パリ、サン・ジェルマン大通り。 影は身を潜めている時間、 電灯を横切るたびゆらりと姿を現わす。 透明な夜道を早足で歩く。 早足といっても 寒くて仕方ない時に身を竦め…
私をまっすぐ見ている鯨 いいえ、目は合っていない。 鯨の視線は宙を彷徨い、ふやけていく 今頃君はさ、知らない女の子と 見つめ合って、笑い合って、お酒でも飲んで、 簡…
ぐるぐると頭を支配するいろんな感情、 止まない雨みたいに、私の肌に染み込んでしまう めかるんだ地面。黒くて重たい。 束の間、雲の切れ目。 やっとか、というように持…
真上の太陽、 かすかに揺れている湖の水面、 君のTシャツの白。 どれもこれも真夏の日差しのせいで 目に突き刺さるんだ コンクリートを触ると手が焼けそうになった それで…
足の裏を包むのは熱した砂 私の身体には昨日の夜から引かない火照り ひたすら照りつける太陽 じりじり、じりじり 少し前を歩く君の背中を見つめて 少しはねた髪の毛を愛し…
イタズラにあの綺麗な球を見てみたくなった。 球を手に取って、つついて、見つめた 微かに震える美しい球を見ると どこか満たされるような気がしていた しばらく球は私の…
あまり知らない布団の中で目覚めた午前10時 のろのろと起き上がってパンツを探した 最後にカシミヤのコートを着て扉を開くと、 春の空気に包まれた。 空は柔らかなブルー…
濡れる銅の肌 春の終わり。 白い粒子に包まれた彫刻と君、私 咲き乱れる石楠花 磨かれた石の表面に反射して 上下に広がる濃い紅色 横に立つ君のことを見つめた 見たい、…
君がお気に入りだと言っていたそのパーカー 君がくれたこのキャップ ほてって血色感のある君の頬 僕の頬にはそばかす 銭湯で温まった体に流し込んだジュース 甘酸っぱい…
背が高くて、ツンと上を向いた顔 いつも空を見ているその視線は 僕とは全く交わらない。 春の嵐の中、堂々と咲く姿が美しい 見上げても見上げても届かない その白い肩に口…
気がついたら点っていた ふわりと。 その時にあなたの灯りも何故か見えた 確信はないけどあなたの瞳の奥を見つめると その瞳は赤く灯っているように見えた あなたから贈ら…
分け合う体温 微睡の午前11時 何度も息継ぎする眠り 空は灰色で、ツンと冷たい空気 ひんやりと頬を濡らす細かい雨が漂っていた 腹を空かせた2人は近くの喫茶店へ向かった …
回る惑星たち 君と出会って、 初めて月に行っちゃったんだ。 2人で真空の中を散歩した。 真新しい雪のように、 まだ誰も踏みしめたことのない月面に足跡を残した。 浮い…
年の瀬 この12ヶ月の愛しい日々 君と過ごした他愛のない時間や共に見た新しい景色を 各駅停車のように少しずつなぞった あたたかくて、やわらかい光を含んだ瞬間が 私の心…
種のない柿が多いらしい この頃は。 瑞々しくて美味しくて何個でも食べたいな ただ柔らかくて甘い。 なんの苦さも酸っぱさもない 本当の実なのかなって不思議に感じてし…
菊の花たち 綺麗に開いて消えた。 今日は晴れ。 涙を落としても、 風を吹かせても、 残る煙。 藍の上に白い靄 星空なんて一向に見えなくて、 いつまでもぼやけている。 …
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2024年9月23日 23:57
パリ、サン・ジェルマン大通り。影は身を潜めている時間、電灯を横切るたびゆらりと姿を現わす。透明な夜道を早足で歩く。早足といっても寒くて仕方ない時に身を竦める感じではなくて、すいすいした感じだ。こだわって調合された香りを含んだ夜の空気。ふわーっと身を軽くしてくれる。いつもの階段をのぼる。丸いドアノブを引くと珈琲と煙草のにおいが迎え入れてくれる。
2024年8月24日 21:56
私をまっすぐ見ている鯨いいえ、目は合っていない。鯨の視線は宙を彷徨い、ふやけていく今頃君はさ、知らない女の子と見つめ合って、笑い合って、お酒でも飲んで、簡単な駆け引きして、ちょっと甘えた顔して、キスしてるんでしょう。あの香水をつけた腕でその子を抱きしめて、眠りについているのでしょう。メロドラマのシナリオから抜けられない男女。テンプレートをなぞるだけのつまらない恋愛ごっこ。
2024年8月2日 12:18
ぐるぐると頭を支配するいろんな感情、止まない雨みたいに、私の肌に染み込んでしまうめかるんだ地面。黒くて重たい。束の間、雲の切れ目。やっとか、というように持ちわびてい花たちが太陽に向かって、ぐんぐんと伸びる君に小さなキスを。やわらかく。生き生きと。虫たちもよろこんでダンスしたそしてまた嵐枯れた葉がとびかう。吹きだまる。水を含んで重たくなった葉その重さで花たちは死んだ。
2024年7月19日 16:00
真上の太陽、かすかに揺れている湖の水面、君のTシャツの白。どれもこれも真夏の日差しのせいで目に突き刺さるんだコンクリートを触ると手が焼けそうになったそれでも君も私もこの夏が嫌じゃなかった眩しくて目を細める君を見つめる時間がたまらなく好きでここを離れるには惜しかった数ミリずつ伸びる影をたまに見て太陽を恨めしく思った。
2024年6月25日 10:06
足の裏を包むのは熱した砂私の身体には昨日の夜から引かない火照りひたすら照りつける太陽じりじり、じりじり少し前を歩く君の背中を見つめて少しはねた髪の毛を愛しく思った高い空、広がる海、砂、砂、砂すぐ近くにいるのに、追いつけなくなるんじゃないかと不安になる砂に踠けば踠くほど苦しいこっちを向いて、お願い、振り返ってゆらゆら、ゆらゆら蜃気楼に紛れていなくならないで
2024年6月5日 23:03
イタズラにあの綺麗な球を見てみたくなった。球を手に取って、つついて、見つめた微かに震える美しい球を見るとどこか満たされるような気がしていたしばらく球は私の周りを寄っては離れて浮遊する引き寄せて、引き寄せて、そして跳ね返した不安定に揺れる、揺れる、そして壊れる球を失って空っぽになった瞳が宿すのは苦しみ。それでも破片を胸の奥で大事に握りしめる姿は惨めで愛しいから好きだった。私
2024年5月6日 13:17
あまり知らない布団の中で目覚めた午前10時のろのろと起き上がってパンツを探した最後にカシミヤのコートを着て扉を開くと、春の空気に包まれた。空は柔らかなブルーで、立ち寄った花屋に溢れるのは黄色ミモザ、ラナンキュラス、チューリップ陽の光を凝縮したように輝く花たちさて、帰って洗濯でもしようか。と思った矢先に小田急線、運転見合わせのアナウンスが。わずかな時間でホームは人で溢れかえ
2024年5月1日 14:16
濡れる銅の肌 春の終わり。白い粒子に包まれた彫刻と君、私咲き乱れる石楠花磨かれた石の表面に反射して上下に広がる濃い紅色横に立つ君のことを見つめた見たい、奥の方まででも私には君のことがまるで見えてなくて。目の中にある丸太が大きすぎて潰れそうだめいいっぱい広がる年輪に慄いて瞬きをしたぱっとこちらを向く君の顔見えた君の眼に映った紅燃えているのは君なのか、花なのか
2024年4月25日 16:26
君がお気に入りだと言っていたそのパーカー君がくれたこのキャップほてって血色感のある君の頬僕の頬にはそばかす銭湯で温まった体に流し込んだジュース甘酸っぱいジュースはヒヤヒヤ瓶の中今夜は月が隠れているね僕たちの散歩道を照らしているのは街灯全部オレンジ色だね時々キラキラして見えるのは雨上がりの草花水分をたくさん含んだ光の粒子が自由に動いているそんな夜。ゆったりと歩く春
2024年4月25日 16:21
背が高くて、ツンと上を向いた顔いつも空を見ているその視線は僕とは全く交わらない。春の嵐の中、堂々と咲く姿が美しい見上げても見上げても届かないその白い肩に口付けることを夢見て今日も眠る
2024年1月22日 03:30
気がついたら点っていた ふわりと。その時にあなたの灯りも何故か見えた確信はないけどあなたの瞳の奥を見つめるとその瞳は赤く灯っているように見えたあなたから贈られる視線はやわらかくて、あたたかくて、いい心地だ大事に燃やしていた ぽわりと。でもあなたの灯りはいつの日か見えなくなった急にあたりは暗くなったようだ私は私の灯りを信じたかったでも見失ってしまったんだ灯りは消えてしまったん
2024年1月21日 01:03
分け合う体温微睡の午前11時何度も息継ぎする眠り空は灰色で、ツンと冷たい空気ひんやりと頬を濡らす細かい雨が漂っていた腹を空かせた2人は近くの喫茶店へ向かったあたたかいごはんとコーヒー有線から流れるジャズと話し声、食器が軽くぶつかる音たち雑音と満腹感が眠気を引き寄せた目を閉じて、熱すぎるコーヒーを啜ると、知らない香水の匂いが混じっていて、肌の温度を思い出したりした。
2024年1月7日 00:45
回る惑星たち君と出会って、初めて月に行っちゃったんだ。2人で真空の中を散歩した。真新しい雪のように、まだ誰も踏みしめたことのない月面に足跡を残した。浮いてどこかに行ってしまわないように、指を絡めて、ひんやりとした君の掌が重なると安心した。ねぇ、あのステップは覚えてる？三拍子、優雅なヴァイオリンの音色最後にはさ、なんだかすごく目が回って2人で寝転んで宙を眺めたよねあ
2024年1月7日 00:44
年の瀬この12ヶ月の愛しい日々君と過ごした他愛のない時間や共に見た新しい景色を各駅停車のように少しずつなぞったあたたかくて、やわらかい光を含んだ瞬間が私の心のフォルダを満たしている君といたからこそ美しく見えた世界を懐かしく思って。少しだけ心を痛めて…君もこうやって思い出したりするのかな？君と見た海より、朝日より、花火より特別な景色が見れるのかな見たいな。そんな
2023年12月31日 17:23
種のない柿が多いらしいこの頃は。瑞々しくて美味しくて何個でも食べたいなただ柔らかくて甘い。なんの苦さも酸っぱさもない本当の実なのかなって不思議に感じてしまう。奥にある核がほしくて、皮を齧り果肉を噛み果汁を啜ったしかしそこには無かった。実は朽ちる、その後に何も残りはしない。空虚でくだらないことだわ。
2023年12月31日 16:24
菊の花たち綺麗に開いて消えた。今日は晴れ。涙を落としても、風を吹かせても、残る煙。藍の上に白い靄星空なんて一向に見えなくて、いつまでもぼやけている。それももう終わりにしたい、ばいばい。
