脱臼に於いて

私は17年選手の現役脱臼ヤーである。
しかも両肩、能力が逆であればイチローと呼ばれてもおかしくない。
今気がついたが、私はもう人生の半分を脱臼ヤーとして過ごしていることになる。最早イチローと呼ばれない意味がわからない。

中学の頃は強肩としてサービスエースの鬼と呼ばれていたこともあったが今やその肩はない。
巷では「そこいらの高機能フィギュアよりも脆い肩」として馬鹿にされている。

スマッシュすれば、脱臼
バスケットボールを受け取って、脱臼
大の字で寝れば、脱臼
浴槽の掃除をして、脱臼
横にあった醤油を取ろうとして、脱臼
腰ほどの段差をによじ登ろうとして、脱臼

脱臼脱臼脱臼脱臼

もう嫌だ。銀河鉄道999に乗って機械の体を手に入れたい。

しかし、私はプロの脱臼ヤー。
脱臼の痛みにはもう慣れた。無論プロなので抜けた腕を元に戻すのもお手の物だ。

しかし、不便が二つある。
一つは生活に支障を来すほどのプロ。
これはもう、職業病なので仕方ない。
もう一つは「周りが正しく理解していない」

これについては会う人会う人何度も説明しているが、理解できたのはたった一人だ。皆馬鹿なんじゃないだろうか?一度体験入団させたろか。

と、怒っても仕方がないので、今回私よりも強い肩を持つと言われるフィギュアを使って脱臼への理解をすすめる説明と、周りの対応を順に説明したい。
注意書きとして、これはあくまでも私に限った症例なので、他の「フォーム」をもつ脱臼ヤーについては各脱臼ヤーに説明をお任せしたい。

まず、脱臼についてである。
結論から言うと、「可動域が非常に残念な」だけである。
有難いことに、よく重たい物を持つと心配されるが、脱臼後一週間以外は全く問題ない。腕力は別なのだ。故に、

画像1

これは全く問題ない。両腕に荷物も問題ない。次に

画像2

これもギリギリ問題ない。
しかし、調子に乗って、、、

画像3

これはダメだ。

画像4

但し、ややこしいことに肘を曲げていれば脱臼はしない。
あと、横方向に体の後ろまで伸ばす行為

画像5

画像6

これもダメだ。
但し、これもややこしいことに肘を曲げていれば脱臼はしない。

代わりに脱臼してくれたアイアンマンに白い三角巾を!

なんとなく疑惑が湧いていそうなので補足すると、ここまで自身が理解していても、日常生活にはトラップが多く、するときはするのだ。馬鹿にするなかれ。

なんとなく理解していただいたところで、周りに求めることであるが、実はあんまりない。
強いて言うなら、将棋のように、淡々と10秒経過、20秒経過と言ってもらえると有難い。時間が経つにつれ難易度が高くなるためだ。1分以上経つとほぼ無理ゲーである。
これに関しては他の脱臼ヤーにもいえることなので、1分以内の処置と場合によっては手配をお願いしたい。

というわけで理解して頂けただろうか。
最後に、読んで頂いた皆さんの強肩をお祈りして今回は締めさせていただく。
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?