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夢で逢えたら

新卒からずっとエンジニアですか?

紆余曲折あって現在エンジニアという職種に行き着き、そのままその職種に留まっているだけなのだが、女性のエンジニアというのがまだまだなんとなく珍しい存在であるため、時々そんな質問を受ける。

29の時に別の世界に飛び込む最後のチャンスと思い、働いていた大手の事務職を辞め、飛び込んだ世界は自分が「当たり前」と思っていた「人として備わっているステータス」が通じない、エイリアンが蔓延っているとんでもない世界だった。

話を戻そう。なぜエンジニアになったのか?これには3つの理由がある。

1つ目は、もともと人を喜ばせたり助けたりすることが好きだったのでそれを元手をかけず具現化するために、エンジニアという「手段」を取った。質問をされたときには大体この理由を話すようにしている。3つの理由の中で一番理解が得やすく、運が良ければ好印象まで与えられる必殺の理由である。

2つ目は当時「ノマド」という言葉が流行っており、元々場所に拘束されることを好まない、お出かけ好きな自分にはぴったりの世界だと思ったからである。気分によって聞く音楽を変えるように、気分によって場所を変えて仕事がしたい。が、実際のところ、コロナが大流行するまでは実現できなかった。

3つ目の理由は今まで誰にも言ったことがない。別に秘密にしているわけではない。言ったところで理解が得られないであろうから、話していない。

これには幼少期に見たコント番組が関係する。この一言で読んでいる人の8割の人の混乱が見えた。が、話を続けよう。

幼少期、「夢で逢えたら」というコント番組があった。当時絶頂期だったダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子が出ていた、今では伝説となっているコント番組だ。そのオープニングにテレポートの研究を行っているエンジニアの職場の寸劇があった。その目の前で若かれし頃のユニコーンが「スターな男」を歌詞を変えて歌っている。その寸劇では、雑談をしている松ちゃんがPCのキーボードに肘をついてしまい、誤ってナンチャンが香港にテレポートされてしまう。慌てて、香港中を探し回る5人。最後には2階建てバスで合流出来て事なきを得る。OPの動画を見つけたので貼っておこう。

幼少期の私はこのオープニングが大好きだった。これがなんという職種なのか、パソコンに書いてある文字も全く理解できなかったが、とにかく自分にはそういう未来が待っていると信じていた。21世紀にはテレポートができるようになるとも思っていた。

しかし、その予想を反してそんな夢のようなオシャレな未来は来なかった。

「来ていない」のではなく「来なかった」のである。

型破りなエイリアンだらけの職場だが、謎の研究を(今のところ)行ってもいないし、ミスで同僚を香港にテレポートさせてしまうようなこともない。(今同僚を香港に飛ばしてしまう想像をして笑ってしまった。)

結局のところ私の夢は「このまま覚めないで」いる。いや、覚めてしまったのか。好感度の高い理由を述べながら、ただただ目的のためにエンジニアを続けている。

なぜ「働く」のかわからなくなったとき、ネットからこのOP動画を探し出し、それを繰り返し見る。そうすると時々この世界に入り込んだ夢を見ることがある。夢の中で松ちゃんと談笑する自分を見る。香港中を駆け巡り、テレポートしたナンチャンを探す。しかし、夢の中ではわかっているのだ「今、夢を見ているのだ」と。そして願う。「夢ならこのまま覚めないで」、「このまま起こさないでくれ」と。

しかし無情にも朝がやってきて、私はいつもの「覚めてしまった」エンジニアに戻る。しかし、悲観してはいけない。覚めてしまった後は夢の内容を現実で振り返ってはだめだ。本当にこのOPと曲はエンジニアとしての自分にマッチしていると思う。

今晩は夢であの世界に逢えるだろうか?

そして、いつか。あんなワクワクするエンジニアになれるだろうか?

一晩どころか、一生覚悟が必要だわな。

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