清水はこべ

歌って演じる書き手。物語と歌とお芝居が好き。言葉と声、音と映像で、物語を紡ぎたい。 …

清水はこべ

歌って演じる書き手。物語と歌とお芝居が好き。言葉と声、音と映像で、物語を紡ぎたい。 小説・詩歌・作詞作曲・歌・台本・声劇・朗読・絵・動画・エアハモ・多重コーラス・DTM・ラジオ、他、雑多に。 ★nana、note、YouTube、radikotalkやってます。

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今更のご挨拶 〜清水はこべのプロフィール〜

そう言えば、ご挨拶していませんでしたね。 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ごきげんよう。あるいは、はじめまして。 清水はこべ、と、申します。 1.歌…

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淡い憧れだけで

 中古の小さな鍵盤は、四千円もしなかった。  ハノンの楽譜は千円ちょっと。表紙には「大人からはじめる」と書かれている。  恐る恐る、注文ボタンを押した。子どもの…

清水はこべ
2か月前
17

胸に咲く夢

遠い星と銀河を超えて 静かにあなたの船は往く 黒く凍る闇の狭間に 熱く刹那を刻みながら この星に 繋がれた私には 幾億の星を超え 刻を超え旅をする あなたが見えなく…

清水はこべ
2か月前
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雨の記憶 【詩と絵 〜実験の欠片〜】

そっと窓を開けて 雨を眺めている 街並みを洗う 幾多の雨粒 窓枠に肘をついて ただ 眺めている 雨の匂いに 滲む記憶 ちいさな長靴と 水たまり 大きな手のぬくもり シ…

清水はこべ
3か月前
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9月のブランケット

窓の外 鈴虫の鳴き声 うろこ雲に滲む 月あかり 室温は25℃ 洗い立てのシーツと ブランケットを 独り占め 枕元に持ち込んだ 君の苦手なアールグレイ 微睡みに 熊蝉の空耳…

清水はこべ
7か月前
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レファヌキ共和国の道案内(リレー小説「レファヌキ共和国の物語」のご紹介)

 ようこそ、レファヌキ共和国へ。  この国は、ひとりのクリエイターが呟いた、たった一言から生まれた、架空の国です。  沢山のクリエイターを惹きつけて、数々の音楽…

清水はこべ
8か月前
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波を鳴らして【小説】

 第一部 山の風  夏休みに、妙子さんの家に行くのは、楽しみでもあり、憂鬱でもあった。  大好きな妙子さんの家は、山の上で、小学生の私は、乗り物に弱かったから。…

清水はこべ
8か月前
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遠い夏休み

 水飛沫の中に  きらめくのは  狭い庭先の  ビニールプール  初めての海と  若かった両親  水飛沫の中に  きらめくのは  幾つもの  遠い夏休み  X(Twitte…

清水はこべ
8か月前
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赤い金魚にあこがれて

 金魚すくいは  幼い日の憧れ  連れて帰っても  長い時間を  共には過ごせなくて  いつも泣くのに  お祭りのたびに  鮮やかな赤に  魅せられていた

清水はこべ
9か月前
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父の一周忌に寄せて 『銀雨の星 〜♭4 self cover 2023 〜』

「この歌、何だか、お父さんを思い出した」  私が作詞で参加した、なおがれさんとの共作オリジナル曲を聴いて、母がそう言った。  父の事を書いた詞ではない。  でも…

清水はこべ
9か月前
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見えない星

知ってるんだ もうすぐ 朝が来る事を だけど 信じられないんだ もうすぐ 朝が来るなんて ブランケットと シーツの隙間で 震えながら 見えない星を 探してる 信じたい…

清水はこべ
10か月前
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夢の旋律 【#シロクマ文芸部 (お題「消えた鍵」)】

消えた鍵 錆びた錠 閉ざされた夢の扉 白む空 溶けて行く 懐かしい声の記憶 思い出せない旋律 陽の中に 探しながら 腫れた目の微笑みで 歩き出す 朝の街

清水はこべ
10か月前
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「山上サクラさんのお宅ですか?」  玄関先に訪れた塩人の少年は、貝殻を手にしている。大叔母の言った通りだ。 「サクラは、私の大叔母です。十五年前に他界しました」…

清水はこべ
11か月前
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十六夜の贈りもの【短編小説】【#シロクマ文芸部】

 銀河売りの仕事は、今が書き入れ時だ。それは分かっている。  でも、待ち合わせに百年も遅れてくるのは、どうかと思う。 「悪い悪い、立て込んでて、連絡できなくてさ…

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11か月前
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アナログ巌流島【ショートショート】

「10分後、巌流島に着陸します」  アナウンスを聴いた途端、夫は、防護服のグローブで、私の手を握りしめた。 「巌流島だ! アナログの巌流島!」 「痛いよ。落ち着い…

清水はこべ
11か月前
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顔自動販売機【ショートショート】

「30分遅れます。誠に申し訳ございません」  上司宛にメッセージを入れると、バス待ちの列から離れた。  何て事だろう。よりによって、顔を忘れてくるなんて。  帽子…

清水はこべ
11か月前
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今更のご挨拶 〜清水はこべのプロフィール〜

今更のご挨拶 〜清水はこべのプロフィール〜

そう言えば、ご挨拶していませんでしたね。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。ごきげんよう。あるいは、はじめまして。

清水はこべ、と、申します。

1.歌って演じる書き手【自己紹介】月の半分は、熱を出している子どもでした。外で友達と遊ぶ事は少なくて、家の中でばかり、遊んでいました。

本が好きで、歌が好きで、ごっこ遊びが好きでした。

「三つ子の魂百まで」って、多分本当です。

百歳に

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淡い憧れだけで

淡い憧れだけで

 中古の小さな鍵盤は、四千円もしなかった。

 ハノンの楽譜は千円ちょっと。表紙には「大人からはじめる」と書かれている。

 恐る恐る、注文ボタンを押した。子どもの頃を思い出しながら。

 確か、小学校四年生だったと思う。

 ピアノの教室に、半年だけ通っていた。いや、半年も持たなかったかもしれない。

 教室の事は、断片的な記憶しか残っていない。叩かれた手の甲が痛かった事ばかりを、強烈に覚えてい

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胸に咲く夢

胸に咲く夢

遠い星と銀河を超えて
静かにあなたの船は往く

黒く凍る闇の狭間に
熱く刹那を刻みながら

この星に
繋がれた私には

幾億の星を超え
刻を超え旅をする
あなたが見えなくて

灰色の空
見上げて祈るの

魔法なんて使えないけど
空も自由に飛べないけど

胸に咲く夢ひとつ
歌にする

あなたに届くかな

闇の狭間で
ちいさな道標に
なれるかな

  消えない痛みは
  動力に

  消せない夢を
 

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雨の記憶 【詩と絵 〜実験の欠片〜】

雨の記憶 【詩と絵 〜実験の欠片〜】

そっと窓を開けて
雨を眺めている

街並みを洗う
幾多の雨粒

窓枠に肘をついて
ただ
眺めている

雨の匂いに
滲む記憶

ちいさな長靴と
水たまり
大きな手のぬくもり

シャツを濡らして
走る少年
渡せなかった折り畳み傘

ぼんやりと鮮やかな
幾つもの景色

今はもう失われた
幾つもの景色

そっと窓を閉じて
雨音を聴いている

屋根を叩く
不規則なリズム

灯りもつけず
ただ
聴いている

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9月のブランケット

9月のブランケット

窓の外
鈴虫の鳴き声
うろこ雲に滲む
月あかり

室温は25℃
洗い立てのシーツと
ブランケットを
独り占め

枕元に持ち込んだ
君の苦手なアールグレイ

微睡みに
熊蝉の空耳
入道雲と太陽の幻

室温は25℃
長袖のTシャツと
ブランケットが
丁度いい

ふたりの夏の名残は
指輪の跡の白さだけ



やうさんとのTwitter(現X)での会話から生まれた作品です。

 昨年7月に、やうさんから

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レファヌキ共和国の道案内(リレー小説「レファヌキ共和国の物語」のご紹介)

レファヌキ共和国の道案内(リレー小説「レファヌキ共和国の物語」のご紹介)

 ようこそ、レファヌキ共和国へ。

 この国は、ひとりのクリエイターが呟いた、たった一言から生まれた、架空の国です。

 沢山のクリエイターを惹きつけて、数々の音楽や、物語や、絵画の舞台となったこの国を、あなたも旅してみませんか。

その1 建国
1 あーば一さんの一言

 始まりは、2021年10月、あーばーさんのTwitter(現X)の一言でした。

「ありそうで無い国名を教えて下さい」という

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波を鳴らして【小説】

波を鳴らして【小説】

 第一部 山の風

 夏休みに、妙子さんの家に行くのは、楽しみでもあり、憂鬱でもあった。

 大好きな妙子さんの家は、山の上で、小学生の私は、乗り物に弱かったから。

 新幹線を降りた後で、カーブの多い山道を走るバスで過ごす二時間は、永遠の様に長かった。

「すみれ、見て。ほら、もうすぐ滝が見えるよ」

 母が、私の気を紛らわそうと、窓の外を指す。私は黙ってうなずく。

 本当は、うなずくのも辛く

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遠い夏休み

遠い夏休み

 水飛沫の中に
 きらめくのは

 狭い庭先の
 ビニールプール

 初めての海と
 若かった両親

 水飛沫の中に
 きらめくのは

 幾つもの
 遠い夏休み

 X(Twitter)のお題企画「深夜の2時間DTM」参加作品です(お題に沿って、2時間で作曲する企画です)。

 参加したお題は、「水遊びをイメージした曲」。

 GarageBandでインスト曲を作り、動画をつけました。

 39秒

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赤い金魚にあこがれて

赤い金魚にあこがれて

 金魚すくいは
 幼い日の憧れ

 連れて帰っても
 長い時間を
 共には過ごせなくて
 いつも泣くのに

 お祭りのたびに
 鮮やかな赤に
 魅せられていた

父の一周忌に寄せて 『銀雨の星 〜♭4 self cover 2023 〜』

父の一周忌に寄せて 『銀雨の星 〜♭4 self cover 2023 〜』

「この歌、何だか、お父さんを思い出した」

 私が作詞で参加した、なおがれさんとの共作オリジナル曲を聴いて、母がそう言った。

 父の事を書いた詞ではない。

 でも、確かに、父の事が無かったら、書けなかった詞だ。

 昨夏、長い闘病生活を終えて、父が旅立った。

 覚悟はしていた。

 元々、主治医から「生きているのが不思議だ」と言われていた父だ。最後の入院では、「これ以上、治療の手立ては無い」

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見えない星

見えない星

知ってるんだ
もうすぐ
朝が来る事を

だけど

信じられないんだ
もうすぐ
朝が来るなんて

ブランケットと
シーツの隙間で
震えながら

見えない星を
探してる

信じたいんだ

もうすぐ
朝が来る事を

夢の旋律 【#シロクマ文芸部 (お題「消えた鍵」)】

夢の旋律 【#シロクマ文芸部 (お題「消えた鍵」)】

消えた鍵
錆びた錠
閉ざされた夢の扉

白む空
溶けて行く
懐かしい声の記憶

思い出せない旋律
陽の中に
探しながら

腫れた目の微笑みで
歩き出す
朝の街

恋の海葬【ショートショート】(お題「塩人」)

恋の海葬【ショートショート】(お題「塩人」)

「山上サクラさんのお宅ですか?」

 玄関先に訪れた塩人の少年は、貝殻を手にしている。大叔母の言った通りだ。

「サクラは、私の大叔母です。十五年前に他界しました」

 私は懐から、形見の貝殻を取り出し、少年の貝殻に重ねた。



 二枚の貝殻は、僕の手の上で、ぴったりと合った。伯父から聞いていた通りだ。

「僕は、大浜カナメの甥です。伯父は、先月亡くなりました。遺言で、遺灰を届けに来ました」

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十六夜の贈りもの【短編小説】【#シロクマ文芸部】

十六夜の贈りもの【短編小説】【#シロクマ文芸部】

 銀河売りの仕事は、今が書き入れ時だ。それは分かっている。

 でも、待ち合わせに百年も遅れてくるのは、どうかと思う。

「悪い悪い、立て込んでて、連絡できなくてさ」

 兄は、大して悪びれもせずに笑った。

 銀河売りの兄にとっては、百年など、ほんの一瞬でしか無いのだろう。

 でも、星飼いの私にとっては、そうじゃない。

「あのね、百年も経つと、ヒトなんて、一世代が丸ごと全部消えちゃうんだよ」

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アナログ巌流島【ショートショート】

アナログ巌流島【ショートショート】

「10分後、巌流島に着陸します」

 アナウンスを聴いた途端、夫は、防護服のグローブで、私の手を握りしめた。

「巌流島だ! アナログの巌流島!」

「痛いよ。落ち着いて」

「あ、ごめん」

 夫は慌てて手を離し、深呼吸した。こういう素直なところ、可愛いよな。



 古代、人類が防護服無しで、地表で生きていけた頃も、新婚カップルは旅に出たらしい。

 バーチャル旅行全盛の昨今も、新婚旅行は、

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顔自動販売機【ショートショート】

顔自動販売機【ショートショート】

「30分遅れます。誠に申し訳ございません」

 上司宛にメッセージを入れると、バス待ちの列から離れた。

 何て事だろう。よりによって、顔を忘れてくるなんて。

 帽子を深く被り直す。眼鏡とマスクも着用している。一見して、顔が無い事に気づく人間は居ない筈だ。

 急ぎ足で角を曲がり、細い路地へ向かう。家に戻るより早い。

 路地の先の小さな公園は、いつもながら寂れていた。人目が無いのを確認して、中

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