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スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』を考える <白梅の芝居よもやまばなし>
私にとってのスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は、ミュージカル『ラ・マンチャの男』と並んで、私にとって特別な意味がある作品です。
十数年前、四代目市川猿之助襲名披露の演目として『ヤマトタケル』が新橋演舞場で上演されました。九代目市川中車襲名、五代目市川團子初舞台でもありました。それを拝見した時、この作品がいかに自分にとって特別な作品であったか、改めてというより初
第三十七回 辰 四国こんぴら歌舞伎大芝居
『沼津』『羽衣』『松竹梅湯島掛額』『教草吉原雀』 <白梅の芝居見物記 番外> 江戸の芝居小屋ー金丸座という「芝居国」
四国の金丸座での見物はかないませんでしたが、金丸座での初めての舞台配信とのことで拝見させて頂きました。
改修後の再会場杮落とし公演であり、2020年コロナ禍で観客を入れての公演が中止になってしまって以来、4年ぶりの上演です。
映像で舞台を拝見することはあまりないのですが、思
『引窓』『七福神』『夏祭浪花鑑』
辰 四月大歌舞伎 昼 <白梅の芝居見物記> 双蝶々曲輪日記 引窓
今回の舞台では、歌舞伎の義太夫狂言を見た時に今まであまり感じることがなかった、新しい感覚の舞台を拝見させていただいたように、私には感じられました。
いつも見慣れた義太夫狂言らしい味わいとは異なり、近代劇を見ている感覚の一幕とでも言えるかもしれません。それは新鮮な感覚でもあり、これからの舞台の一つの在り方といっていいのかもしれな
『於染久松色読販』『神田祭』『四季』
辰 四月大歌舞伎 夜 <白梅の芝居見物記> 於染久松色読販売 土手のお六・鬼門の喜兵衛
芝居そのものの評に関しては、「今月の芝居ー渡辺保の歌舞伎劇評」を是非参考にして頂きたいと思います。私自身、大変多くを学ばせていただきました。
と、それだけではあまりに安易かと、南北作品に関して最近感じていることを少しだけ書いてみたいと思います。
本作が1970年代の第二次鶴屋南北ブームの流れの中で復活
『伊勢音頭恋寝刃』 <白梅の芝居見物記>
辰 歌舞伎座 三月大歌舞伎 夜 昼の部上演の本格的な歌舞伎の古典に関して、かなり気合いを入れて書かせて頂いた後で、『伊勢音頭』に頭と気持ちを切り替えることはなかなか困難でありました。
この作品が何故ここまで命脈を保ってきたのか。
どこにスポットが当たることで、今後も大切な作品として残すことが出来るのか‥。今の歌舞伎役者さんで残すことが果たして出来る芝居なのか‥。それ以前に、そもそも残す必要が
古典歌舞伎をどう見るか 『御浜御殿綱豊卿』<芝居見物記><日本人の死生観と忠義2>
辰 歌舞伎座 三月大歌舞伎 昼 元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿
『元禄忠臣蔵』は、元禄赤穂事件を題材として昭和9年から昭和16年まで計10編11作が上演された真山青果の代表作で「新歌舞伎」と呼ばれるジャンルに属します。
その中の一編である『御浜御殿綱豊卿』が今歌舞伎座で上演されています。古典歌舞伎に興味のある方は、必見の舞台であると思います。
『元禄忠臣蔵』は発表当時あまりにも史実とかけ離れ
古典歌舞伎をどう見るか 『寺子屋』<芝居見物記><日本人の死生観と忠義1>
辰 歌舞伎座 三月大歌舞伎 昼 古典としての歌舞伎に興味がある方には、今月の歌舞伎座での舞台は昼夜ともにおすすめしたい演目が並んでいます。
尾上菊五郎丈と片岡仁左衛門丈がどっしりと構え、歌舞伎界の中堅どころが丁寧に真摯に役に取り組んでいます。古典歌舞伎のなんたるかを考えさせ感じさせてくださる舞台だと思います。
こうした芝居を見ながら、歌舞伎とはなんだろう、古典とはなんだろうと考えるきっかけにも
大阪 立春歌舞伎特別公演 夜
『新版色讀売』『連獅子』『曾根崎心中』<白梅の芝居見物記> 『新版色讀売 ちょいのせ』 上方喜劇への期待
”お染久松物”と呼ばれる作品群の一つである『新版色讀売』。
初演は文久2年(1862)江戸守田座で、今回当代の鴈治郎丈が演じた油屋番頭善六は、四代目市川小團次がつとめていました。
小團次は上方でしっかりと義太夫狂言を仕込まれた役者です。大坂の中ゥ芝居の名人達に師事しており、下積みから実