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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、家族、ヤギ、トリ、仕事、そして考え事の日々。
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#ヤギ

ヤギとニワトリと憧れのピクニック

ヤギとニワトリと憧れのピクニック

暑くもなく寒くもない、11月のある日の午後。

いつものように庭に出て、ヤギとニワトリたちと遊んでいた。とても気持ちが良い天気だった。青く澄んだ空は、ずっと見上げていたい色をしている。

この日は少し特別だった。

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ニワトリは水浴びをしない代わりに、砂浴びをする習性がある。腐葉土のように少し冷たく、しっとりサラサラした土が好きみたいだ。この日もそんな絶妙なスポットを勝手に見つけては楽しそ

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電子書籍の出版と夏の思い出

電子書籍の出版と夏の思い出

2023年8月15日、電子書籍を出版した。

こう書いてしまうと簡単なのだけど、この21字の一部始終にはたくさんの時間と想いを注ぎ込んだため、そのことについて書いてみたい。

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電子書籍の出版については、実は昨年から漠然と考えていることだった。なんなら生きているうちに何かしらのかたちで自書を出版したいというのは、もっと前からの夢であった。

それを実現させようと思えたのは、他ならない飼いヤ

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なぜか森は暖かい

なぜか森は暖かい

最近、森へ行くと暖かいことに気が付いた。家のお勝手よりも、庭よりも、ヤギ小屋よりも、どこよりも森の中にいると暖かい。

底冷えする日が増えてきて、隙間だらけの古民家は暖房器具を付けなければ外気温と変わらない。むしろ日光が当たらない部屋だと屋外よりも冷え込んでいる。料理しながら白い息を出している自分がなんだか面白い。

そんな冬本番を体いっぱい感じるなか、森だけは明らかに暖かいのである。不思議だ。

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飼いヤギと毛布さん

飼いヤギと毛布さん

最近飼いヤギがひどく気に入っているものがある。

それは「毛布」だ。

自宅に使わなくなった毛布があったから、寒くなってきたこともあって、ヤギにその毛布をあげてみることにした。以前も別の毛布をあげたことがあったが、その時はあまりお気に召さなかったようで、大切にしてくれなかった。

しかし今回の毛布はちょっと違うらしい。人間目線で分かる違いと言えば、生地の素材が以前よりもつるつるしていてシルクのよう

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染まっていく毎日

染まっていく毎日

未知で新しかったことも、生活に馴染んでしまえばそれが「その人の当たり前」となる。

先日、ヤギのエサ取りで庭に出ていた時のこと。この作業は自分にとって、いつから当たり前になったのだろう、と考えた。

寒さが厳しくなり、田んぼは少し寂しそうな姿をしている。そこへ大きくて真っ赤な夕日が落ちていく。小高い丘で、一人の女が二頭のヤギと一緒に草取りをしている風景があるならば、それは私の日常かもしれない。

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微生物の不思議

微生物の不思議

今年の2月、まだまだ寒い冬にヤギのフンを活用した堆肥づくりを行った。

たしかnoteでもそのことを書いたなという記憶があって、記事をさかのぼってみたら見つけた。(↓)

そして先日、その堆肥を観察していたら驚くほど「熱」を持っていて、完成が近いんだ!ということを知った。手をかざしてみると、まるでストーブに手を当てているのかな?と思うほどの熱気を感じる。

堆肥を作り始めて約7か月後の出来事であっ

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やぎさんの夏季休暇

やぎさんの夏季休暇

古民家の夏は涼しいのか?と聞かれれば、たぶんイエスになるのだろう。

今のところ、日中部屋でエアコンを付けた日はまだない。扇風機をぶんぶん回しておけば、とりあえずは事足りる。家の造りを考えれば想像は付くだろうけれど、縁側沿い全部が窓だから、どこもかしこも開け放ってしまえば半分外に居るようなもの。

とはいえ、寝室では、夜眠りにつくまでの時間はエアコンがないとツライ。だから切タイマーをセットしてお休

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傘に蛙も乙なもの

傘に蛙も乙なもの

知らない間に「期待」している。人に、物に、出来事に、繰り返しやってくる日々に。

なんだか前に進めない、気分が乗らないというとき、大体はこうやって「何か」に期待している。そしてその期待は満たされずに終わっている。

でも、無意識に期待していたんだと、そう気が付くことが出来たらラクになる。期待を認識できたとき、自分の目の前にはただ「事実」があるだけで、それ以上でもそれ以下でもないことを改めて理解する

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皐月に感じた慎ましさ

皐月に感じた慎ましさ

人が発する言葉や取る態度は、どこで誰を傷付けているか分からないものである。

当人にとっては他意がなくても、相手には全く意図していなかったように言葉を読み取られるかもしれない。無意識で取っただけの態度が、相手には失礼だと感じさせるものがあるかもしれない。

知らず知らずのうちに誰かを傷付けてしまった時、何が何だか分からず、非常にショックを受けることと思う。自分以外の他者が絡む衝撃というのは、わりか

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深層の表現

深層の表現

飼いヤギたちが真冬の寒さで震えている(比喩ではなく、本当に体をふるふる揺らしている)。

毎朝小屋までおはようの挨拶に向かうのだけど、この冬で三日間だけそういう日があった。体の後ろ側を小刻みに震わせていて、見ているこっちが辛くなった。

ヤギと一緒に湖畔で冬を越すのは、今回が初めてのこと。

彼らの体調がどうなるのか、全くの未知だった。あらかじめ獣医さんに冬における飼育上の注意点を聞いてはいたもの

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秘密の時間

秘密の時間

「おはようー」

毎朝ヤギたちに声をかける。冬の間は陽が昇るのが遅いから、大体9時頃に挨拶しに行く。

夜の間に下痢はしていないか?吐いていないか?ちゃんと元気に朝を迎えているか?いつも心配な気持ちで彼らの小屋を訪問する。今のところ、元気がなかった日は一日もなくて、なんて健康な子たちなのだ!と感心している。

私なんてしょっちゅうお腹を下すのに……。おとといも激しく下してOS1のお世話になった。

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見えない気持ち

見えない気持ち

最近ヤギたちの落ち着きがなく、メーメー鳴くことが多くなった。

ヤギはとても静かな生き物で、何かを求めているとき以外、基本的には鳴かない生き物だ。求めることはいろいろで、一番多いのは寂しいとき、空腹なとき、雨が降るとき。

特に寂しいときの鳴き声と言ったら、まるでお祭り騒ぎ。私がヤギ小屋を後にしようとすると、まるで「行かないで!置いてかないで」と言わんばかりに、声を出す。

傍にいくと鳴き止んで、

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晴れの日のヤギたち

晴れの日のヤギたち

先日の台風の後からいい天気の日が続いているように思う。

晴れの日は気持ちがいい。朝起きてさあ活動しよう!とヤル気が上がるし、一日をどうやって過ごそうか前向きに考えられる。逆に雨の日は特にヤル気が出るわけでもなく、ひどいときは何もしたくない病にかかる。

お天気予報で晴れマークが続いているだけで心が軽くなって、メンタルに優しい。洗濯物もよく乾くし、布団も干せるし、なによりヤギ達が大喜びする。ヤギは

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山羊と暮らす七日間

山羊と暮らす七日間

先週から山羊と一緒に暮らしている。いま1歳の双子ちゃんで、2頭飼うことにした。

古民家暮らしを始める前から山羊を飼う計画はあって、あとはタイミングの問題だけだったけれど、先月ちょうど里親制度で募集があり、話もトントンで進んだのでお譲り頂くことになった。体格や顔立ちがタイプだったから、とても有難いことだった。

「もともと付けていた名前は変えていいですよ」

元飼い主に言われ、新しい名前をつけるこ

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