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秘技。良い人事評価を引き寄せる術。「輪郭力」で転職先での給与アップを。By転職定着マイスター川野智己

「実力も成果も無いあいつが、何であんなに贔屓(ひいき)され、高い評価を受けるんだ。」「自分みたいに、黙々と仕事をこなす人間が、本当は認められて当然なんだ。」
 と、帰宅の通勤途中でつぶやいている。
 あなたは、そんな一人ではないだろうか。

 転職後、もしくは異動後の最初の人事評価は、最も重要なターニングポイントだ。
 職場で異分子であるあなたに対して、ヒトはレッテル貼りをするものだ。残念なことだが、ヒトというものは残酷なものである。人類は太古の昔から、目の前の得体のしれないモノが、獲物なのか捕食者(猛獣)なのか、一瞬にして判断をする遺伝子が未だに残っているからだと言われている。
 
1 企業における人事評価制度の実態

 巷間、ダイバシティなる概念が声高に叫ばれており、変化の時代に企業においても価値観の多様化が求められているという。
 人事評価制度も、整備され評価項目も精緻化がすすみ、評価者(上司)の訓練も行われるようになり、評価者個人の好き嫌いが入り込む余地、恣意的な評価の余地がなくなりつつあると人は言う。


 しかし、仮に本当にそうであれば、多様化の中で転職者は歓迎され、人事評価制度は恣意的(意図的)な運用などなされていないはずだ。           
 これらのように、総論(一般論)と各企業における各論(実態)とは、相当乖離がある。綺麗ごとが実際の職場で適用されているケースは無い。 
 新聞のコラムやネット記事、専門誌の記事を鵜吞みにしてはいけない。

 大手人材サービス会社のアデコの調査によると、自分の人事評価に対して「不満、どちらかというば不満」と回答したビジネスパーソンは、合わせて62.3%に及んでいる。これが企業における人事評価制度の実態だ。
 なによりも、あなたが、この記事を目にして読もうと思われたのも、自分の人事評価に、必ずしも十分満足をされていないからではないだろうか。

 私川野も、目標管理制度の日本における大家である著名コンサルタントと何度も一緒に仕事をしたが、氏の指導により指導先企業の従業員の人事評価への満足度が高まったとの事例には、ついぞや接したことが無い。
 残念ながら、著名な外部コンサルタントに多額の費用をかけることは、企業の、特に人事部門による単なるアリバイ作り(自分たちが仕事をしているとの証拠づくり)、自己満足に過ぎないのが実情なのだ。

2 人事評価に対する個人の防衛術

 私も「この方法で、あなたの人事評価は飛躍的にアップする」というような、誇大な発言をこの場でするつもりはない。即座に、D評価(非常に悪い)がB評価(普通)になる、もしくはB評価(普通)がS評価(非常に良い)になる方法などあるはずもない。そんな無責任なことを申しあげるつもりも毛頭ない。

しかし、B評価(普通)からA評価(良い)など、一つ上位の評価に滑り込むこと、これは可能だ。

 個人にとっては、現実的には、C評価(悪い)を逃れてB評価(普通)に留まる、もしくは、B評価(普通)を脱してA評価(良い)を獲得するということ、つまり、一つ上の評価に滑り込むこと、この微妙な“際(きわ)”を攻略できるか否かが、長いビジネス生活の積み重ねにおいて非常に大切なのだ。

 これは、選手としてオリンプックの予選を勝ち抜き、そのまま決勝に進めむことが出来るかどうかの選考と、同じ重要な意味合いがある。
 この“際”を攻略する、つまり一つ上の評価に誘導すること、着実に上位を堅実に獲得していくことこれが、何よりも大切なことなのである。

3 人事評価の実態とは

 人事評価は、実際のところ、どのように行われているのか。
 それは、
「評価者(上司)の感覚でおこなわれている」

 いきなり、身も蓋も無い話だ。
「そんなことはない、評価制度は個人の恣意的な判断が入る余地が無いと聞いている。客観的な事実にそって運用されるべきだ。」
 と、あなたは反発するかもしれない。


 でも、総論賛成、各論反対。規定と運用の乖離。お題目と実際の違い。本音と建て前。この違いは、社会人経験を積まれている方なら、だれでも実感していることではないだろうか。繰り返すが、ビジネス書や新聞、専門誌で唄われている空理空論を信じてはいけない。あれは、あくまでも理想論である。あなたが声高に、かように仕入れた知識で「べき論」を社内で展開しても「面倒くさいやつ」と思われるだけだ。それが悲しい現実だ。

 4 綺麗ごとで、一生損をする人たち

 人事評価=a「被評価者の実績・能力・姿勢」×b「輪郭力」
  
 これは、私川野が、数百人に及ぶ人事評価のトラブルの解決実際に接し、明確になった公式だ。

 公式で言うa「実績・能力・人柄」のみで、つまり、あなたの真の実力だけで人事評価が決められていると、あなたは誤解されているのでなはいか。
 あなたの評価結果は、aに対し、あくまでも、b「輪郭力」という係数を乗じ、その計算結果の点数で人事評価がが決定するのだ。無論、こんなことはどの企業の規定にも存在していない。していないが、どの企業にも目に見えない形で存在している。確実に。このbという魔物が。

 bの「輪郭力」とは、aを効果的に評価者(上司)に伝える力のことだ。


 あなたの周囲でも、「実力もなく、仕事熱心でもない男」が、何故か上司から愛(め)でられ、評価され登用されているケースが無いだろうか。
 それは、a(実績等)の値が低くとも、b(輪郭力)の値が高いからだ。ゆえに、「実力も無いのに、上司から覚えめでたい(不釣り合いに高評価されている)人材」が出現している。そういうからくりだ。

 アニメのデッサンでは、キャラクター(登場人物)のキャラや感情を効果的に表現するために、線画が大切だと言われている。輪郭の線のことだ。単調なメリハリのない線画は、登場人物を、目立たない平坦で無機質な存在に表現させる。
 一方、太さ、曲線、陰影に変化をつけた線画(輪郭)を引くことにより、登場人物に、立体感ある活き活きとした生命力を与えることができるといわれている。
 あなたの実績・能力等を目立たせるには、この「輪郭力」が必要だ。

 (1)あなた: a(実力・人柄)85点 × b「輪郭力」40%
    =34点(D評価に)
 (2)相手: a(実力・人柄)60点 × b「同上」150%
    =90点(S評価に)

 あなたと、「高評価を得る相手」との違い、それがこの算式である。
 せっかくのあなたのaが、稚拙なbにより矮小化されてしまっている。真面目にやっても損をしている。 あなたは、黙って黙々とaを高めるために、真面目に仕事をされている。それはそれで、素晴らしいことだ。
 しかしながら、いかんせん、もったいない。

 勤務先から、自身が期待するほどの評価もされず、「何も上司(評価者)は、自分を見てくれていない。」と、やる気を失い、転職先を退職する。
 このケースのなんて多いことか。
 奥ゆかしさは、日本人の美徳。私も、全く同感だ。
 その一方で、貧乏くじを引いて損をしてる人がいることを看過できないことも事実である。

 5 発揮せよ「輪郭力」

 紙面の都合上、詳しくは別の機会に譲るが、一つだけ「輪郭力」の一端をここにご紹介したい。

 上司(評価者)は、毎年の期末の人事評価の時期には、こう思っている。
「面倒くさいな。この忙しいのに。誰か、自分と替わってやってくれよ。」
「1年分の年間の部下全員の個々の言動なんて覚えてないよ。材料もない。感覚でつけるしかないか。」

 かような悩みの挙句、上司は、あなたを「可もなく不可もないB評価」「評価材料不足による曖昧な評価」「なんとなく物足りないからC評価」と、感覚でつけている。
 つまり、皆さんの仕事に対する印象が薄いのだ。印象が無いのだ。登場人物の輪郭が薄いのだ。
 これは、あなたの責任ではない。上司とはそういうものなのだ。
 上司とはいえ人間だ。平素より自分のことしか興味が無い。

 「もっと、自分に関心を持ってくれていたのではないか。悔しい。」
 「上司として、もっとしっかりしてください!」
 こんな思いを持つ暇があれば、評価される側として「輪郭力」を磨いた方が良い。何故ならば繰り返すが、誰も「べき論」では動かないからだ。

6 輪郭力向上としての「Weekly Relationship」(WR)

 まずは、「毎週金曜日、紙1枚で今週の自分の仕事ぶりを、上司に改めてホウレンソウ(報告・連絡・相談)する」
 このことから始めたい。
 これを、「Weekly Relationship」(以下「WR」いう)と呼ぶ。

 そのWRの用紙はA4版程度で、あなたのその週の仕事ぶりを、①「今週の仕事内容」②「出てきた課題」③「その課題に実際に取り組んだ行動や考え」④「備考欄」の4つのみ、箇条書きで簡単に自己申告するのだ。
 書き手にも、そして読み手にも負担にならない、「メモ書き程度の分量」とすることが、運用を継続させるポイントだ。

 ②欄(課題)と③欄(その取り組み)についての自分の実績を、さりげなくアピールし記録としておこう。
 そして、②欄(課題)のうち、一つだけ、「自分では判断に迷うことがあります。どちらが良いかご指導願います」と、あえて、「簡単な事柄」を上司に相談しておくことだ。上司を気持ちよくさせよう。
 その後、その上司からの判断や指導内容を、自ら「○○課長から、△△とご指導をいただいた」と、感謝の言葉とともに④欄(備考欄)に自ら書いておく。そのうえで、翌週の月曜日に、④欄も追記したWRのコピーを上司に渡しておくのだ。


 上司の上司(△△部長)に対しても、四半期ごとに、そのWRを手渡しておきたい。「上司である○○課長に定期的にご報告しています。○○課長からも貴重なご指導をいただいています」と一言添えるとなお良い。「直属の上司を飛び越えて、△△部長に声をおかけすることは躊躇する」ならば、「試用期間も終えて」「半期を終えて」「○○業務を終えた区切りとして」と、もっともらしい理由をつけると大義名分が立つ。

 その際には、必ず「既に、直属の上司の○○課長にもご報告済みなのですが、△△部長にも併せて、同じご報告をしたいと思いまして」「○○課長には、この④の備考欄に記載にある貴重なご指導をいただいています」と添えれば、誰も奇異に感じない。直属の上司○○課長も不快に思わない。むしろ、喜ぶであろう。なにせ、その説明の中で、自分のことを上司(△△部長)に褒めてくれるのだから、悪い気はしない。
 
7 WRを使った「輪郭力」の実現

このWRの活用の理由は、以下のとおりだ。

(1)上司という人種は、部下の仕事の進捗(進み具合)が気になって仕 方がない。でも、パワハラとも言われるような叱責もしたくない。結果、上司も非常に仕事がやりやすくなる。あなたを評価するはずだ。


(2)上司にとって、どの部下も報告してこない中で、自主的にホウレンソウを行うあなたを、その積極的な行為自体で、好印象を持つはずだ。


(3)上司が直接記入する欄もなく、上司にとっても運用上の負担は無い。


(4)上司にとって、業務が落ち着いた、煩わしい会議も無い、休み前の気分の良い金曜日の午後に持ってきてくれる。あなたを、TPOをわきまえた社員として見るだろう。そのまま、週末の飲み屋で一杯ということも。。。


(5)「報告を受けている上司」としての姿を、自分の更に上の上司(△△部長)に対して職場内で見せつけることができる。「部下をしっかり管理できている○○課長」つまり部下からも信頼されているという姿を、上司である部長にアピールできる。


(6)これがあなたにとって最大の利点になるが、このWRは、上司があなたの人事評価をする際の、貴重な材料として使ってもらえる。結果、あなたの人事評価は、本来のあなたのa(実績・能力・人柄)を十分に反映した結果になる。先の公式の輪郭力は100%、110%になる。少なくとも、あなたの実績や能力はそのWRの束にそのまま記載されているのだから。仮に、まずは自分で自分を評価するという自己評価の仕組みがあるなら、自分でこのWRを添付して、自己評価として、上司に提出しても良いだろう。


(7)上司の上司(△△部長)にも定期的に報告することにより、あなたは上司の上司も味方に引き入れたことなる。万が一、直属の上司(○○課長)があなたに悪い評価を下しても、上司の上司が二次評価者として救済してくれるはずだ。リスクヘッジ(危機回避)を担保できたことになる。


(8)企業は、客観的で明白な記録(例えば、WRのように)が残っている事柄に関しては、それを否定する行動はしづらいものだ。つまり、あなたが日々しっかり仕事を行い、定期的に報告を受けている事実を、人事評価の時に悪評価することは、企業にとっても自己否定につながることになるからだ。万が一でも悪評価を受けないための、あなたにとっての貴重な防御行為にもなる。

8 自分の輪郭を「ハッキリ・クッキリと」

 このWRは、b「輪郭力」を高める一つの手法だ。
 結果として、あなたの人事評価が適正に行われることだけでなく、直属の上司、上司の上司とのコミュニケーションが活発化することになり、副次的にも、人間関係形成上も良い効果につながる。


 繰り返しになるが、自分のa(実績・能力・人柄)を適正に評価してもらうためには、受け身で待っているだけでは実現などしない。
 あなたのaの存在を、はっきりと明確に評価者に認識させる、目に触れさせる、そして記録として残すb「輪郭力」が必要だ。行動を起こすか起こさないがで、長い社会人生活、大きな差が生まれることは言うまでもない。

 アニメの登場人物ではないが、きっちりと自身の存在を、その輪郭を「クッキリと」知らしめることが、私たち一人ひとりに求められている。

※あとがき
 おかげさまで、投稿を始めてはや1か月半たちました。多くの方々から大きな反響をいただいております。これからも、綺麗ごとではなく、本音を書いていきます。 何よりも、転職者の転職後の定着を目指した本音を。
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皆様にも、より良き転職先との巡り会いの機会がありますよう願っております。
 ありがとうございました。   転職定着マイスター 川野智己

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