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即効。地味な閉会式の演出家にも教えたい。デキル社員に見せるお手軽な自己演出術 by転職定着マイスター川野智己

「バタッと倒れるかも、でもそれも本望だ。」
 ご存じ、ある都道府県の首長が1か月前に発した言葉だ。
 急に倒れ入院した挙句、やつれた表情での退院後の会見で現れ、発せられたのは記憶に新しい。

 その結果、
「まあ、なんと言うことでしょう。」
 BeforAfterよろしく、会見の二日後の都議会選挙では、その首長率いる政党が、事前の下馬評とは打って変わって票を積み上げ、劣勢が挽回され議席の減少を食い止める結果となった。

 この演出行為には、賛否両論あり、事の是非はここでは言及するつもりはない。
 しかしながら、その演出は一定層の人たちの琴線に触れ、同情票を得て、議席数維持という成果を挙げたこと。それは間違いない。

 別記事「秘技。良い人事評価を引き寄せる術。「輪郭力」で転職先での給与アップを。」でも触れたが、自己アピール、自己演出は非常に大切だ。
 自己演出を否定する、もしくは不得手として取り組まないということは、一生「世の中は理不尽だ。努力もしない人間ばかりが重用されるのはおかしい!」と愚痴まみれの人生で終わることを意味している。自己演出を軽視すればするほど、避ければ避けるほど、貴方の失うものは多くなる。

 転職者や異動で見知らぬ部署に籍を置くようになった社員は、デキル人間であることを、取り巻く他者に顕示することが喫緊の課題だ。隙(スキ)を見せれば他者からマウンティングされてしまうのだ。一旦、ダメ社員と貼られたレッテルを剥がすのは容易ではないことは、説明不要だろう。

 大分県の高崎山では、新参者のサルとボス猿が睨みあい、最後は、馬乗りになって「キーッ!」と勝ち誇った雄たけびを挙げた猿が次のボス猿になる。
 職場で、「それ、以前に説明しましたよね!」「あなたには、どうせわからないだろうがね。」と、古参社員から既に言われたとしたら、貴方はもう他者からマウントを取られているのだ。

 舐められているのだ。いや、それ以上に齧(かじ)られているのかもしれない。そして傷ついているのだ。名古屋市長の歯形がついたあの金メダルのように。
 そうなったら、貴方の過去の栄光も台無しだ。

 かといって、新しい職場でいきなり成果を挙げるというのも非現実的だ。

 そこで、いい方法がある。
 冒頭の都知事方式だ。
 簡単なフレーズを口にするだけで、がらりと流れを変えることができる。
 しかも、この場合、同情ではなく、尊敬を得ることで変えられる。
 こんな楽なことは無い。しゃべるだけだから能力も費用も要らない。

 最初は気恥ずかしさがあるだろう。だからこそ、むしろ胸を張って堂々と口にしよう。
 上司相手や、顧客、取引業者相手など、フォーマル色が強い場面でまずは使ってみよう。多少キザなフレーズでも違和感が無いからだ。
以下、ご披露したい。題して、自己演出のチェック5。

1 聴いてもらう土壌を作れ

 「まずは、全体像を2分でお話してから、具体的な本題に入り、最後の15分間は皆さまからの質疑応答のお時間とする、という流れで進めたいと思います。皆様よろしいでしょうか。」
 「初めに、その概要を10分間でご説明し、その後は、担当ごとにご説明を申し上げたいと思っています。最初は一方的なお話になりますが、しばしご容赦を願います。」

 と、相手の貴重なお時間をいただいていることに感謝し、どれくらいの時間で完結するのか目途を与え、かつ、全体の流れや構成を示し、それを相手に確認する配慮を示そう。簡潔で論理的な会話がこれから始まる、との期待感・安心感を相手に与えると良い。

2 大局的な視点、多面的な思考を持ち合わせていると見せろ

 「(考えたふりをして間を開けた後)そのご質問に関しては、YESとも言えるし、NOとも言えます。まず、肯定的な意見から申し上げます・・」
 「(同上)そのお話の本題に入る前に、まずはその前提となる趣旨(背景)からご説明させていただきたく存じます。その流れであれば、皆様の腹落ち(納得すること)が良いと考えたからです。」
 「私はかねてより、『まずは前提を疑え』という信条を持っています。よって、今回の問題の解決に着手する前に、そもそも論としてその仮説を前提として良いものかどうか、今一度検証してみました。」
 と、会話の相手から、その主導権を奪い、自分のペースに話を引き込むことだ。

 その際に、自分は「近視眼的」でも「短絡的」でもない、「大局的に」かつ「中長期的」な総合的な視野でモノ事を捉えている、レベルの違う人間だとさりげなく示すことができる。これは、「単なるワーカーではない、経営幹部としての視点を持ち合わせている」という演出をすることが出来ることを意味する。必ず、一目置かれるはずだ。

3 数値で語れ

 「すっごく沢山の在庫がまだあって・・」「超、忙しくてバタバタなんです~」「市場規模は年々とても拡大しつつあり・・・」との表現では、相手に子供じみた印象を与えることになり、せっかくの貴方の意見内容まで幼く見えてしまう。

 数値を入れた表現に変えると、「今月は300万円相当の在庫が積みあがっており、これは昨年度の月間平均売上高の4か月分に相当する」、「ここ3か月の月平均残業時間は平均80時間であり、これは安全衛生法では産業医面談を義務づけられるほどの業務過多・・・」「市場規模は、経済産業省の○○白書によると、ここ3年間は毎年30%ずつ市場が拡大しつつある」

 これらの主要数値を、メモも見ずにすらすらと語ることができれば、相手は「これ以外にも、平素からどんなデータを頭に入れているのか。平素より分析を繰り返しているんだろうな。」と思い、底知れぬ貴方の潜在能力に恐れ、結果、畏敬の念をいだくであろう。

4 曖昧さに逃げるな

「一応」「基本的には」「○○的な」「〇〇と思う。個人的には。」「△△等(とう)」「◇◇と、課長が言っていた。」「もしよろしかったら、〇〇とか、してもらってもいいですか?」
 と、自信をもって断定したり言い切ったりすることが出来ない人がいる。これはひとえに、自分自身の自己保身、リスクヘッジ、言質を取られないように逃げている、媚びていると思われ、相手は貴方を見て軽んじることになる。

 別に、誤った結果となっても命を取られるわけでもないではないか。
「そうでしたか、私の認識が足りなかったようで。申し訳ございませんでした!」と胸を張れば、かえって「腹が座った人だ。」「堂々とした誠実な人だ」と好印象を持たれるであろう。曖昧な言動は、貴方にとって何の得にもならない。

5  ワンランク上の高貴な言葉を使え

 「ご放念ください(気にしないでくださいの意)」
 「ご査収ください(確認のうえお受け取りくださいの意)」
 「していただければ幸いです(してくださいの意)」
 「かしこまりました(了解ですの意)」
 「微力ながらお手伝い申し上げます(手伝いますの意)」
 など、格の違う言葉を使え。

 文章は貴方の知的水準を示し、言葉は貴方の品格を示す。

 貴方の品格が高まれば、その品格を育んだ貴方のこれまでの生い立ちや仕事ぶりまで高く評価されることになる。レベルの高い仕事には高貴な言葉が伴うからだ。

 決して「大丈夫ですか。」「よろしかったでしょうか~」「僕的には全然OKです」というバイト言葉を使ったり、「〇〇させていただき・・・○○させていただき、◇◇させていただきます」「なるほどですね」「うちの商品を買ってみたいだなんて、思ったりしますか?」などと、これらエセ敬語を、ビジネスの場面で口にしないようにしたいものだ。

6 まとめ
 
 いずれにしても、ちょっとした簡単なフレーズ一つで、自己演出が出来る。まずは、上司に対して行ってみよう。
 相手からの印象が格段に変わるはずだ。        以 上


※毎回、ご一読いただき誠にありがとうございます。書き記した内容は、私川野が大手人材紹介会社の教育研修部長時代に見聞き、体験した「実話」です。よって、個人名や企業名が判明しないよう若干の表現上の工夫をしております。何卒ご了承願います。
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