流血

イタズラにあの綺麗な球を見てみたくなった。
球を手に取って、つついて、見つめた
微かに震える美しい球を見ると
どこか満たされるような気がしていた

しばらく球は私の周りを寄っては離れて浮遊する
引き寄せて、引き寄せて、そして跳ね返した
不安定に揺れる、揺れる、そして壊れる

球を失って空っぽになった瞳が宿すのは苦しみ。
それでも破片を胸の奥で大事に握りしめる姿は
惨めで愛しいから好きだった。

私の皮膚にどろりと纏わりつく血の熱さに
心臓がどくどくした。

憎しみ悲しみ苛立ち羨望、恋心。
そんな刺々しい視線がジリジリ突き刺さって
最悪に居心地が悪くて、最高に気持ちがよかった

ごめんね、こんなこと言って、
でも知らなかったの?


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