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編集・コンテンツ

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編集やコンテンツの仕事についての話。
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編集未経験の元人事が、「編集者」になって4年間で、読んでよかった20冊をまとめてみた。

編集未経験の元人事が、「編集者」になって4年間で、読んでよかった20冊をまとめてみた。

このnoteは、ずっと下書きにいた編集者になって3年を振り返って読んでよかった本という熟成下書きに4年目に読んでよかった本を追記したままさらに熟成されていたものです。(熟成っぷりがやばい)未経験から6年編集の仕事をして、本当にたくさんの経験と出会いがありました。この春からいったん編集の仕事からははなれることになったので、自分の記録として公開します。

新卒から転職も1回したけど、ずっと管理部門で働

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「背中を押す」という編集者の役割。

「背中を押す」という編集者の役割。

編集者にはさまざな役割がある。

企画をつくること、作家さんやライターさんとコンテンツをつくること、届けること、読者さんとコミュニケーションとること、こまかくあげたらきりがない。

編集者という仕事をする前、編集者の仕事のイメージは「赤入れ」だった。
あがってきた原稿に、赤ペンで修正や確認をコメントする作業である。

赤入れはコンテンツの質をあげる大切なプロセスなのだけど、そのプロセスの前にも重要

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本を届けるということ。

本を届けるということ。

5月末に、静岡県富士宮市役所さんに呼んでいただいて、企画編集を担当し書籍化したweb連載「本当の頑張らない育児(やまもとりえ)」をテーマに講演をしてきました。

去年の夏の終わりに話がはじまり、冬に打ち合わせをして準備を進めてきた今回のイベント。市役所の担当の方が、すごく想いをもった素敵な方で感動して書いたnoteがこちら。

富士宮に講演行ってきます!というと、作者のやまもとりえさんが「わたし静

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人見知り編集者が、ライターさんを「好き」になって変わったこと。

人見知り編集者が、ライターさんを「好き」になって変わったこと。

気が合う仲間と少人数で語る時間は大好きだけど、誰かとその関係になるまでには時間がかかる。

顔見知りの人とエレベーターで二人きりになった時の焦りは半端なくて、とりあえず「最近どう?」みたいな聞かれても困る質問を繰り出しちゃう。

私はそんな人でして、自分からグイグイ仲良くなるみたいなことってすごく苦手なわけです。(そういうのをさらっとやれちゃうB型末っ子タイプの人がうらやましい)

だけど、「編集

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誰に向かって文章を書いているのか、という話。

誰に向かって文章を書いているのか、という話。

ちょっと前のこと。

ぽかぽかとしたいい天気だし、今日はこのままお散歩でもしたいなぁなんて思いながら、お気に入りのカフェで仕事をしようと歩いていたら、目の前をNHKの中継車が通りすぎた。

あれ?なんか昔に見たことある気がするけどなんだっけ。
考えながら歩く。

あれだ。

「クルマの窓からのタバコのポイ捨て、おこってるんだぞ」

小学校低学年の頃だと思う。NHKの中継がくることになって、国語の時

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文化が変わる小さな芽をつくる。

文化が変わる小さな芽をつくる。

書籍化にあたってイベントをするためにクラウドファンディングを始めて2週間ちょっと。

応援してくれる人が増えていくことはとても心強いし、ありがたい。

今回の連載を企画したのも、書籍化を目指したのも、クラウドファンディングをしてまでイベントをしたいのも、理由はそれによって新しい子育ての文化をつくりたいと思っているから。

じゃあどうしたら新しい文化をつくることができるんだろう?

文化が変わった、

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「ありがとう」がもらえる仕事。

「ありがとう」がもらえる仕事。

何度も読んでいる西村佳哲さんの「自分をいかして生きる」という本にこんな一節があります。

手がけた仕事に対して「面白い」や「興味深い」ではなく、「ありがとう」という言葉が返ってくるとき、そこに込められているものを大切にしたい。これは人の在り方に向けて戻されている言葉だ。「有り難い」「そのようにはありにくい」「あまりないことだ」という感嘆をふくむフィードバック。(「自分をいかして生きる」より)

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母でもあるけど、母ではない。

母でもあるけど、母ではない。

どこへ行っても「お母さん」と呼ばれ、TVでもネットでも親戚からも「子育ては、母親こうあるべき」という話を聞かされる。

息子が生まれ、「母親」という役割が増えた。
それは事実だし息子はかわいいのだけど、本を読むのがなにより幸せで仕事もそれなりに楽しんでいて、学ぶのが大好きな「わたし」は今までどおりここにいて。

それなのに、周りから見たわたしは「お母さん」でしかない。

育休中、そんなすこしぽっか

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わたしの中にある「母」の割合

わたしの中にある「母」の割合

育休中ほど、1日を長く感じたことはない。

働いていたときには「やばいもう16時!時間ない!仕事終わらない!」なんて思っていた16時だったけど、育休中はなかなか16時にならなかった。

やっと16時になってからも、息子が泣き出すたびに夫が帰宅する19時まで何度も何度も時計を見て、ため息をついていた。

話ができない赤ちゃんと1日ずっとふたりきりで過ごすことの孤独、みたいなことがよく言われて、たしか

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その本が、その人にとって特別な1冊になる。

その本が、その人にとって特別な1冊になる。

少し前に、サディことコルクの佐渡島さんが「本を買って読むという体験って実はもっとリッチにできる」というようなことを言っていた。

リッチな体験ってどういうことだろう。そう考えていて思い出したのが、息子の出産祝いだ。

わたしには、もう8年くらい毎月集まって一緒に1ヶ月の振り返りをしている4人の友人がいる。結婚式の二次会を幹事もしてもらった夫婦共通の友人だ。

その友人たちから「出産祝い何がほしい?

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届けたい相手は、いつかの自分。

届けたい相手は、いつかの自分。

いつだってそのコンテンツを届けたい読者は、いつかの自分だ。

いつかの自分がへこんだり悩んでいたこと。

いつかの自分が知りたかったこと。

当時の自分に伝えたい、そんなに悩まなくてもいいんだよ。こんな風に思えたらもっと楽だったかもしれない。そんな気持ちがいつも企画にこめられている。

企画編集を担当した連載を、とあるパパコミュニティでシェアしたら、パパたちからなんだか熱量高いコメントをたくさんも

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人の感情が動く表現とはなにか?

人の感情が動く表現とはなにか?

「なにこれ、わたしが書いた文章みたい」

それが1番最初の感想だった。

編集長に借りた穂村弘さんの「はじめての短歌」を読んだ。

「はじめての短歌」は、穂村さんが”よいと思った短歌” が、その”改悪例” とともに解説されるというスタイルの本なのだけど、
冒頭の「わたしが書いた文章みたい」は、改悪例の文章を指す。

まず「改悪」という普通とは真反対からのアプローチが面白い。

短歌を嗜むような人で

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「本当の頑張らない育児」が、たった一人の読者に届くまで。

もし、1年前のわたしに「この連載、書籍化するよ」と伝えたら、「いやいやほんと?」と喜びながらも半信半疑だろう。

いま、わたしの手元には1冊の「本」がある。
1年前に企画をスタートし、半年間編集担当として連載をした育児漫画だ。

はじまりは1年前。
突然インターネットメディアの部署に移動になり、見よう見まねで編集らしきことをはじめ、壊滅的に絵が下手なのに漫画の編集をすることになって1年がたった

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本が売れないと言われる時代にわたしが「書籍化」を目指した理由

本が売れないと言われる時代にわたしが「書籍化」を目指した理由

12月から担当していたweb連載の書籍化が決まった。

わたしが今働いているのは出版社でもなく、インターネットの会社でもなく、福祉や教育をやっている会社の「子育てに笑いと発見を」をコンセプトにした子育てのwebメディアの部署で。
新しい事業のタネを考えよう的な話があった時に書籍化したいと言ったら、金額サイズ的に事業になり得ないとそっこうで言われた。

いろんなところで本は売れなくなっているというニ

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