見出し画像

平穏。辛い毎日は終わりにしたい。職場で心穏やかに過ごす方法 by転職定着マイスター川野智己

 ヒトは、ストレスを受けたときの言動で、それまでの生い立ちが分かるという。
 泣いたり、逃げたり、理屈で言いくるめたり、そして、怒ったり。
 子供のころ、おもちゃを買ってもらったりした成功事例として、大人になっても、その習慣がが身についているからだそうだ。泣きわめけば、好きの物を買ってもらったという経験が、大人になっても同じ行動をさせるのだ。
 
 しかしながら、職場において、そんな感情的な言動をしたとすれば、職場の上司や同僚、後輩からのあなたの評判・評価は地に落ちるだろう。
 なかでも、社内異動や転職間もないならば、新参者のあなたは、早々に不本意なレッテルを貼られてしまうことになる。
 そのレッテルの効果たるや、一旦貼られたものは二度と剥がれないと言われているほど大きなものだ。

 特に、「怒り」という感情は、昨今、最も厄介だ。
 あなたの立場を危うくするだけでなく、心臓病や動脈硬化などの自分の健康疾患を招き、かつ、社内においてはパワハラして処罰の対象になる要素を孕(はら)んでいるからだ。

 今回は、これら、あなたを窮地に陥れる感情の発露を抑え、日々職場で「心穏やかに過ごす」コツをご紹介したい。

画像1

(1)「正誤」ではなく「損得」で考えよ

  口に出すことで、周囲との軋轢を生み、同僚が自分から離れてしまうことが明白であると自覚しておりながら、「どうしても言わなくては気がすまない」という人がいる。良く言えば、正義感が強い。悪く言えば、空気を読まないと評される人たちだ。
 結果として、周囲から反発を受け、仲間が去っていく。始末の悪いことに、自分でも、口にした後に激しい後悔にさいなまれることになるのだ。

 そんな、自分を慰めるように「あれで良かったんだ。曲がったことは許せない。他の人間がおかしいのだ。」と、必死に自分に言い聞かせている。

 残念なことだが、職場は正論を嫌う。
 正当な指摘も、苛めだ、ハラスメントだと変換されてしまう。その証拠に、あなたに対して「ご指摘を受けて、初めて目が覚めました。ありがとうございます。今後改めます」と心より頭を下げた人がいるだろうか。万が一、いたとしても、面従腹背に過ぎない例が多い。相手の方が上手(うわて)だったということだ。

 少なくとも、周囲と気心が通じ合うまでは、正誤ではなく「自分にとって何が得なのか」を価値基準として、当面行動しておこう。信頼関係が出来れば、あなたの主張も通りやすくなる。しばらくの辛抱だ。

(2)一過性の面子(メンツ)にこだわるな

  数年前に、東京都北区のラーメンショップで、男性客同士が言い争いになり、殺人事件が起こった。加害者が、殺人後に、ラーメンセットを店に注文し、警察が来ても「刑務所の食事は不味いから、これを完食してから行く」と主張し、連行を拒んだことが報道され、ご記憶の方も多いだろう。これは、隣の座席を荷物置き場としてどちらが使うかという、つまらない些細な言い争いが事件の発端だったそうだ。


  職場でも、「なぜ自分から報告や挨拶をしなければいけないのか。」「なぜ、自分だけ情報を聞かされていないのか。」という、面子(メンツ)・プライドを起因としたトラブルが非常に多い。これらは往々にして「私の存在を否定した」「自分を軽んじている」と、された方が拡大解釈してしまいがちな事柄だ。


 どこにでも、配慮のできない人、デリカシーの無い人、自分の主張を通そうとする人はいる。だから、達観して無視することだ。へたに怒って自らの評判を落とし、結果として自分自身を居づらくさせる必要はない。

 あなたは、今の職場で「高い見識を持ち、大所高所からの視点を持つレベルの高い社員」として自ら演出することで、自身の付加価値を高めるべき立場なのだ。「個人的な思い込みで激昂する、面倒くさい人」と思われるような、自分を陥れることはするべきではない。

(3)クロスポジションで受け止めてみよう


 バス停に、更に多くの乗客が乗ろうとしている。その光景を見て、バス停の乗客は、「もっと奥まで詰めればいいじゃないか。私たちが乗れないじゃないか。自分勝手な連中だ。」と既に乗車している乗客に苛立つだろう。。一方、既にバスに乗車している乗客からすれば、「勘弁してくれよ。なんで更に乗り込んでくるんだ。1台やり過ごして次のバスに乗ればいいじゃないか。自分勝手な連中だ」と思うだろう。


 同じ局面でも、立場が異なれば、全く相違する感情を描くものだ。
 一旦、相手の立場にたち、相手の心の内を把握すれば、苛立ちや悲しみもなくなる。あなたの心の平静を取り戻せることになるだろう。

(4)時と場所を変えてみる


 クレーマーと言われる顧客が過剰な対応を要求してくることがある。あなたは激しく動揺するかもしれない。しかしながら、その場で、拙速に対応しようものなら、必ずさらなる揚げ足取りをしてくる。そうなると、泥沼になり、あなたの心の平静は更に遠のくことになる。

 この場合、彼らクレーマーは衆目(他者の前)で騒ぐことで、更に自分の感情がエスカレートさせる傾向にあることを、我々は理解しなければならない。
 そこで、別室に誘導し場所を変える、対応する人を変える。また、責任者不在と称して、後日改めて対応することにしよう。気勢をそがれれば、相手もクールダウンしてしてくる。その間に、あなたの精神状態も落ち着き、その後上司と相談するなり、準備する時間を設けることができる。

 何事も、正面から受け止めることを避けよう。

 考えてみてほしい、汗水流して困難を克服しても、上司から、同僚から、100%評価され、慰労されることなどない。下手をすれば、そのトラブルを引き起こした張本人とも言われかねない。
 だから、君子危うきに近寄らず。相手からの攻撃をやり過ごす知恵を持とうではないか。

(5)日々の習慣を変えよう


 睡眠不足、不規則な食生活、運動の不足は心身の健康に悪い影響を与えることは言うまでもない。
 まずは、今日やらなければならない仕事以外は、全て先送りにしよう。そして、生活にリズムを持たせるのだ。


 帰宅までの間に、スポーツジムやお気に入りのカフェなど定期的に通う場所を設けよう。リフレッシュできる場所を意識的に作り、勤務先と自宅の単純な往復を避け、心の修復場所を確保しよう。過酷なカーレースでも、車の整備のためのピットインというコーナーを設けている。人間ならなおさら必要だ。


 また、帰宅後には、自室に熱帯魚を飼い眺めたり、焚火の動画を眺めたりすることで癒されよう。ペットの力を借りよう。
 自分なりの癒しの空間は、心の待避所だ。
 温めの風呂に半身浴で長い時間浸かることも、アロマや香りのよい線香でもリラックス効果が期待できる。

(6)負のサイクルを断ち切れ


  数年前に、兵庫県の県議会議員が、冷静な会見の途中から徐々に感情を高め、泣き叫びながら会見を行ったことがある。あそこまで極端でないにしても、大声を出したり、泣いたりすることで、自分で自分の感情をさらに焚きつけることになってしまうのだ。同時に、あなたが感情的になればなるほど、相手も呼応して大声を張り上げるだろう。


 内面はともかく、表面上は決して感情をあらわにしないことだ。俗にいう「お互い、引っ込みがつかなくなる」状態を避けよう。


 負のサイクルは急速に回転速度を増してくる。
 深呼吸をしたり、洗面所の鏡に身を映し意識的に笑顔を作ったり、屋外に出て雲を眺めたりしよう。また、「他人に期待しない」「ああいう性格だから仕方がない」と割り切ることが必要だ。自動車も安定走行の為にハンドルの遊びが必要なように、心にも遊び(余裕)を持ちたい。

(7)まとめ 「職場はショック場」


 納得のいかないこと、理不尽なことは、職場に蔓延している。
 まして、学生同士みな平等である学校と違い、上下関係やしがらみ、過去からの慣行などの得体のしれない雑音が、合理性という名の理屈を覆い隠してしまう。それが職場というものだ。

 あなたが感情的な反応をするほど、周囲は戸惑い、反発し、誰もあなたに協力してくれなくなるだろう。他人は、あなたの正当性なる主張に耳を傾けない。「気に入らないやつだ」と思われるだけだ。結果、それがあなたの仕事上のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、あなたの精神状態に悪影響を及ぼすという、負のサイクルを招くことになる。

 異動や転職では、まず、あなたが周囲から認められる存在になることがすべてのスタートだ。それまでの当面の間は、あなたが拘る「正誤」は鞘に納めて、不本意かもしれないが、「(自分が)得する言動は何か」を視野に立ち居ふるまっておこう。少しの辛抱だ。


※参考記事

即効。地味な閉会式の演出家にも教えたい。デキル社員に見せるお手軽な自己演出術


※毎回、ご一読いただき誠にありがとうございます。書き記した内容は、私川野が大手人材紹介会社の教育研修部長時代に見聞き、体験した「実話」です。よって、個人名や企業名が判明しないよう若干の表現上の工夫をしております。何卒ご了承願います。
宜しければ、「好きボタン」や「フォロー」をお願い申し上げます。

 これまでの体験から厳選して選び、“Choose Day”として毎週火曜日に期日予約投稿しております。

当サイト内のすべてのコンテンツの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?