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記事一覧

夏と歓声、白熱と

夏と歓声、白熱と

夏である。
なんだかんだで例年通りに終わった梅雨はオリンピックを連れてきて、日本中は賛否、歓声、メダルの数で盛り上がっている。

私の記憶が正しければ、巷で爆発的に何かが流行するのは人の脳みそが溶け始めるような季節で、世間が薄手のコートを着始める頃には脳が正常に戻るらしく、何事もなかったかのように落ち着いていく。そしてその温度差について行けない私に指を差しながらこう言うのだ。

「タピオカ?いつの

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箱庭の世界と喜劇(コメ)

箱庭の世界と喜劇(コメ)

人間失格で好きなシーンがある。
堀木と身近にあるものについてトラとコメ(悲劇名詞か喜劇名詞か)を考える言葉遊びのシーンである。
私はこのシーンを読んだ時に目から鱗が落ちるような思いだった。なんと洒落た遊びだろうか。
そして人生に迷った時、辛い時、私はこのシーンについて思い出す。

理不尽な要件変更は?
眠れない夜は?
将来の見えない会社にいることは?

これらは全て私の中では「悲劇」である。
では

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チョコエッグの中の文豪

もともと、noteを書き始めた目的は「太宰治の作品を私風に伝えることで面白さを知って欲しい」というものだったにも関わらず、つい目的を忘れて自分のことを書き殴ってしまっていたので、一度初心に戻ろうと思う。たまにはね。
太宰治というと皆さんはどう言うイメージを抱くだろうか?
人間失格、生まれてすみません、入水自殺。
この印象が強烈すぎて暗いイメージを持っている人が多く、太宰治をおすすめしても訝しげな顔

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アンチパリピとコロナと銃弾

アンチパリピとコロナと銃弾

コロナ禍になって慄いた事がある。

人の命を奪うという恐怖、目に見えない恐怖、withコロナというワードは我々の生活を一変させた。しかし、今回はその話は一旦置いておこう。

私住んでいるのような田舎では感染者が数日間どこに立ち寄ったのち、感染が発覚のか、症状等を事細かにニュースで放映される。感染者は体調不良の中、二週間前の記憶を事細かに覚えており、あまつさえ発熱状態をおして友人と遊びに行っていると

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親の愛はシトラスの香り

話は自分の小学校に遡る。

私の育ったのは1学年1クラス全校生徒でいうと100人に満たない、ド田舎だった。全校生徒の顔と名前を覚えられるような生徒数だ。

その一人、同級生に妙な子がいた。

図工の時間、おそらく「友達について」という題材で絵を書いていたと記憶しているのだが、その子の絵は四角形に丸と棒がついたような人型が10ほど、腕らしきものを上げたり下げたりして横並びになっていた。子供によくある

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カラスが鳴く

カラスが鳴く

私はカラスが好きだ。

孤高のようでいて、集団行動も出来、人の顔を覚え、動物の鳴き声なら真似が出来るほど知能が高い。電線につかまり風を受けながらじっと何かを見ているスナイパーのようなフォルムがとても格好良い。そしてなんとなく、人間に一番近い動物のような気もする。

しかし、私は「カラスが好き」という人に出会ったことがない。カラスは大体の人に嫌われている。理由は様々であるが、この風潮は日本だけではな

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夢で逢えたら

夢で逢えたら

新卒からずっとエンジニアですか?

紆余曲折あって現在エンジニアという職種に行き着き、そのままその職種に留まっているだけなのだが、女性のエンジニアというのがまだまだなんとなく珍しい存在であるため、時々そんな質問を受ける。

29の時に別の世界に飛び込む最後のチャンスと思い、働いていた大手の事務職を辞め、飛び込んだ世界は自分が「当たり前」と思っていた「人として備わっているステータス」が通じない、エイ

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コンピュータおばあちゃんをプロデュース

コンピュータおばあちゃんをプロデュース

私が幼稚園の年少組の頃、「コンピューターおばあちゃん」という曲が流行った。

歌詞によると、「明治生まれで算数国語社会、英語もでき足腰の強い入れ歯のばあさん」なんだそうだ。プログラムもでき、その博識たるやコンピュータと疑われるほどである。その曲のとりことなった幼い私は「歳を取ったらコンピュータおばあちゃんになる」ことを決意した。

しかし、その決意は中学で早々に潰えた。数学と社会が苦手だったのであ

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遠い幽霊よりも近くのウィルス

遠い幽霊よりも近くのウィルス

カレンダー上から夏は去ったが、暑い毎日は続いている。

外出時にマスクをしているだからだろうか、自粛で外出できず家でひきこもり生活が続いているからだろうか、温度計では計れず、伝えようもないこの不快感はフラストレーションとなって体の芯で熱を帯びてくすぶっている。こういうときには「暑い」と唸るしかない。

そういえば、この夏はTVで「怪談」とか「幽霊」という言葉を耳にしなかった気がする。TUBEの前田

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脱臼に於いて

私は17年選手の現役脱臼ヤーである。
しかも両肩、能力が逆であればイチローと呼ばれてもおかしくない。
今気がついたが、私はもう人生の半分を脱臼ヤーとして過ごしていることになる。最早イチローと呼ばれない意味がわからない。

中学の頃は強肩としてサービスエースの鬼と呼ばれていたこともあったが今やその肩はない。
巷では「そこいらの高機能フィギュアよりも脆い肩」として馬鹿にされている。

スマッシュすれば

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次は何に産まれましょうか

次は何に産まれましょうか

割と私は「占ってもらう」のが好きなタチである。「占い」が好きな女性は多いと思うが、私が思うに3つに分かれる。

・「とりあえず私のことをわかっていると言ってくれ」

一つ目がこのタイプである。世の中にどれくらい見える人がいるかはわからないが、似非占い師だとしても曖昧模糊なことを言っておけば、「この人は視えている」と吹聴してくれる一番オイシイ客だろう。まさにwin-winの関係である。

・「未来が

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楽しみを希う心

楽しみを希う心

マイケルナイマンの有名な楽曲に「楽しみを希う心」というのがある。
映画「ピアノレッスン」の主題曲にもなった曲で、同じフレーズが繰り返されているにも関わらず、ひどく心を揺さぶられる。
ピアノレッスンを知らない方の為にピアノレッスンの映画を要約しよう。
中学の時に見たので、記憶違いがあるかもしれないが、許していただきたい。

ある時先住民の住む島に新婚夫婦と子供が荒れ狂う天候の中、船に揺られてやってく

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小さな世界

小さな世界

幼少の頃、私の家には姉の「お下がり」も含めた沢山の人形があった。その一つに、イッツアスモールワールドのメロディーを流しながら、首が回る人形というのがあった。

世界中 どこだって 笑いあり 涙あり
みんな それぞれ 助け合う 小さな世界
世界はせまい 世界は同じ
世界はまるい ただひとつ

今日になってそれを思い出して「やはり」と思った。違和感を感じる。

あの大きく、どこまでも不思議が広がってい

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音に於いて-リモートの密かな楽しみ

リモート仕事のメリットは何か

そう聞かれて、コロナ関連以外に、出勤時間がないとか、自分時間が増えたとか、仕事しているフリでゲーム出来るとか人によって回答は様々だろう。

私にとって最大のメリットは、カラオケである。

意味がわからない?
まあ最後まで読んでほしい。

リモートだからといって仕事が楽になるほど世の中は甘くない。
なんなら皆さんメリハリが出来ずにずっとウィークデイ気分が抜けずお困りの

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