夜風と珈琲

パリ、サン・ジェルマン大通り。
影は身を潜めている時間、
電灯を横切るたびゆらりと姿を現わす。

透明な夜道を早足で歩く。
早足といっても
寒くて仕方ない時に身を竦める感じではなくて、
すいすいした感じだ。

こだわって調合された香りを含んだ夜の空気。
ふわーっと身を軽くしてくれる。

いつもの階段をのぼる。
丸いドアノブを引くと
珈琲と煙草のにおいが迎え入れてくれる。

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