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なんか元気になるnote

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読んで、元気になった、なりそう、なるかも、お腹空く、美味しそう、行きたい!なnote
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#美術館

惜別の美術館@東京:3

惜別の美術館@東京:3

(承前)

 ——首都圏を離れたての筆者による「別れが惜しいミュージアム」。
 前回のポストは無料情報を多く載せたからか、非常に伸びがよい……みなさんそれぞれやりくりをして、ミュージアム・ライフを送っていらっしゃるのだなと感じる。
 思えばコロナ禍のあたりから、美術展の観覧料は右肩爆上がり。2020年秋の東京国立博物館「桃山―天下人の100 年」が一般2,400円で、当時はずいぶん驚いたものだ。現

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殿さまのスケッチブック /永青文庫

殿さまのスケッチブック /永青文庫

 熊本藩主・細川家に伝わった博物図譜を紹介する、今年4月27日から6月23日まで開催されていた展覧会である。

 主要な出品資料は、6代藩主・細川重賢(しげかた  1720~85)ゆかりの品。
 重賢は「宝暦の改革」と呼ばれる藩政改革を主導した名君であると同時に、動植物や昆虫、魚類などに興味をもち、その生態を細かく記録、深く知ろうとした学究肌な一面があった。
 重賢が描かせ、手元に置いた図譜の類を

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楽しめたかもしれない

楽しめたかもしれない

中学生のとき、夏休みに「美術館か博物館へ行き、レポートにまとめる」という宿題が出た。

親に連れられ、自宅からいちばん近い横浜美術館へ。

ブロンズの彫刻がたくさん並んでいて、館内はひんやり涼しく、ひかえめな照明が心地よかったのを覚えている。

時は流れ、今度はわたしがその宿題の引率をすることになった。

姪(以下N)が通う中学でも、同じ宿題が出たからだ。

よく美術館に行ってるから、という理由で

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【青森県八戸市】一度失われ、再び舞い戻った八戸市美術館の「美」と共に八戸の美を鑑賞する

【青森県八戸市】一度失われ、再び舞い戻った八戸市美術館の「美」と共に八戸の美を鑑賞する

 2024年の3月のある日、青森県の八戸市にて衝撃的な事件が起きた。

 八戸市美術館から「美」が失われてしまったのだ。

 八戸市美術館は八戸市の中心街にある美術館だ。すぐ近くには八戸市役所がある他、さくら野百貨店八戸店のような商業施設や全国でも珍しい公営の書店である八戸ブックセンターや地域観光交流施設のはっち、そして屋台村みろく横丁に代表される数多くの飲食店が立ち並んでいる。
 日中は近隣で暮

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喜多美術館 近代芸術と現代芸術

喜多美術館 近代芸術と現代芸術

奈良県桜井市、大神神社にお参りしたついでに、神社から1kmほど離れたところにひっそりとある、個人美術館を訪れた。

細い道の奥、小さな神社の鳥居を通り抜けたところに美術館があった。

創設者である喜多才治郎氏が蒐集した西洋近代・現代美術を展示する美術館で、
自宅の脇に造られた。今年で開館37年だそうだ。
気さくな館長さんが、展示についてひと通り解説してくださった。

以下、一部紹介。

西欧近代芸

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奈義町現代美術館

奈義町現代美術館

1994年に磯崎新の設計で作られた美術館。岡山県の勝田郡という、津山の近くののどかな農村の中にそれはある。奈義町現代美術館、愛称はNagiMOCA。

既知と未知たとえばデュシャンの「泉」を何の予備知識もなく観たとき、驚きや衝撃の大きさはMAXになるだろう。一方もし、”便器にレッテルを貼っただけの作品”という話を聞いてから観たら、驚きは半減どころかコンセプトの確認をするだけの鑑賞になってしまうだろ

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