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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年5月の記事一覧

頼むから静かにしてくれ~読書記録291~

頼むから静かにしてくれ~読書記録291~

『頼むから静かにしてくれ』(たのむからしずかにしてくれ、原題:Will You Please Be Quiet, Please?)は、アメリカの小説家レイモンド・カーヴァーが最初に著した短編小説集。1976年3月9日、マグロー・ヒル社から刊行された。
アメリカ文学界に衝撃を与えたカーヴァーの処女短篇集。
本書は1977年、全米図書賞の小説部門の候補作に選ばれた。

名状しがたい人生への不安とささや

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日本人に「宗教」は要らない~読書記録290~

日本人に「宗教」は要らない~読書記録290~

2014年にドイツ人で元キリスト教徒、曹洞宗住職のネルケ無方によって書かれた。

ドイツ人住職が教える「日本人の宗教観」の凄さ!
世界一宗教にこだわりがないと言われる日本。
他国と比較して、果たしてそんなに異常なのだろうか……?
日本には宗教間の対立がほとんどない。日本人同士は宗教のことでいっさい喧嘩をしない。
仏教と神道が争うことはない。いまの日本人はキリスト教を否定しない。
西洋人が日本人から

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人生100年老年格差~読書記録289~

人生100年老年格差~読書記録289~

2019年に発行された老年精神科医の和田秀樹先生による著書。

医師がみた人生100年のウソと本当

夢の長寿社会が実現するとして、「人生100年」がキーワードとなっている。人々が若々しく過ごし、高齢になっても働き続け、マルチなステージで活躍するライフスタイルが提示されるが、それらは高齢者医療とは無関係なビジネススクールの学者たちが示す未来像だ。
長年、高齢者医療に携わってきた著者は、もっと別の「

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ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの~読書記録288~

ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの~読書記録288~

2017年 日経ビジネスが編集したもので、現在、ヤマトホールディングスの幹部5人がそれぞれを執筆している。

≪登場するヤマトホールディングスの歴代経営者≫
ヤマトホールディングス特別顧問  有富慶二氏
ヤマトホールディングス相談役   瀬戸 薫氏
ヤマトホールディングス会長    木川 眞氏
ヤマトホールディングス社長    山内 雅喜氏
ヤマト運輸社長          長尾 裕氏

正念場の

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刑法三九条は削除せよ!是か非か~読書記録287~

刑法三九条は削除せよ!是か非か~読書記録287~

2004年 ジャーナリストの呉智英(くれともふさ)氏と佐藤幹夫氏の共著だ。他に、何人かの専門家に執筆を依頼し、編集されている。

「心神喪失・心身耗弱」、そして凶悪殺人犯が野に放たれる?精神鑑定はうそ臭い!刑法はもはや時代遅れだ!こんな三九条があるから被害者は救われないのだ!よろしい、まちがいなく議論はタブーなしで、徹底的にやるべきだ。さてしかし、責任能力とはなにか、なぜ精神鑑定が「うそ臭い」のか

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日本人の宗教心~読書記録286~

日本人の宗教心~読書記録286~

元学習院大学院長である磯部忠正先生による書

従来、宗教の枠で正当にとらえられなかった日本人の「集団的無意識」を一遍、宣長、賢治、遠藤周作などの思想の跡をたどりながら初めて解明する、独自の日本文化論。1983年刊「日本人の信仰心」の復刊。

従来、宗教の枠で正当にとらえられなかった日本人の「集団的無意識」を、一遍、宣長、賢治、遠藤周作などの思想の跡をたどりながら初めて解明する、独自の日本文化論!自

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冷えきった街~読書記録284~

冷えきった街~読書記録284~

日本のアガサ・クリスティーと言われる仁木悦子氏による長編小説。

竪岡清太郎一家は続発する怪事件にまき込まれ、恐慌を来していた。長男・清嗣は睡眠中にガス栓を抜かれ、次男・冬樹は暴漢に襲われ、末娘・このみを誘拐するという脅迫状までが舞い込んだ。事件解明の依頼を受けた探偵・三影潤が謎に挑むが、やがて第一の殺人が起こり悲劇の幕があく。呪われた一家を待ち受ける運命は……。江戸川乱歩賞作家による傑作長編ミス

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リンさんの小さな子~読書記録285~

リンさんの小さな子~読書記録285~

2005年、フランスの作家、フィリップ・クローデルによって書かれた小説。

作者・フィリップ・クローデル
1962年フランスのロレーヌ地方に生まれる。小説『忘却のムーズ川』(1999)でデビュー、その後もナンシー大学で文学と文化人類学を教えながら、『私は捨てる』(2000年度フランス・テレビジョン賞)『鍵束の音』 (2002)など着実に作品を発表してきた。2003年の『灰色の魂』(2004、みすず

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仏教の冷たさキリスト教の危うさ~読書記録283~

仏教の冷たさキリスト教の危うさ~読書記録283~

2016年、ドイツ人曹洞宗の僧侶によって書かれた本だ。

一神教はなぜ争うのか?
「悟り」「執着」とは何か?
ドイツ人禅僧が教える、日本人のための宗教原論。
「家族を捨て、悟りを開いたブッダは、実は冷たい人だったのではないか?」
「愛を説くキリスト教徒は、なぜ戦争ばかりしているのか?」
この、多くの日本人が持つ“疑問"に対して、ドイツ人禅僧である著者が「仏教」と「キリスト教」を対比させながらひとつ

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カルト宗教信じてました~読書記録282~

カルト宗教信じてました~読書記録282~

2018年に発行された、エホバの証人を脱退した女性の体験漫画だ。

幼いころに母親がエホバの証人に入信。
4人姉弟の中で、「断れなさそう」という理由で一緒に集会に連れていかれることになったたもさん。
エホバの証人の活動を行うために、部活動をかわきりに、服装や恋愛、進学さえも自分の望み通りにはならない日々でしたが、いつか訪れるとされている楽園のために耐え忍んできました。
しかし、結婚してやっと生まれ

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もしもし、生きてていいですか?~読書記録281~

もしもし、生きてていいですか?~読書記録281~

2010年。千葉県成田市名古屋曹洞宗『長寿院』住職・篠原鋭一師が書かれたエッセイ。

1944年兵庫県豊岡市生まれ。駒澤大学仏教学部卒業。曹洞宗人権啓発相談員、同宗千葉県宗務所所長を歴任。「できることからボランティア会」代表。少数民族地域を中心に様々な国の教育支援を展開。1994年、カンボジア国王より小学校建設活動に対して「国家建設功労賞」を受賞。1995年から自殺志願者を救済する活動を始める。寺

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曾良の正体『奥の細道』の真実~読書記録280~

曾良の正体『奥の細道』の真実~読書記録280~

2022年に刊行された、俳人の乾佐知子さんの研究書だ。

諏訪の商家の長男として生まれたにもかかわらず、
次々と養子に出され、久松松平家の家臣となる。
その後、幕府の諜報員として全国を飛び回る。
『奥の細道』の旅も諜報活動の一環だった。
この男はいったい何者なのか――。
曾良の生涯を「家康の六男・松平忠輝の落し子」説に沿って辿ることで、
旅の出立をはじめ、仙台藩での湯ざまし事件、村上に滞在した三日

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狂気という隣人―精神科医の現場報告~読書記録279~

狂気という隣人―精神科医の現場報告~読書記録279~

元都立松沢病院医師の岩波明先生が2004年に書かれた。
この本では、「分裂病」という語が出て来るが、現在は「統合失調症」である。

人口の約1%が統合失調症という事実。しかし、それが我々に実感されることがないのはなぜか。殺人、傷害にかかわりながら、警察から逮捕もろくな保護もされず、病院さえたらい回しにされる触法精神障害者。治癒して退院したはずなのに、再び病院へ戻ってくる精神病患者。疲弊する医療関係

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そして殺人者は野に放たれる~読書記録278~

そして殺人者は野に放たれる~読書記録278~

2003年に出版されたジャーナリスト日垣隆氏のルポである。

本書の犯罪者は、特別の断りがない限り実名である。日本の警察やマスコミは、被害者の名前や情報は報道するのに、加害者の側は守られることが多い。それらを踏まえて、あえて著者は断固とした決意で書かれている。

「心神喪失」の名の下で、あの殺人者が戻ってくる! 「テレビがうるさい」と二世帯五人を惨殺した学生や、お受験苦から我が子三人を絞殺した母親

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