女神の名は・・・ part.XVI
みなさん、こんばんは。綺羅です。
今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。
昨日、冷蔵庫の普段見ない所をふと見ると、うちの逝ってしまった柴犬のために作っていた、フラワーレメディーが出てきました。
次第に食べ物を受け付けなくなっていく中で、フラワーレメディーだけは、美味しそうに口にしていました。
いつも私の手のひらから、直接飲む光景が、当たり前になっていました。
今回は久しぶりの、うちの逝ってしまった柴犬のお話です。
物語はそろそろ終わりが近くなってきましたが、お付き合いいただけると嬉しいです。
🐕
犬って何だか人間みたい。
ううん、ただ話せないだけの人間なのかもしれない。
話さないのに、どうして次に人間がしようとしていることがわかるの?
どうして、家族同士が仲間割れしないように、というようなことを考えられて、行動できるの?
あなたがどうしたいかは、わかったよ。
だから、そんなに申し訳なさそうな顔をしないで。
・・・・・・
老化が進んで、身体の至る所が痛み始めたせいか、フーちゃんはずっと寝ていることが多くなった。
大好きだったボールを追いかけたり、庭で見かけた生き物を見て走り回ることは、おそらくもうない。
でもその代わり、私によく甘えるようになった気がする。
飼い始めた頃はまだ怖くて、だっこどころか、さわることもやっとだった私なのに、今ではだっこすると、フーちゃんはその腕の中でゆったりして収まっている。
欲を言えば、フーちゃんが元気な時からだっこできればよかったのに、自分の怖がりのせいなのか、はたまた”タイミング”なるものが”今、できるようにした”のかは、皆目見当がつかない。
だっこだけではなく、フーちゃんを隣にして、寝られるようにもなった。
きっとこの光景は、彼女を飼い始めた頃の私が見たら、きっと口を開けたまま閉じなくなっているようにも思える。
フーちゃんのお腹が上下する所がよく見えて、この子は生きていることを、実感させてもらえる。
私と同じように、上下に動くお腹を見ていると、私だけが一人寂しく生きているわけではないと実感できた。
彼女は、私の隣で生きている。
でも、この動きが止まってしまう所が、全然想像がつかない。
そんな日が来る?そんなまさか。
だって今でも普通に、いつも通りに寝ているのに。
それでも、その日は、刻一刻と近付いてくる。
それを実感したのは、ある日の夜だった。
🐕
フーちゃんが、自分が眠る定位置から、急に飛び起きてソワソワしているのを、私はたまたま見かけた。
犬を飼うのが初めてとはいえ、「何年も、この子一緒に生活してきた!」と自信を持って言えるので、その行動が、ただ事ではないことがはっきり分かった。
急いで母に知らせて、2人でフーちゃんを撫でたり、何かあったのか寝床を調べると、あることがわかった。
「綺羅、おじいちゃんのために買っていた尿漏れようの防水シート、あったでしょう?あれを取ってきて。フーちゃん、失禁してるみたい。」
母にそう言われて、一瞬動きが止まりつつ、すぐにシートを取りに向かった。
ところがシートを持って戻ってくると、母まで様子がおかしくなっている。
「フーちゃんが、フーちゃんが痙攣を起こして倒れた!!」
どうやら、フーちゃんは自分の失禁が分かったらしく、その該当場所を舐めている最中に、痙攣を起こして倒れたのだそうだ。
母は、フーちゃんに「大丈夫だよ」と言いながら撫でて、舐めるのを止めさせようとした時のことだったらしく、直接その現場を見てしまって、パニックを起こしてしまったのだ。
母は犬を飼った経験があるとはいえ、一度飼った頃とは大分事情が違い、母自身が精神疾患を患い、パニック状態が引き起こされることがあった。
フーちゃんも痙攣したまま倒れている。
この混乱した現状で、私もパニックになる・・・”だろうと思われた”。
私は、パニックにならなかった。
驚くほど冷静に状況が把握できて、次にすべきことが、なんとなく分かった。
母には祖母が付いていてくれてたので、私はフーちゃんの身体をゆっくりしたリズムで撫でながら、あるものを取り出した。
自分のHSP気質と上手く付き合っていくために、こころの状態を落ち着かせるために学んだ「バッチフラワーレメディー」という自然療法で、”レスキューボトル”と呼ばれる、こころの緊急時用の、お花のエキスを含んだ液体を、水で希釈させて飲ませた。
元々は、私が自分自身が使えるように学び始めたことで、今ま学んだことから、動物にも使えること、服用方法は分かっていた。
ただ、その通りに自分ができるかは分からなかったけれど、フーちゃんの苦しみを何とか和らげたい一心で、何とか飲んでくれないかと口元に運んだ。
フーちゃんの口にレメディーを塗ると、そのほのかな甘味が分かったのか、急に勢いよく水を飲み始めたのだ。
そうして次第に、落ち着きを取りもどし、私の手のひらに乗せられた水を、自分が飲みやすい位置に持っていくように、自分の手で私の手を押さえた。
人間はどきどきしながら彼女だけを真剣に見ているのに、当の彼女は頭に「?」を浮かべているような、まるで「どうした」と言わんばかりの表情を向けていた。
『みんな、どうしたの?フーちゃんげんきになったよ。このおみず、おいしいね。』
「フーちゃん、もう心配させないでよ・・・」
『きらちゃん!このおみず、もっとちょうだい?』
「うん、分かったよ。・・・あげるからさ、手のひらを噛むのは、気を付けてもらえると嬉しいかな。」
相変わらず自由な犬だなぁと思った時、
『きらちゃん、おふとんよごしてごめんね。』
と、彼女が見上げて囁いてきた。
「ううん、いいんだよ。大丈夫。フーちゃんが元気でいてくれる方が、嬉しいから。」
そう言って頭を撫でると、一間置いて、また水を勢いよく飲み始めたのだった。
その後、母もレメディーを服用し、家族全体は落ち着きを取りもどしたが、これではっきり自覚した。
・・・来たる日は、確実に近付いていると。
家族内の話し合いで、病院には連れていかないと決めた。
彼女は元気な時でも、病院へ行くことに関しては極度の怖がりだったし、ましてや、こんなに年をとってから、彼女が「怖い」と感じる場所へは連れて行きたくなかった。
それならば、彼女の好きな庭で、いつも遊んだ庭で、動かなくなるその日まで、地に立つ感覚を、安心感を与えてあげたい。
人間のエゴかもしれないのは、承知の上だ。
でも、家族と一緒に居る時の顔が、一番嬉しそうに見えているから。
せめて、来たる日までは、その顔を見つめていたいよ。
・・・・・・
そろそろ、きらちゃんに伝えなければいけないことがある。
元気にはなっていても、あの子には、もう一押し足りない。
それを教えるのが、私の役目。
私がここに来た理由。
あなたは必ず生まれ変われる。
私は、あなたに「女神」の名を与えられた役目を、果たさないと。
さぁきらちゃん、思い出して。
あなたが私に授けてくれた名前を・・・。
女神の名は・・・フレ__
🐕
みなさんからのスキに、今日も楽しく創作ができました。
この記事にお時間をいただき、ありがとうございました!
それでは、今日はここまでです。
みなさん、生き物と素敵な時間をお過ごしくださいね。
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