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snowmoon_1999
2022年7月4日 22:19
生と死について、考えない日があったとしたらどれほどいいだろう。地球儀の青い海は死で、大地は生。大地は唸る。海は攫う。今大地に立つ私から、海は攫うのだ。生きてたものを。私が死後にどこにいこうと、今の私には知りもしないが。あの命が今どこにいるのか、地球儀を何回廻しただろう。地球を何周しても、海に飲まれた鼓動は聞こえない。足音は鳴らない。ど
2021年11月15日 19:45
停電にあった冬の夜。久しぶりにやかんでお湯を沸かして、溜め込んだ貰い物のキャンドルに火を灯して、あったかいお茶を飲んだ。よしない話は尽きないけれど、テーブルの下は冷え込んで、ああ、こたつが欲しいなあ、と二人は身を寄せ合った。いつもより顔を近づけて、やかんのピーピー呼ぶ音が、もう何度目か、鳴っていた。やかん、捨てなくて良かったね。キャンドルの火が綺麗だね。いつもよりお互いの
2021年11月4日 21:30
おいかけっこ本当に哀しいのは、心は凍えているのに季節は春になることです。本当に寂しいのは、心が晴れないままお外の雨が上がることです。本当に苦しいのは、眠れないまま朝を迎えることです。明日も生きたいと悔しがって死ぬのは幸せなことです。もう死にたいと思いながら生きるのは不幸せなことです。かけがえのない友を亡くした日の空はとても青かったです。その次の朝も昨日と変わらず蝉が鳴きま
2021年10月15日 18:46
足が地面に沈み込む夜。足下に影をつくらない星月夜。熱のこもったからだが世界でたったひとりの(わたし)という存在。「もしもし、 今日見た夢の話を聞いて。」町。灯りも人の気配もなくて、いつもの地面も不確かで、滑るように流れるように辿り着いたあなたの家の前。そこに、月が光る。最上階の角部屋。私の心の拠り所。この世界でたったひとつの光をじっと見上げていた
2021年6月28日 18:01
「事実」早とちりしてむしりとった青い果実の味。いつまでもいつまでも口の中に渋く残る。幼い頃の珈琲の苦味よりずっと不愉快に。そうして虚ろな表情で彼女はそれを噛みつぶす。そうしてつぶれた塊は、彼女の細い喉を通る。いつまでもいつまでも噛みつぶす。いつまでもいつまでも飲み込んでいる。それでも腹は満たされず、後悔ばかり満ち満ちてあの頃の珈琲の味を懐かしむ。気づいた時にはもう遅く、
2021年4月2日 19:12
辛いことがあって泣きたい時に みんなこぞって空を見るのは僕らだれも空を飛べないからだろうみんな素直に翼が欲しいと言えるのはだれもひとりでに空を飛べないからだろう 君を傷つけるあいつも 僕がつかまえられない君も みんな地面にくっついて 公平に空を飛べないからだろう
2021年3月29日 18:00
僕には似合わない派手な匂いの香水をつけて真っ新な雪を葡萄酒色に染めていく酔って火照っても流れ落ちない君の記憶は今年また一段と冷たくなって僕の心臓をも貫きそうなところでいつも春は訪れるんだ
2021年3月28日 19:45
いつも私は前を歩く貴方の歩みにならって歩けばよかった。狭い歩道に仁王立ちする電柱も群がって広がる学校帰りの子供らも忙しなく行き交う色んな色した自動車も先に貴方が避けるから私は貴方の足下を見るだけで良かった。ときどき私は酷く落ち込んでいつもより頭を垂れて貴方の歩みも見えなくなった。ときどき貴方はふいに空を見上げて突然歩みを速めると私はそれに追いつけなくなった。私は重た
2021年2月6日 15:37
涙でぬかるんだ僕の危うい足下は君の足跡で踏み固められる僕と君の並んだ足跡僕ら前にしか進めないから隣を歩く相手がいつか変わったとしてもこの足跡はきっと消えない過去から押し寄せる波に消されてしまわないように今ここでふたりめいっぱい泣こう地面が乾いたらふたりの証は永遠になる僕は君に出会えて本当に良かった #404美術館
2021年2月2日 18:00
君に会えないのなら君に会えないこの星よりも君のいる向こう側へいきたくなるときもあるだけど君と僕とで重ねた思い出の場所からは離れられないだろう忘れられない後悔は僕を今も苦しめるけれど君の温もりをここに置いていけない君の記憶は僕の歩く道の片隅にときどき芽を出して涙を流す時間をくれる花が咲いたのを確認して花がいちばん綺麗に咲いている間に僕は
2020年10月25日 18:00
目を覚ますために淹れた熱いコーヒーは僕を追い越してあっという間に冷めた僕はまだ夢に耽る窓から新しい季節の風が入り込む僕の夢にシチュエーションがひとつ加わる人生に必要なのは苦いコーヒーの味とかじゃなくて勝手に流れてくるような僕には動かすこともできない時間にまとわりつく色と面影僕と君との距離は地球の果てより遠くなってしまったけれど夢の中で会えるのなら午前零時にはじまりの挨拶を
2021年3月5日 20:15
長い夜の帳が下りる頼りない月明かりが昇る目に涙をためて灯りのない狭い箱の中ものみやぐらは暗闇の中思い切り伸ばした手に虚を浮かべて重ならない人の肌冷たい地面に触れる肌手探りで這う夜は哀しいひとりと感じる夜は寂しい視界を覆う夜はキライ探り探り冷たい指先で人の温もりをみつけたら抜け出そうとはしないただ時が経つまで手を重ね合うだけ存在を分かち合うだけ顔も見えない