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やぎさんの夏季休暇

古民家の夏は涼しいのか?と聞かれれば、たぶんイエスになるのだろう。

今のところ、日中部屋でエアコンを付けた日はまだない。扇風機をぶんぶん回しておけば、とりあえずは事足りる。家の造りを考えれば想像は付くだろうけれど、縁側沿い全部が窓だから、どこもかしこも開け放ってしまえば半分外に居るようなもの。

とはいえ、寝室では、夜眠りにつくまでの時間はエアコンがないとツライ。だから切タイマーをセットしてお休みしている。真夏の暑さはいつまでかな。

我が家のやぎさんたちも、絶賛夏休み中だ。

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やぎの夏休みってどういうこと?と思われそうだけど、実はやぎは夏が苦手な生き物で。どちらかというと冬型のひとたち。

敢えて彼らの仕事をあげるなら「原っぱで雑草を食べること」であるのだけど、毎日こうも暑いと仕事にならないから、やぎは今夏休みを迎えている。

つまり、原っぱには繋がずに、私がお食事(庭の雑草)を採って差し上げているのだ。

やぎもだんだん、最近は自分で働かなくても勝手にエサがやってくるぞ……?やったー!と言わんばかりに、エサ入れに使っているコンテナを見ると嬉しそうに興奮するようになった。

やぎがラクする分、自分には余計な仕事が増えた。毎日朝と夕方、鎌でコンテナ一杯分ずつの草刈りを行う。大した量じゃないし、別にいいんだけどね。麦わら帽子をかぶって、汗を流しながら真夏を感じている。

やぎの夏休みはいつまで続くか、まだ終わりが見えていない。

昨日、たまたま歯医者さんの待合室で流れていたテレビの中で「夏は白い服がおすすめ」と言っていた。なんでも白い服は熱を吸収せず、表面温度が最高でも気温と同じくらいにしかならないらしい。

一方で、黒い服の表面温度は白い服より20度も上がることがあるのだそう……!ひえぇ。

これを聞いて真っ先にフランクさん(オスの方)を思い浮かべて、可哀想になってしまった。フランクさんは全身が真っ黒な毛で覆われているのだ。夏季休暇の取得は正しかった。

それにしても何故フランクさんは真っ黒なのだろう?夏は熱を吸収し暑いし、アブや蚊には襲われやすいし、自然界では不利な色な気がする。それでも何か理由があるんだろう。

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最近の彼らのお気に入りスポットは「縁台」である。

腕のいい大工さんが心を込めて作って下さったもので、わたしたちも庭仕事の合間に腰掛けたりする。

涼しいのか縁台が好きみたいで、アンディ(メスの方)なんて、爆睡していることもある。人間と同じようにウトウト~から始まって、コックリコックリし出して、頭がガクッと下がった瞬間から夢のなか。

その光景を見ていると本当に面白くてクスクス笑ってしまうんだけど、起こさないように縁台の近くを忍び足で歩いている。

やぎさんの夏休みは続いていく。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。