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たかぱん
2024年6月10日 11:42
本書を読み始めて、最初に言い様のない違和感に襲われた。目次はいいとして、最初に出会う文章が、「推薦のことば」であった。それが10頁もある。5人が寄せている。教会や保育園をつくったということで、大きな働きをした著者だということは分かる。だが、これほどの推薦文を冒頭に並べる本は、ちょっと記憶にない。 「はじめに」は「死刑囚からの手紙」であった。すでに回心した死刑囚が、著者を呼び、若い人たちに福音を
2024年6月4日 12:03
本書を探した経緯がある。簡潔にいうと、心を病む牧師についての資料はないか、という探し方をした。本当は、精神的に病んだ牧師をどう扱うか、というキリスト教的な対処が知りたかった。あるいは、牧師が心を病まないようにするためにはどうすればよいか、という観点の予防について知りたかった。 ところが、そういう本が見当たらない。かなり検索を掛けたが、なかなか引っかかってこない。アメリカにはそうした専門のカウン
2023年11月29日 12:36
これはキリスト教全体に関わるような批判の書である。キリスト教が、ギリシアやローマの文化をいかに破壊したかを示す。 もちろん、ローマ帝国の許で、キリスト教は不遇な扱いを受け続けてきた。だが、ローマ帝国自体の弱体化もあり、その他多くの事情が重なって、ついに帝国公認の宗教となる。つまり、権力者がこの宗教をメインに扱うようになったのだ。 権力を有するようになったキリスト教会が破壊をした――のかどう
2023年11月7日 11:42
礼拝の壇上で、説教者が本を紹介することがある。遠慮がちに、「よかったら読んでみてください」と口にする。パワーをもつ立場の者が、「読め」と命ずることは、圧力をかけることとなる。他方、牧師も教会からすると雇われの身であるとするなら、あまり思い切ったことは言えない面もあるだろう。それだから、「この本を……」と紹介するというのは、かなり勇気の要ることなのではないかと想像する。本当は、めちゃくちゃ読んでもら
2023年4月11日 12:02
訳あって、昨2022年の後半から、中三生の国語を担当することとなった。もちろん経験はあるが、受験生にとり、受験間際に担当者が変わるというのは、不安になるのではないかと懸念された。私の配慮は、そこに置かれた。受験生の、メンタルヘルスである。 その上で、受験のテクニックを、存分に伝えなければならない。しかしこれもまた、ここまでやってきた彼らのやり方を否定して、このようにしろ、と命ずるわけにはゆかな
2023年3月24日 10:43
アウグスティヌスの『神の国』を読み始めた。ふと、読みたくなったのだ。あまりにも高価だと手が出ないし、大きな本の塊の購入は、家族に叱られる。これは五巻あるが、文庫本である。お許しを戴こう。古いものなので、定価よりも安く手に入るものが多い。第一巻は、少し質の悪いものしか買えなかったが、読むのには何も差し支えない。 これが、なかなか面白いのだ。ドイツ観念論や現代フランス哲学と比べると、あまり深く考え
2023年1月29日 10:32
いま、たいへん気になっている本がある。『証し 日本のキリスト者』というものである。 著者はキリスト教の信徒ではない。ノンフィクション作家だ、と言ってもよいだろうか。キリスト者135人を取材し、その「証し」を集めた。教会関係者でもないし、出版社はKADOKAWAである。そこでキリスト教関係者も、あまり気づいていないように見える(もちろん紹介している人もいる)。 私は書店で実物を見、魅力を覚え
2021年12月17日 11:42
偶然の出会いだった。「聖書」というキーワードで本を探すのは日常なのだが、遊び心でそこに「村上春樹」と加えてみた。するとヒットしたのが本書だった。2013年刊。でも知らないぞ。なんだ、これは。どうせまた興味本位で、素人同然の人が思い込みで何か書いているのに違いない、と詳細を見てみると、予想は裏切られた。聖書神学舎という保守的な団体で仕事をしている人、聖学院大学という立派なミッションスクールの教授で心