静物の前で

濡れる銅の肌 春の終わり。

白い粒子に包まれた彫刻と君、私
咲き乱れる石楠花
磨かれた石の表面に反射して
上下に広がる濃い紅色

横に立つ君のことを見つめた
見たい、奥の方まで
でも私には君のことがまるで見えてなくて、

目の中にある丸太が大きすぎて潰れそうだ
めいいっぱいに広がる年輪に慄いて瞬きをした

ぱっとこちらを向く君の顔
見えた。
君の眼に映った紅
燃ゆる花


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