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短編エッセイ

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ちょっぴりフィクションを混ぜたエッセイ集
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#エッセイ

コメントに溢れる物語 /短編エッセイ

コメントに溢れる物語 /短編エッセイ

高校生の時の記憶がない。
記憶がないというよりかは、思い出さないように封印された。
そう言った方がいいような気がする。

10年経った今も断片的にしか思い出せないけれど
よくやっていた行動をふと思い出した。

高校生の頃、
家庭崩壊の起きていた場所で私は生活していたせいか
眠れない毎日を過ごしていた。

いつのまにか眠れない夜が続くようになってから、
真っ暗な部屋で音楽を聴くことが癖になったのはい

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深夜、1人、青信号になるのをまつ/短編エッセイ

深夜、1人、青信号になるのをまつ/短編エッセイ

これを渡ってしまったら、
それこそ私はダメになる気がする。

夜が深くなっていくと、道を歩く人はほとんどいない。
終電を過ぎたこの時間は車も少なくて、
帰れなくなった人たちを乗せたタクシーが数台
通り過ぎていくような状態だ。

こんな時間になると、
田舎の信号機は働くことをやめるけれど、
都会の信号機は「もしも」に備えて稼働し続ける。

だから毎回試される。

車も人もいない状況での赤信号。
たっ

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クリームの少ないシュークリーム/短編エッセイ

クリームの少ないシュークリーム/短編エッセイ

「え、、中身スカスカやん、、、、、、、」

シュークリームにかぶり付いた一言目に出たのはそれ。
今日の運勢は12位だっただろうか?

特別甘党ではないけれど、
業務の節目で何か食べるのか飲むのが習慣な私。
今日も一通り業務を終えた後に立ち寄ったコンビニで
手にしたのは生クリームとカスタードの入ったシュークリームだった。

好きな物ランキング1位にはならないけど、
だいたい3位か4位にはいるくらいの

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あ、過去形になってる/短編エッセイ

あ、過去形になってる/短編エッセイ

乾かす前の髪の毛はまだ湿っている。

タオルを首にかけたまま
なかなかドライヤーをかけないのは
私の悪い癖だ。

髪の毛痛むから乾かせと
何度言われたか分からないけど
乾かす気にいつもならない。

知ったこっちゃない。

それよりも習慣の日記を書く方が
どれだけ大事な事だろうか。

日々の出来事というより、
溢れ出る気持ちを殴り書く日記

まだ忘れられないや、
どうしてこうな風になっているのだろう

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だから、目につかないように隠した/短編エッセイ

だから、目につかないように隠した/短編エッセイ

体型を隠すための洋服。

素顔を隠すためのメイク。

性格を隠すためのチャック付きのバッグ。

生活感を消すために増えていく収納。

「ありのままであること」を大事だと謳う世の中に対する皮肉のように
隠すことに躍起になる日常。

生活を発信する場所が増えたからだろうか?
有名人に誰しもなれるようになったからだろうか?
何でも動画に晒される日常になったからだろうか?

職場や学校で笑顔の仮面をつける

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それでも私は深呼吸する/短編エッセイ

それでも私は深呼吸する/短編エッセイ

息をとめたくなるような毎日
川のほとりでコーヒーを片手に私は座っていた

流行り病の後遺症によって
嗅覚のおかしくなっていた私は
座っている時間が長くなっていた。

たくさん動くと呼吸をしないといけないから
今は息をするのが億劫、
それくらい嗅覚の状態にまいっていた。

一口またコーヒーを飲んだ。
苦さが口に広がる。
だけど香りはうまく届いてはくれなかった。

そのとき優しい風がふいて頬を撫でた。

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入れっぱなしのおみくじとその先の選択/短編エッセイ

入れっぱなしのおみくじとその先の選択/短編エッセイ

新しいおみくじをひいて気づいた。
今年に入って少なくとも3回以上は
おみくじを引いていることを。

だって結ばずにとっておいたおみくじが
財布から3つでてきたからだ。

我ながら焦った。

その光景に引いていたこは私だけやなくて
運勢どうし喧嘩しそう。と
隣で友達が一言つぶやいた。

全くもっておっしゃるとおり。
明らかに喧嘩している。
運勢どうしが。

というか、自身の最近が。

治りきらない体

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