詩 「生と死」
生と死について、
考えない日があったとしたらどれほどいいだろう。
地球儀の青い海は死で、
大地は生。
大地は唸る。
海は攫う。
今大地に立つ私から、
海は攫うのだ。
生きてたものを。
私が死後にどこにいこうと、
今の私には知りもしないが。
あの命が今どこにいるのか、
地球儀を何回廻しただろう。
地球を何周しても、
海に飲まれた鼓動は聞こえない。
足音は鳴らない。
どうか波の穏やかな海域で、
右も左も上も下もなく、
自由に踊っていられますように。
そして今私のそばで音を鳴らす命たちを、
もうどうか私より先に攫わないで。
ふとした瞬間に間違えたふりをして、
飛び込むような真似はしないけれど、
青い海が静かなせいで、
大地のけばけばしい音楽が響き渡るのは、
もう恐怖でもあるのです。
徐々に徐々にオーケストラの楽器の数が減っていって、
波が高く荒くなり、
そこに命が飲まれて消えていくのを目撃して、
あとに残った静けさが、
私は一番怖いのです。
地球儀を今日も廻して、
真ん中目指して逃げていく。
私の失いたくない命を抱えて、
でも抱えきれなくて、
私はうずくまって泣きます。
狭まる大地、
迫る大津波を背に、
音は小さく細くなり、
あの忘れられないくらい明るい破顔。
今日も歩かねば、
守りたい命抱えて。
音楽を鳴らして。
穏やかな海の中で心地よく踊れるように。
届くように。
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