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クリームの少ないシュークリーム/短編エッセイ


「え、、中身スカスカやん、、、、、、、」

シュークリームにかぶり付いた一言目に出たのはそれ。
今日の運勢は12位だっただろうか?


特別甘党ではないけれど、
業務の節目で何か食べるのか飲むのが習慣な私。
今日も一通り業務を終えた後に立ち寄ったコンビニで
手にしたのは生クリームとカスタードの入ったシュークリームだった。

好きな物ランキング1位にはならないけど、
だいたい3位か4位にはいるくらいの安定感のあるもの。
食べた瞬間の溢れ出るクリームが疲れを癒してくれる、そんな気がする。

だからか、時々こうやって買う。


でも今日はいつもの充実感は得られなかった。


だってクリームが全然なかったからだ。
歯の裏にはりつく皮が余計に不快に感じる。


見た目だけ立派で中身のないシュークリーム。


毒づきそうになりながら、なぜこんなに悲しいのか考えた。
それはきっと勝手にかけた期待を裏切られたからだ。

最初からクリームの少ない物に慣れていれば
何も思わず食べていただろう。

だけど私は知っているのだ。
クリームの溢れ出るものがあることや、
この立派な見た目の場合はだいたいクリームが多いことを。


そんな今までの経験や思い込みからかけた期待を
叶えることが出来なかったから悲しいのだ。

そんなことを思いながら、残りを口に放り込んだ。


見掛け倒しではなく中身のある状態。
勝手に期待をして勝手に決めつけない。
そんなことを突き付けられた気がする。

そしたら、なんだか最近の自分の仕事ぶりが少し不安になった。
ちゃんとできているのだろうか、、、?

自己評価である以上、その真相は分からない。
でも、どうであれ余計な見栄はる人より中身のある人でありたい。


つまり私は中身ないシュークリームではなく、
クリームの詰まったシュークリームでいたい。


そんな事を思いながらコーヒーで口の中を流し込んだ。

シュークリーム食べながら
なんの宣言してるんだと1人少し笑いつつ、
私はオフィスに戻ったのだった。


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