテクノロジーの潮流を観測していると、ついつい最新の技術に目を奪われがちです。やっぱり、これまでできなかったことができるようになる、というのは楽しいですし。 ただ、それぞれの分野に専門の研究者の方がいることからも分かるように、最新を追いかけ続けるのは本当に大変です。進化が早すぎて数日間情報をチェックしなかっただけで状況がガラリと変わるようなことになってくると、肝心の「これで何をしようか」「どんな問題を解決しようか」ということを考える間もなく、キャッチアップする

          ヴィンテージ・テクノロジーについて考える

          NFTアート再考

          NFTアートについて、いまだによくわかっていない。 以前「メタバース」について書いた時もそうだったんですけど、コンセプトはすごくわかるし、もちろん面白いと思うのだけど、どうも「ノリきれなくて語りにくい」というところがあるんですよね。 自分なりに、なぜノリきれなかったのかを考えてみると、メタバースもNFTも、コロナ真っ只中の2020年末くらいに不自然なくらい急速に喧伝されるようになったのを見て、身構えてしまった、というところが大きい気がします。 あの時期の盛り上がりって、

          NFTアート再考

          NFTアートの熱狂が落ち着いてきた今このタイミングで読みたいSF小説📚80'sサイバーパンク🧠と90'sサイファーパンク🔑

          NFTアート/クリプトアートが注目を集めはじめた2021年頃、ふと思い出したSF小説がいくつかありました。今回のTHE TECHNOROGY NOTEのお題が「NFTアート」のため、直接的にクリプト(暗号)の記述がないものも含めてメモ的に書き記します。 まずはサイバーパンクの古典『ニューロマンサー』(1984年)を産み出したウィリアム・ギブスンが、2000年代初頭に手がけた同時代を舞台にしたシリーズ、通称 "ブルー・アント・ブックス”です。 『パターン・レコグニション』(

          NFTアートの熱狂が落ち着いてきた今このタイミングで読みたいSF小説📚80'sサイバーパンク🧠と90'sサイファーパンク🔑

          融けるロボット

          ロボットという存在について考えると、2000年以降の20年でその分野は大きく広がり、かなり身近な存在になったように思います。Sony「AIBO」、NEC「パペロ」、SoftBank Robotics「Pepper」などは一度は見たことがあるでしょう。パンデミック以降は、いわゆる非接触ソリューションとして、接客ロボットや配膳ロボットが導入されている店舗も増えていますよね。 ロボットの社会実装が進む一方、「ロボットってどんなもの?」という問いへの答えは、年々難しくなっているよう

          融けるロボット

          じつは『ターミネーター』を初めて観たので「ロボット」について改めて考えてみた

           筆者はテクノロジーと人との関係を考える仕事をしているため、余暇にはSF映画や小説をなるべくチェックするようにしています。  ただ、育った家庭の方針が "中学生以下の子どもが観ていい映画は暴力表現やベッドシーンがないものに限る"だったため、80-90年代前半に観る機会を逸したままの映画がたくさんあります。  『ターミネーター』シリーズもその一つです。  TTR編集部のnoteマガジンでは、隔週でテーマにもとづいた雑談会を実施したのち、各自が記事を書くというスタイルをと

          じつは『ターミネーター』を初めて観たので「ロボット」について改めて考えてみた

          言葉に依存しない検索は可能か?

          ChatGPTを調べ物に使うといった用途にはじまり、BingやPerplexityといった、いわゆる大規模言語モデル(LLM)を採用した対話型AIを介した検索サービスが次々に登場しています。アルゴリズムの変化など、裏側の進化に比べて、ユーザインターフェイス(UI)自体には大きな変化がなかった検索エンジンにとって、新しい対話型UIはユーザの目にも新鮮に映りました。 ただ、対話型AIを介した検索であっても、これまでの検索と同じように「言葉」に縛られてしまうという側面があります。

          言葉に依存しない検索は可能か?

          森の中でゆるふわ検索

          🌲検索アルゴリズムは人工ニューラルネットワークだけのもの?  現在の"AI"を押しすすめてきた人工ニューラルネットワークは、その名の通り、人間の脳の神経構造を模した仕組みになっています。  GPTシリーズなどで話題のLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)も、自然言語処理の分野で用いられる人工ニューラルネットワークがベースとなっています。  これらの技術によって「画像、動画、音声、テキスト」といった、すでにインターネットに載せられているものにつ

          森の中でゆるふわ検索

          "しあわせ"の技術

           サウナブームで耳にするようになった"ととのう"という言葉には、整列や整体などの乱れを直してあるべき状態にもどす「整う」と、調和や調理などの必要なものがそろって釣り合いがとれた状態になる「調う」の2つの漢字をあてることができます。  1997年に発表されたグレッグ・イーガンの『しあわせの理由』という短編には、脳腫瘍の手術の後遺症で「しあわせ」の閾値を自分でコントロールせざるを得なくなってしまった主人公が出てきます。  この小説にある問いは、"自分で調律した「しあわせ」は、

          "しあわせ"の技術

          サイバネティックスとしてのサウナ

          技術の進化と制御の欲望 人間は技術を利用して様々なものを制御してきました。例えばSpaceXのファルコン9ロケットが打ち上がったあと、ブースター部分が、まるで打ち上げ映像の逆再生のように戻ってくる様子を見てびっくりした人は多いと思います。 これは、ロケット部分が常に自分の姿勢をセンシングしながら、翼とガス噴射を利用して常に理想のポジションに少しづつ補正していくという、「フィードバック制御」という技術を利用しています。高いセンシング技術と、高い制御技術を組み合わせることによっ

          サイバネティックスとしてのサウナ

          メタバストピアを希求する

          メタバースについては、定義がいろいろあるのでまず辞書を引いてみます。 辞書にある通り、語源となっているハヤカワ文庫『スノウ・クラッシュ』の巻末の謝辞で作者のスティーブンスンは下記のように書いています。 "気に食わなかったから"。 原作が1992年なので、1987年に出版された『Human Interface Guidelines : The Apple Desktop InterfaceGUI』を参考にしたのでしょうか。 (GUIとはGraphical User Int

          メタバストピアを希求する

          メタバースの現在位置

          「メタバース」という言葉のややこしいところは、人によって微妙に定義に揺らぎがあるという点です。おそらくその原因は、「メタバース」は「技術」ではなく「概念」であること、さらにこの概念自体が特定の現象やサービスに付けられた名前ではなく、既存のSF小説からのサンプリングであるというところにあると思います。 この機会に「メタバース」という言葉が、今のような使われ方をするようになったのはいつごろからなのか、そしてここ数年なぜよく聞くようになったのか?今後どうなっていくのか。「メタバー

          メタバースの現在位置

          おしゃべり人工知能の憂鬱

          キャラクター設定が好きなロボットに「マーヴィン」がいます。1978年にBBCラジオドラマとして発表されたスラップスティックSF『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズに出てくるシリウス人工頭脳株式会社製のロボットです。 マーヴィンは、人工知能に感情を与えるためのプログラム"GPP(Genuine People Personalities):本物の人間の個性"の試作機として作られました。惑星1個ほどのサイズの脳の容量が与えられており、人間よりもはるかに高度な論理回路と、あらゆる種類

          おしゃべり人工知能の憂鬱