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驚き。採用面接官なんて相手せず。憧れの会社に潜り込む為の究極の付け焼刃。 by転職定着マイスター川野智己

「あんな有名企業に入社できるなんて、自分でも驚いています。」
「やっぱり、安定した堅実な企業ですね。働くのは。雰囲気も落ち着いているし、優しい人たちばかりで大満足しています。」

 橋田美奈(28歳)は、この夏から、従業員300名規模の巨大エネルギー会社の関連会社の総務庶務として忙しくも遣り甲斐をもって働いている。
 上司である役員も、仕事には厳しくも思いやりのある人情派の幹部であり、同じ職場の社員も、入社したばかりの橋田を暖かく迎え入れてくれていた。終業後は、かねてから念願の英会話学校にも通う自分磨きの余裕の時間も持てるようになった。
 やはり、活き活きと仕事をするには、最低限の常識的な職場環境の存在が不可欠であると、つくづく感じた。遣り甲斐やキャリアアップの想いも、それを実現できる根本的な土台(安定した職場環境)が無ければ絵に描いた餅なのだから。
 そんな橋田の独り言が聞こえてきた。

1 希望に満ちた就職~ある真面目なOL社員のつぶやき~

私橋田美奈は、西日本の地方都市にある県立大学を卒業して、地元の中古自動車販売店に就職をしました。大都市の大阪への憧れもありましたが、病弱な両親を残して、また、まだ中学生の妹の面倒も見なければならず、地元に留まることにしました。住み慣れた土地で、家族とともにささやかに暮らすことが性に合っているのかもしれません。

 人気の地元の銀行も低金利が続く中で収益が悪化しているみたいで、税収の低下で公務員の採用も滞っており、大学の就職観に掲示されていた求人票に応募して決めました。一般のお客様商売でもあり土日も休めず夜も残業が多いようでしたので、お友達との旅行や習い事も諦めなければないと思いました。
 しかし、綺麗なショールームで素敵な制服が着れるし、多少の残業なら、両親に毎月お金も渡せる、妹も良い学校に進学させることが出来ると思いなおして、入社することにしました。

 2 怖いし、安心して働けなくて。。。。

 新卒の社員は10年ぶりのようで、職場の皆さんからはとても優しくしていただきました。でも、それも試用期間の3か月間まででした。


 9月までの上期の売上高が達成しない見込みだったようで、営業所長の顔が徐々に土気色になり、険しい顔つきになっていきました。毎朝の朝礼で、日直係が前に出て、「達成するぞ!」と叫びながら膝を屈伸させながら片腕を突き上げる気合い入れをするのですが、私は毎回「声が小さい!」と怒られていました。


 そのうち、営業所内は些細なミスも咎められ、責任のなすりあいが始まり、ぎすぎすした雰囲気に変わっていきました。先輩の女性も、経費を自腹にさせられたり、帳簿の改ざんをやらされたりして、泣いていました。
 
 私が辞めた理由ですか?
「売り上げが足りないから、営業要員になってくれ」と言われたことと、「長時間労働と、その残業代が全くもらえていなかった」ことが理由です。
 文句を言ったかですか?
 そんなこと言えません。地方都市は思った以上に狭い世界だし、変な噂になっても嫌なんです。この会社の会長は地元商工会の大物だそうなんです。だから。。。

 皆さん根は悪い人じゃないんです。でも、組織っていうんですか、風土というか。会長が怖いからというか。。うまく言えませんが、会社全体の雰囲気が、私にはいたたまれなくて。。

3 定着できる転職先はあるのでしょうか。

 今、言えることは「贅沢は言わないけど。次は安心安全に働ける堅実で安定した会社に行きたい」「英会話の習い事にも通いたい」「エステに行ってお洒落もしたい。」「残業も少なく、夜はお友達とお喋りしたい」「そして、職場で素敵な出会いもしたい」。たった一度の人生だし。。。

 仮に、そんな真面目で安定した、そして働きやすい会社が中途採用しても、人気が高いし、何のスキルも無い自分なんか、箸にも棒にかからない。と諦めていました。だって、自分は落伍者だと思っていますから。
 
4 思いもよらず、憧れの企業に入社

 転機となったのは、大手人材紹介会社の地方開催セミナーに参加したことです。そこで登壇した教育研修部長から「憧れの会社に滑り込む術」を聞きました。初めて聞く話でしたが、この紹介会社に登録したうえで、この部長から個別指導を受けて、今の会社エネルギー関連会社に入社できたのです。
 ガス・電力業界などは、その関連会社とは言えども、働き口の少ない地方においては垂涎の的だったので嬉しいです。

 紹介会社の教育研修部長からの話は以下のとおりでした。
 「他の応募者は優秀で実績もあるはずだ。正攻法なら勝負にならない。」
 「当たり前のことだが、1週間後に迫った採用1次面接までに、新たなキャリアを積んだり、資格取得などできるはずがない。つまり、今のあなたのありのままのキャリアで勝負するしかないのだ。」

 しかし、落ち込んでいる私に、こんな話もしてくださいました。
 「逆に言うと、あなたの能力やキャリア“以外”なら、工夫次第で高められる。実はそちらのほうが、採用選考において遥かに効果を発揮するケースがある。一緒に取り組みましょう。」と。

5 事前準備できる領域を完璧に。

 ここから先は私川野が、橋田氏の相談者として実際の取り組んだ事例を直接読者の皆様にご説明したい。憧れで入社できそうもない企業に、並みいる有能なライバルに伍して肩を並べることが出来る術、それも短期間で、付け焼刃でできる方法としてご紹介したい。

 付け焼刃とは、短期集中型の準備のことを言う。段取りが全てを決める。面接の場で何が起こるか、何を問われるかわからない、わからないからこそ、わかる範囲の徹底的な準備をすることが功を奏する。

 必ず最初に問われ、そして最も面接官が注目している重要な質問がある。
 
 それは「志望動機」だ。
 
6 何故、「それ」なのか・・・WHYの世界

 志望動機は、面接官が面接の場で応募者に最も問いかけたい内容の一つである。まるで、点数配分の大きい設問が、試験の前に受験生に漏洩している大学受験のようなものだ。確実に合格に近づける大きな点数を稼げる、その準備をおろそかにすること自体、あり得ないことだ。

 必ず面接の、その冒頭で問われる。だから、ある程度ボリュームがある回答を準備していても、応募者は頭に覚えていられるはずだ。前日までの間に”模範回答“を作成したら、メモに落とし、面接の企業に向かうまでの間の、近くの喫茶店に籠って徹底的に暗記しよう。借り物でない、自分の言葉になるまで繰り返すのだ。

7 何を話せばいいのか・・・WHATの世界(失敗編)

 「お、御社の経営理念に共感したからです!」
 「じ、自分も、御社の商品が素晴らしいかと感じたからです・」
 何を言えばいいか困った挙句、おざなりな回答をしてはいないだろうか。
 
 皆さんは、好きな異性へのプロポーズの際には何というのだろうか。
 「貴方のことが好きです。結婚してください。」、それとも
 「先日、貴方は街でお年寄り○○で困っている際に、△△してあげましたね。それは、貴方がいつも周囲に配慮している人だからです。気配りと優しさを持つ、そんなあなたと末永く時間を共にしたい。結婚してください。」
 皆さんが、この女性であれば、どちらの言葉に心動かされるだろうか。
 自分のことを知り尽くしてくれた人、知ろうとしてくれる人に心動かされるのはずだ。

 8 何を話せが良いのか・・・WHATの世界(成功編)

 「社長の生の発言」を探せ。

 社長の生の発言に触れ、考え方を十分読み込んだ。そのうえで、自分の価値観やこれまでの成果と照らし合わせた。まさしく、自分と合致している。だからこそ、このフィールド(企業)で自分は働きたい。また活躍でき御社にも貢献できるはずだ。
 と、このロジックでストーリーを考え抜くのだ。

 例えば、社長の『経営危機の際には、銀行や従業員に理解を求めて乗り切った』との発言があれば、『社長のお話を聴いて、まさしく私のこれまでの行動や実績と合致すると感じました。実は、私もかつて、経費削減という重要なプロジェクトの一員として、他の社員の理解を得る必要に迫られたことがあり・・。まさしく、自分が飛躍する場は御社であると確信しました!』
 と、自分の実績や能力・姿勢のPRを交えながら、社長の発言と自分の価値観が合致しているとストーリー建てするのだ。
 相手の面接官も、「そんなの嘘だろう」と否定できるはずがない。こと、社長の実際の発言が絡んでいるのだから。

 面接の場でこのストーリーを5分間、堂々と語れ。面接官が圧倒するくらい。
 更に重要なのは、口頭で話すだけでなく、このストーリーを「応募動機書」としてA4版枚にまとめ、必ず履歴書及び職務経歴書と併せて添付することだ。
 何故そんなことをするのか。
 一次面接の面接官は、所詮、意思決定者である社長の露払い(大相撲で横綱の土俵入前に、土俵を整備する下位力士のこと)に過ぎない。殆ど力は無い。雇われの弱い立場だ。
 仮に、貴方のことを一次面接で落としたとしよう。その場合、人事役員や社長は、一次面接のその選考が妥当かどうか、必ず、落選者含め応募者全員の応募書類に目を通すはずだ。「どれどれ」と。

 人事役員はこういうだろう。
 「お前らなにをやっているんだ。社長にここまで共感している応募者を、お前らの勝手な判断で落選させるなんて、社長が知ったらなんて言われるかわかっているのか。“それでも酷い人材だった”と明確に社長に説明できる自身があるならなら別だがね」と、部下の面接官に指摘するはずだ。


 いや、実際、指摘される前に、面接官の忖度(そんたく)が働いて、「まあ、とりあえず二次面接に進めて、あとは役員に判断してもらおうか」
と、思うのがサラリーマンの性(さが)でなのだ。
 まして、応募書類に証拠として添付してあるのだから、面接の場限りの発言として握りつぶすことも出来ないというカラクリだ。企業規模が小さくなればなるほど、この作戦は有効だ。

9 どこから情報を得るのか


 社長の発言なんて求人票にも書いて無いし、人材紹介会社も把握しているはずがない。無理に聞き出せば、適当な作話をされるだけだ。
 どうしても情報が得られなければ、ホームページの社長の挨拶文からキーワードを取ってくるしかないが、できればそのような安直な方法ではなく、業界紙、専門誌のインタビュー記事を探したい。社長はかなり本音で語っているはずだ。ネットで記事を検索できる場合もあるし、国会図書館などの大規模な場所に行けば、入手できる出来る可能性は高い。
 「この会社に興味を持ち、さらに多方面で調べてみました。自分なりに。」と調べるのに手間をかけた行動にさりげなく触れるだけでも、「熱心だ」と面接官の貴方への評価は高くなるはずだ。
 
 それでも、社長の声を探せなかったら、前述の業界紙、業界誌で「業界動向」を調べよ。無ければ、株式上場している競合先の決算短信書類を読み込むのだ。業界全体を把握したうえで、そのうえで応募先企業の商品・サービスを褒めるロジックに変更しよう。


「御社の求人を目にしてから、あちこちで調べてみました。素人ながら。すると、業界内に安価な外国製品が国内に流入する中で、御社の商品は、、、と聞きました。実は、私も、スケールは違いますが、同じような経験がありまして、他者とは差別化した○○という行動で難局を乗り切ったことがあります。まさしく、御社と価値観が合致していると感じて応募しました。」
 と、ここでも、応募先企業と自分の実績を絡めて、志望動機にしよう。

 面接は、「選ばれる場」として受け身の姿勢だと、やる気が無いと低評価に終わりがちだ。だからこそ、事前に準備できることは周到に準備し、その熱意で、憧れの企業の面接を突破しようではないか。そのためには、事前準備が可能で、必ず質問される志望動機で相手の度肝を抜き、先行逃げ切りのダービー馬になろう。                  完


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※あとがき
 おかげさまで、投稿を始めてはや2か月たちました。多くの方々から大きな反響をいただいております。これからも、綺麗ごとではなく、本音を書いていきます。
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皆様にもより良き転職先との巡り会いがありますよう願っております。
 ありがとうございました。      転職定着マイスター 川野智己

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