女神の名は・・・ part.Ⅰ
みなさん、こんにちは。綺羅です。
今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。
今日は部分日食が見られるのだとか!!
数日前からいろいろなテレビで、お知らせがありました。
日食を見るために、今日ははやめに更新しようと思っています!
最近フォロワーさんや他のクリエイターさんの記事で、飼っている犬や猫について書かれているのを見て、私もあの子のことを書きたくなってしまいました。
一年前に逝ってしまったあの子と、時々夢の中で会いますが、こうしてじっくり思い出す時期なのかもしれません。
とてもこの記事内では書き切れないので、多分、シリーズ化します(笑)
よろしければ、お付き合い頂くと嬉しいです。
🐕
当時の私は中学3年生、学校に行くのが苦痛で苦痛で仕方なかった日々。
覚えている記憶は、毎月の始めに、月目標を書かされていたことで、何のために学校へ通っていたのか分からなかった。
ただ、家に帰ってからの楽しみはあった。
彼女が迎えてくれるのだ。
「ただいま、フーちゃん!」
門を開けると、輝かんばかりの瞳と、弾む息で私を出迎えてくれる柴犬。
勢いよく膝に足を乗っけてきて、頭を撫でやすい位置に持ってきてくれる。
「いいこにしてた~?あぁっ、もう終わり?!」
まだ2~3回くらいしか撫でてないのに、自分が得心したらさっさと庭に向かって走っていってしまう。
『たくさんおかえりって、言ってあげたでしょ!早く準備して外に出てきてよね!待ってるんだから!』
典型的なツンデレ。
でも、そうして関わってくれることが、人間よりも遙かに優しく感じていたのは確か。
まだ、ペットショップが世に点在していた頃、私はその子に釘付けになった。
ケージの中でてくてく歩いていて、私が近づくと、寄ってきた。
横で母は言った。もっとかわいい子たくさんいるよ、と。
私は言った。絶対にこの子がいいの、と。
生まれて初めて一緒に生活する子だもん、この子がいいったらこの子がいい!
そう思うのには、私的には、特別な理由があった。
私は自他共に認める「犬嫌い」。
理由は、小学生の時に近所で迷子になった飼い犬が、たまたま私がランドセルに下げていた給食袋にめがけて走ってきたのだ。
おまけにその犬に噛まれかけて、すごく怖かったことを覚えている。
それからは、かわいいとは思っても、やっぱり怖い心が先立った。
「犬なんて、一生さわれないよ・・・」と思っていた。
人間不信に加え、動物も怖い、そんな私を見ていて、母は何を思ったのか「綺羅、犬を、飼ってみない?」と言ってくれたのだ。
もちろん、はじめは「怖い」だけだった。
でも、もし犬を飼って、こんな生きてるか死んでるか分からない日々が、少しでもなくなるなら、犬と暮らしてみたいと思った。
それに、なぜか分からないけれど、一目見て、この子がいいと思った。
考える事なしに、ほとんど直感で、ただ惹き付けられるがままに。
でもここで母と意見の対立が起きた。
「一週間待って、それでもまだいたら、この子にしよっか。」
後から聞くと、母は当時のあの子の顔が「頑固っぽそう」という理由で買い渋っていたようで、一週間で私があの子を諦めるのを期待していたようだ。
残念ながら、私にはあの子一択だった。
理由は「私がこの子がいいと決めたから」。
結局、母は私に根負けし、この子を家族に迎えることになった。
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ところが、問題はすぐに起きた。
ほとんどの飼い主は経験されているかも知れないが、うちの子は、甘噛みが酷かったのだ。
犬との生活が始まったとは言え、私はひたすら毎日犬を見て、指一本でも触れることが重要だった。
犬嫌い状態と犬触れない状態を平行して慣れていく事が必要だったので、当然、面倒を見られる範囲は狭い。
そうした、私がまだ慣れない部分を、母が担ってくれていた。
母は元々犬好きで、飼っていなかった時でも、よその子を撫でることができるような人だ。
そんな母が、犬がうちに来て2日後に言った。
「この子は、もう絶対に返品する!!かわいげがないし、ずっと噛むし、怖いし嫌だ!!」
私には理解できなかった。
「絶対」「返品」「噛む」「怖い」「嫌」という単語は理解できて、母がこの子にいい感情を持っていないのは、十分に伝わってくる。
確かに私は、まだ全然お世話できない状態だし、十分にかわいがることもできないかもしれない。
でも、あの檻に返すのは嫌だった。
せっかく少しずつ慣れようとしているのに、友達になりたいのに、やっと広い空間を歩くことが出来ているのに、檻に返すなんてあんまりだ。
ただ、そう思ったところで、私には言い返す気力がなかった。
私は、精神的な引きこもりから、病み上がりの状態だった。
私が言った所で、事態は何も変わらない。
そのことは、2年前の同級生からのいじめを受けた時に、嫌というほど思い知らされたから。
強くなければ、人は助けてくれないのだから。
返品されるかもしれない恐怖と絶望に、なす術なく泣いていると、手を差し伸べてくれる人がいた。
私の祖父だ。
🐕
祖父は丁寧に事情を聞いてくれた。
祖父も犬好きで、あの子を家に連れて帰ってから、1人でこっそりとあの子を見ているのを知っていた。
私が犬に興味を持って関わる姿が嬉しかったようなのだ。
「綺羅ちゃん、あの子はきっとうちに来る縁があったんだよ。だから、飼うならあの子がいいんだよね。」
私は泣きながら、うんうんと応えた。
「あの子の首輪の鈴の音が離れない。ずっと耳元に聞こえるの。ずっとこっちに近づいてくる。」
まだ数日しか一緒にいないけれど、もうあの子のなしの生活が想像出来ない。
それくらいに、猛烈で衝撃的な出逢いだった。
今から考えると、あれは一目惚れしたと言っても、大げさじゃない。
「よしよし、綺羅ちゃんの気持ちはわかったよ。お母さんに言ってくるから、涙を拭いてゆっくり休んでいなさいね。」
そう言ってくれた祖父に、かけるしかなかった。
心の内では、何もできない自分自身への憎悪がべっとりとひっついていたけれど、それよりも、あの子が何とか返品にならないように祈るばかり。
こんなことになってしまったあの子に申し訳ないと思いながら、私は布団の中でゆっくり意識を手放した。
🐕
次の日、事態は一変していた。
「あの子、返すんだよね?」
母に単刀直入に聞いた。
「ううん、返品しないよ。どの子にするかは綺羅に任せたんだし、それに、綺羅が笑顔でいてくれないと意味がないわ。」
昨日、私が寝た後、母は祖父と話したことを教えてくれた。
私が楽しく生活を送るようには、あの子でないとダメなようだという結論になり、返品しないという結果になったのだそうだが、私の耳にはあまりしっかりと残っていない。
理由よりも、あの子がこれからもここにいてくれることが、何よりも嬉しかった。
私が選んで、あの子が誰かにもらわれず、私に連れて帰ってもらえるのを待っていてくれた、返品にならずにいてくれた、それだけで幸せだった。
家の連れて帰った初日、私があの子にかけた最初の言葉を、今でもしっかり覚えている。
「私、怖がりでごめんね。抱いて出してあげたいのに、箱をゆっくりひっくり返してしか、今はできない。絶対に、あなたのこと、さわれるようにするから、待ってくれる・・・?」
🐕
返品騒ぎが落ち着いてから、名前を考えた。
この子の名前、最高にすてきな名前をつけてあげたい。
かわいいのは当たり前だけど、ああいう逆境を乗り越えられるような、きれいでかっこいい名前をつけたい・・・。
名付けは私の一任された。
私にとって、きっと特別な子になるだろうからと、家族みんなが言ってくれた。
どんな名前がいいだろうか、どんな名前なら喜んでくれるだろうか・・・。
結局、彼女は、生粋の日本犬だったけれど、名前には、外国の神話にいる女神の名前をつけた。
毛の色は”赤”と称されていたけれど、夕日を浴びた彼女の毛並みは、美しい輝きを放つ金色だった。
その金色が、私が当時好きだった女神の髪の色を思わせるようだった。
横顔はただただかわいい犬ではなく、夕日をしっかり見る姿が凜々しくて見惚れてしまいそうだったのだ。
ただのかわいい子じゃない、この子はきっと自分に誇りを持っている、そうしたことがすぐに分かった。
ならば、その姿に相応しい名前を与えるのが、きっと私がこの子にしてやれる、最初のことだ。
その名前を聞いた家族からは「横文字覚えにくい」という意見が出たが、私は名前を変えることを、頑として譲らなかった。
簡略して呼んでもいいから「この名前がいい」と言い張った私に、家族は快く受け入れてくれた。
私は改めて、あの子の名前を、あの子の前でよんだ。
「あなたの名前はね・・・・・・・」
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それでは、今日はここまでです。
みなさんからのスキやコメントやフォロー、とても嬉しくて、また自分の見聞も広めさせていただいて、大変ありがたいです!
この記事にお時間くださって、ありがとうございます!
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