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雑文

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ジャンルレスな雑談記事
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#思い出

歌手Oさんと結婚したH氏の話

歌手Oさんと結婚したH氏の話

ある時、両親と歩いているところに、
「あれ久しぶり~」
と声をかけられました。

見ると、その人は両親と同年代と思われる女性、、、歌手のOさんでした。

私は全く面識がないのですが、なぜか両親と顔見知りらしく、フランクに世間話を少しして、買い物に行くところだから、と去っていきました。

どういうわけであの人と知り合いなのか親に訊ねると、それはこういうわけなのでした。

両親がまだ若い頃、近所にH氏

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「君は僕より先に死んじゃダメです。」

「君は僕より先に死んじゃダメです。」

ジョアオ・マリオ・グリロ監督『アジアの瞳』を見ていました。あちこち探し回ってやっと見つけたDVDなのです。
天正遣欧少年使節であり、後に禁教令下の長崎で殉教した中浦ジュリアンの物語をベーシックに、現代の長崎を訪れたEU文化官の女性の目を通して見た、キリスト教弾圧という加害とその後の原爆被害。そのようにして不寛容を繰り返すこの世界。原爆という悲惨な出来事そのものを忘れたかのような日本の変容ぶりが忘却

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たどたどしいオペレーターの声は、吉本新喜劇の花紀京によく似ていました。

たどたどしいオペレーターの声は、吉本新喜劇の花紀京によく似ていました。

新聞の歌壇コーナーに電話越しに聞いた方言の短歌が載っていました。

〈どこだろう?間違い電話のあたたかな方言が耳に残る冬の日〉友常甘酢

電話口の方言、いいものですよね。そう言えば私にも思い出がありました。あれは何年前だったでしょう、確か春も終わりの頃でした。

あるメンバーズカードの問い合わせで電話をしたときのこと。

「この電話は今後のサービス向上に役立てるため録音されます」

というアナウン

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父になる瞬間に。

新潟のジャズバーに行った時のことです。
規模は小さいながらも老舗でプロミュージシャンのライブも多く、店内にはオーナーが揃えたオーディオと無数のレコード……ここまで書くと、分かる人には分かるかもしれません 笑。

その日ライブはなく、店内のモニターにはマッコイ・タイナーとジョージ・ベンソンのライブ映像が流れていました。
カウンターの奥で、一人の若い男性がもう酔い潰れて、どこか不機嫌に、真っ赤な顔をし

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いのちの授業、お蚕編

いのちの授業、お蚕編

絹糸を作りだすお蚕さんを知らない人はいないのですけれど、繭の方は置いておいて…お蚕さんの、大人の姿をご存じですか。繭から出てきてその後、どんな風になるのかを……。

小学校の時のことです。
飼育観察でお蚕を育てることになりました。学校の裏手には、餌となる桑の木があったので、私たちは毎日交代で葉っぱを摘んでは、せっせと世話をしました。

10匹以上はいたと思います。桑の葉っぱさえきらさなければ、飼育

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