見出し画像

微生物の不思議

今年の2月、まだまだ寒い冬にヤギのフンを活用した堆肥づくりを行った。

たしかnoteでもそのことを書いたなという記憶があって、記事をさかのぼってみたら見つけた。(↓)

そして先日、その堆肥を観察していたら驚くほど「熱」を持っていて、完成が近いんだ!ということを知った。手をかざしてみると、まるでストーブに手を当てているのかな?と思うほどの熱気を感じる。

堆肥を作り始めて約7か月後の出来事であった。もうそんなに経ったんだなあ。月日が経つのは早く、そのあいだ働き者の微生物たちはずっと活動していた模様だ。

***

そもそも堆肥づくりを始めようと思ったのは、飼っているヤギのフンがもったいなかったから。

我が家にはヤギさんが二頭いて、一日にするフンの量といえば結構な量になる。ちりとり山盛り3杯くらいにはなるのかな。

ヤギは綺麗好きで、小屋を清潔に保ってあげないと、蹄からばい菌が入って病気になってしまうそう。そんなことが起きないように、毎日丁寧にフンをとるのが私のルーティン。そういえばヤギのフンは完全に無臭。草食動物の排泄物には臭いがなくて、お掃除も苦痛じゃない。

だからどんどんフンが溜まっていって、堆肥へと生まれ変わってくれる。

先日、よく晴れた9月の日に庭仕事をやって、久しぶりに庭木の剪定をしたり、枝葉の整理目的で焚き火をしたりした。

とても穏やかな日だった。

こういう日があると、ここに暮らして良かったとか、ここで生きられて嬉しいとか、前向きな気持ちが生まれてくる。体の中から幸せホルモンが分泌されるのが分かる。お庭の作業は精神的なメンテナンスに最適だと思う。

そんな日だったから、堆肥も機嫌が良かったのかもしれない。私に「もう完成が近いですよ、さあさあ見てください」と呼び掛けてもらった気がした。

なんとなく手をかざしてみたくなって、そうしたらとっても温かい。

ヤギのフンや稲わらや雑草が、どうしてこんなふうに熱を持つのか不思議でたまらない。目には見えない微生物が働いていることは確かだ。

個人的には、肉眼では見えない力が働いている様子を見るのはわくわくする。自然界ってそういうことの繰り返し。人には想像できないスケールで動いていて。

暮らしや旅のなかでいつまでも自然を追い求めているのは、こういうわくわくをおすそ分けしてもらいたいからなんだな。絶妙なバランスで乙女心をくすぐってくる自然たち、なんて面白いんだろう。

***

ヤギたちは、自分のフンが活用されていることは知る由もない。毎日草を食べて、毎日元気に排泄する。それでいいし、それがいい。

ヤギと暮らして丸一年。すっかり家族になった彼ら。今日も明日もあさっても、私はフンをかき集めているんだろう。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。