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実践!良い人材紹介会社の見分け方。その極意はたった一つの問いかけにあり。By転職定着マイスター 川野智己

「こんな酷い転職先を、あなたに紹介してくるなんて。その人材紹介会社の口車に乗ってしまって入社したことは、つくづく不運でしたね。」
 ”再転職”の相談にお越しになる求職者の中には、思わずこう声をかけざるを得ないケースが、実は少なくない。

1 人材紹介会社(エージェント)の素性

 不適切会計で摘発された企業、入社した社員を四半期ごとに解雇し首をすげ替えるサディスティックな性癖の企業、経営者が裏組織に通じている企業、明らかに危機的な経営状況の企業など。平気でかような転職先を紹介する人材紹介会社(以下「エージェント」という)が、実は世の中に数多(あまた)存在する。

2 エージェント業界の悲しき現状

 これらエージェントにとっては、紹介手数料(転職案件を成立させた際の彼らが受け取る報酬)を金払い良く払ってくれる転職先が、エージェントにとっての良い顧客先であり、そのキャンセル減額(一定期間内に人材が自ら退職してしまったことによる紹介手数料の減額)期間内に退職することのない人材が、エージェントにとっての良い人材(都合のいい人材)なのだ。
 求職者の人生や幸せなどは毛頭眼中にない、単なる儲け主義のエージェントは、一定の割合で存在する。これは甚だ悲しいことだが。

 有料人材紹介業の活動、つまりハローワークなどの公的機関以外の民間のこれらエージェントの活動に対しては、職業安定法はじめ様々な法規制がなされている。
 これは戦前まで続いた「口利き屋」「手配師」による搾取が、業界内で横行していたからだ。法規制により成立しているということは、それだけ、ハナから危うい、一歩間違えれば不適切な運用が横行しがちな不成熟な業界だからだ。

 この現代、産業界でも人材の流動化、キャリア形成など華やかなフレーズが並ぶものの、その根底にはかような泥濘(ぬかる)んだ土壌の上に成り立っている。それだけに、求職者が、自ら悪いエージェントに騙されないように自ら防衛するしかない。

3 あるべきエージェントの姿勢

 誠意ある良いエージェントは、求職者にとって、現在の勤務先にて引き続き勤続をすることがその人の人生にとって最適だと思えれば、むしろ、転職を思い留めることを薦めるものである。あくまでも、求職者の人生によりそった言動をとるべきなのだ。目先の金ではなく。
 それこそが、まさしくあるべき良いエージェントの姿そのものであり、ヒトの人生に携わる者としての当然の姿勢と言えるのではないだろうか。
 
4 良きエージェントの見分け方

 「求職者の話を聴く」「対応が迅速」「マナーや対応が良い」などが、巷間言われている。しかし、それだけで「良い」と確信して良いのだろうか。

 良い不動産屋は、住宅購入後のクレーム対応、アフターフォローが行き届いている。
 良いパソコンメーカーは、サポート体制を充実させている。
 良い企業とは、目先の利益ではなく、心底、成約後の顧客(この場合求職者)の利益を重視して、取引後もそのフォローに時間と費用を惜しまない。

 そこで、求職者の皆様には、エージェントに対しては、以下の問いかけをされることを強くお勧めする。
 「私(求職者)は、仮に転職したとしても、そこで仕事には満足していても、転職先とそりが合わず、人間関係に悩む目にあいたくないんですよね。そんなことで居づらくなるなんてもったいないですもんね。○○さん、そんな転職者からの相談に、これまでも数多く対応されてこられたと思いますが、具体的にどんなことがございましたか。私も、転職後にご相談させていただくことも無いとも言えませんので、聴かせていただけますか。」
「(いったん、エージェントの話を聴き)」
「へー、そうですか。それは、大変興味深いです。どんな業界のどんなポジションでしたか。具体的にはどのような悩みで、それに対してどのようにアドバイスされたんですか。アドバイスされるうえで、どのようなことに留意されたんでしょうか。きっと、私もご相談することになるかと思いますので。。。」
 と、突っ込んで問いかけてみるべきだ。
 求職者にとっては、違和感なき、当然の質問である、躊躇する必要は全くない。なにせ、転職とは、自分の人生がかかっているのだから。

 ヒトは、唐突な質問に対して、一の矢でその場しのぎの話はできても、その背景や具体的な事柄まで、一瞬にして創作はできないものだ。
 アフターフォローにまで取り組んでいない、つまり求職者の為の取り組みを取ってこなかったエージェントは、その回答が出来ない、もしくは、澱んだ辻褄の合わない回答になるはずだ。

 専門家だから信用した、これは多くの不幸の出発点で聞かれるフレーズである。 自身の幸せを確実にするために、たった一つの「ひと手間」が求められる。
 自身のその転職成功の為にも。

※ご参考(エージェントの実態を記した別記事)
実話。暴露します!大手企業の人の減らし方。誰も知らない人材紹介会社と組んだ陰のカラクリ。転職を余儀なくされた社員の行く末は。


※毎回、ご一読いただき誠にありがとうございます。書き記した内容は、私川野が大手人材紹介会社の教育研修部長時代に見聞き、体験した「実話」です。よって、個人名や企業名が判明しないよう若干の表現上の工夫をしております。何卒ご了承願います。
おかげさまで、投稿を始めてはや1か月。多くの方々から大きな反響をいただいております。Noteの好きボタンやフォローをしていただければ幸いです。
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