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#色彩

七色 《詩》

七色 《詩》

「七色」

秘密の色彩に指先が触れ 

そして唇が触れた時

愛の言葉は静かに
僕等の内面意識に閉じ込められる

僕は迷いもなく この身を委ねる

瞼を閉じて見つめ合い 

夜の淵に
誰も知らない小さな花が咲く

君がかけた虹の下に僕は居た

花の香りに似た記憶が僕を包み込む

躊躇いがちに繋いだ手 
指先に告白の余韻

遠い日の恋は詩となり

僕はまた
触れられぬ虹の色彩に手を伸ばす

交わす吐

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道化師の告白 《詩》

道化師の告白 《詩》

「道化師の告白」

現実を何も語らない事により 

何かが語られている

色彩を失くした平板な世が血を流し 

人格の一部を欠損した歪な夜空が
消えそうな月を映し出す

感覚を喪失した星は輝き方を忘れる

僕の固定された視界には

道化師の告白が終わり無く
文章化されて行く

彼は決して真実を語らない

モノクロの街で薔薇を売る女

暗室での祝祭 完結された愛

純文学とは無関係な風が
真夜中を彷

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詩人の末路 《詩》

詩人の末路 《詩》

仰ぎ見た杭の滝 

凪潮の息吹が斧音に変わり

乱脈を打つ
無言の太陽に突き刺さる黒き羽根

別れを告げた螺旋雲は
戻れない刻の様

乱立した黙礼が我に似る

一律に同じ形の雨が降り続く

其の類型を
突き崩す力を有した風を待つ

少なくとも

雨粒の形など覚えてはいない

其の極めて凡庸な
色彩と形式を持つ輪郭は

記憶に留めるに値しない

ひび割れた月に触れる指先

夜空に綴る言葉は黙り続け

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彩花 《詩》

彩花 《詩》

「彩花」

咲きたくて 

咲きたくて 

もう一度 綺麗に咲きたくて

貴方の首筋で 

胸元で 

その唇で 

小さな想いが静かな恋に変わり 

恋が愛に咲き変わる夜

僕の傍で 

心の中で咲き続けるひと

溶かし合い 

受け入れ合い 

この身を束ね 

ふたりの色彩で染まる花びら

もう一度 綺麗に咲きたくて

枯葉の様に 《詩》

枯葉の様に 《詩》

「枯葉の様に」

小さな幾つもの枯葉が

道路傍に留まり静かに息づいてる 

時折 

吹き付ける風に
斜面を彷徨い立ち止まり振り返る

どす黒い顔をした

浮浪者が寒さに震え
ガード下でうずくまっていた

シンナーを吸って
意識を飛ばした少年

路地裏で性器を売っていた少女

降り始めた雨 

アスファルトを黒く輝かせ

其処にある全てのものの色彩を
くっきりと映し出していた

僕の感情は音も無

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麗しの光 《詩》

麗しの光 《詩》

君の面影 瞳を閉じて

流れる静かに時ゆらら

刹那の美貌その横顔 

麗しの光 
僕を包み込む

小さな蕾が風に揺れ

僕の血は透き通ってゆく

空を映し太陽を映した瞳の色彩

優しく輝く星を見た

永遠の約束 
交わした言葉

君の詩が幸せを呼ぶ

黒と青 《詩》

黒と青 《詩》

「黒と青」

青が僅かに混じった黒に似た色彩

不安定な鼓動と脈を絡めた灰色

その のっぺりとした壁は
虚栄の残骸の様に見えた

不均一な黒が

憂鬱な影を連れ
歩き出す音が聞こえる

風が渦を巻き息をしている

僕は大きなカーブを曲がり続ける

何も見えない 

凍てついた沈黙の中に
お前の声だけを探して

染まりゆく黒と残された青

夢見る少女 《詩》

夢見る少女 《詩》

「夢見る少女」

虚像の壁 雑踏の中 
書き殴った気持ち

理屈なんかじゃ無い

無限の色彩 街の景色

黄昏の影 欲望に崩れた届かない夢
指の隙間から滑り落ちる

愛する者達に小さな祝福を

全てを否定する 
背中合わせの裏切り

群衆の中 道を見失い彷徨う

心の痛み 夢見る少女
風に吹かれて星が揺れた

君の笑顔を探してる

回転木馬 《詩》

回転木馬 《詩》

「回転木馬」

雨に濡れた回転木馬

失くして来たもの 
空の色彩 

涙を流す日 仕方ない

悲しみに素直過ぎただけ

誰がどうとか関係ない 
1人も救えない

このままで そのままで

風に流れ揺れた想い 明日への糧 

この地この場所 踏みしめる大地

溢れ出す感情 優しい風 

小さな水たまりに映る太陽

僕は痛みの一部を
手放す事ができたんだ 

君の言葉で

Photo : Seiji

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曇り硝子 《詩》

曇り硝子 《詩》

「曇り硝子」

真夜中過ぎても光を求めて

貴方が染めた優しさの色彩
その輝き

帰したくない 
そんな事 言えない

行かないで 心の中で
小さく囁き 笑顔で誤魔化す

曇り硝子の外
色さえ曖昧
幻の様に瞳に映る

それでも
貴方の好きな色で
ネイルを飾る

小さなため息と
曇り硝子に映る指先

ずっと見つめて

Photo : Seiji Arita

優しさの色 《詩》

優しさの色 《詩》

「優しさの色」

大丈夫だよ 
ずっと傍に居る 
嬉しかった 

本当だよ

あの時と今と 
何が違うの 

教えてよ

そのままで 
ありのままでいい

そう言って抱きしめられて

綺麗に咲いた

色鮮やかな色彩
貴方が染めた優しさの色

独り咲いた夢の中

散るくせに

Photo : Seiji Arita

朽夏 《詩》

朽夏 《詩》

「朽夏」

痛みの意味を
冷たい風が教えてくれる

愛おしく色づいた夏は逝き

募る想いが色彩を奪う

ふたりを包んだ季節の色を
全て消し去る強い風

Photo : Shoko

秋桜 《詩》

秋桜 《詩》

「秋桜」

貴方に逢える夢を見た
想いが届く気がした

独りぼっちで泣くのは
もうやめたの

これから先 私ほど
純粋に貴方を愛した女に
逢えるはずはないでしょう

心の中で そう囁く

空が呑み込む私の全て

貴方が奪った私の色彩

秋桜が見る夢
儚いお伽話

Photo : Miho