マガジンのカバー画像

映画レビュー【映画の中の人生】

385
悩み事だらけの私は、映画で描かれる人々の生き方を観て、励まされ、救われ、生きる術を学んできました。そして、わずか2時間前後のストーリーに凝縮されたキャラクターたちの人生から、本当… もっと読む
運営しているクリエイター

#ミステリー

デジャブ(2006)

デジャブ(2006)

敏腕プロデューサー、ブラッカイマーが仕掛ける
現在と過去をあいまいにするデジャヴの迷宮にはまる

500名以上の犠牲者を出したフェリー爆破事件の真相に迫る刑事の活躍を描くサスペンスアクション。

初めてなのに前にも経験したことがあるような感覚、デジャヴ。この得体の知れない奇妙な感覚がどのように真相解明に使われるのでしょうか。斬新な設定が、時間を凌駕したデジャヴの迷宮へ誘います。

監視映像をとおし

もっとみる
チャプター27(2007)

チャプター27(2007)

ジョン・レノンの悲劇を招いた
人間をむしばむ「心の闇」の恐怖

1980年12月8日、世界中が悲しみに包まれました。元ビートルズのメンバー、ジョン・レノンが40歳の若さで熱狂的なファンの男が放った凶弾に倒れたのです。

本作は、世界の音楽史にその名を残すスーパースターのあまりにも突然で衝撃的な死の真相を、殺害犯マーク・デイヴィッド・チャップマンの行動を通して明らかにしています。

チャップマンへの

もっとみる
女神は二度微笑む(2012)

女神は二度微笑む(2012)

謎解きの面白さが存分に味わえる
インド発の正統派サスペンスミステリー

2012年に公開され、インド映画界のアカデミー賞で5部門を独占するなど、数々の賞に輝いた注目のサスペンスミステリー映画です。

ヴィディヤはわずかな手掛かりから、推理を働かせ、一歩一歩真相に近づいていきます。謎のヒントはすべて映像の中に提示されており、謎解きの面白さが存分に味わえる正統派の推理劇になっています。

熱気渦巻くコ

もっとみる
エリザベス・ゴールデンエイジ(2007)

エリザベス・ゴールデンエイジ(2007)

能面のような不気味なメイクが強烈なエリザベスが再び降臨
国家に愛を捧げた〈ヴァージン・クイーン〉の苦悩と葛藤の日々

16世紀のイングランドを舞台に、英国史上最強の女王陛下エリザベス1世誕生をめぐる壮絶なドラマを描いた『エリザベス』の続編。

大英帝国の黄金時代を築き上げたエリザベスの苦悩と葛藤が描かれます。

【ストーリー】
1585年、イングランド女王に即位した後もエリザベス(ケイト・ブランシ

もっとみる
アトランティスの心(2001)

アトランティスの心(2001)

スティーブン・キングが穏やかに見つめる
子どもから大人へ向かう少年の心の旅

子どもの頃、厳しく後ろ暗い現実の一面を垣間見た瞬間、幼心に切なさや痛みを感じた経験はありませんか?

遥か昔、海底に沈んだとされる幻の帝国アトランティスを引用したタイトルは、子ども時代を形容しているそうです。すなわち、楽しいことばかりある子ども時代は幻の国。時が過ぎ行き、大人になれば幻と消える――。

ホラー小説の鬼才、

もっとみる
マイノリティ・リポート(2002)

マイノリティ・リポート(2002)

スピルバーグの豊かなイマジネーションが
注ぎ込まれたSFアクション映画

水槽に浮かぶプリコグと呼ばれる予知能力者たちの正体、予知能力を導入した殺人防止システムの真実、そして未来の殺人事件の容疑者として追われる男の殺人動機。興味深い謎に満ちたカルト的SF作家フィリップ・K・ディック原作の短編をスティーブン・スピルバーグが2002年に映画化しました。

空から舞い降りるボバ・フェットもどきの警察部隊

もっとみる
ゴースト/ニューヨークの幻(1990)

ゴースト/ニューヨークの幻(1990)

たとえ姿は見えなくても、愛する人を守りぬく
美しくも、切ない愛を描く名作ラブストーリー

本作は1990年に公開され、世界的な大ヒットを記録しました。公開時、日本では口コミで評判が広まりましたが、もはやラブストーリーの王道の1作と言えるでしょう。

私がラブストーリー映画で一番好きなのは、この『ゴースト~』です。大学1年の頃に観たのですが、その当時の思い出とも相まって、胸がキュンとする作品です(

もっとみる
閉ざされた森(2003)

閉ざされた森(2003)

骨太アクション監督が描く
スリリングな男たちのドラマ

大ヒット作『ダイ・ハード』など、それまで一貫してアクション映画を撮り続けてきた骨太監督ジョン・マクティアナンが初めて挑んだサスペンスアクション映画です。

【ストーリー】
パナマの密林地帯での特殊訓練に参加した7人のレンジャー部隊が嵐のために消息を絶ちます。数時間後に生還した隊員はわずか2名で、彼らは訓練教官のウエスト軍曹(サミュエル・・L・

もっとみる
望み(2020)

望み(2020)

それぞれの「望み」に戸惑い、
翻弄される家族の姿が涙を誘う

原作は、読書家のためのブックレビューサイト「ブクログ」のアンケートで、読者満足度100%を獲得した、ミステリー作家・雫井脩介のベストセラー小説です。

絶望の中に芽生えた一縷の「望み」。しかし、それは決して叶ってほしくはない「望み」でした……。

ある日、突然、子どもが犯罪に巻き込まれた両親が抱いた、究極の「望み」が切なく、哀しい。

もっとみる
アイデンティティー(2003)

アイデンティティー(2003)

豪雨の夜、1軒のモーテルに導かれた宿泊客たちの正体は?
死体が消える連続殺人の謎を追うサイコミステリー

豪雨の夜、1軒のモーテルで10人の宿泊客が次々に謎の死を遂げていきます。死体のそばには、必ずルームキーが落ちていました。10、9、8……、死体が増えるたびにその数字は減っていきます。

本作は不気味な連続殺人の謎を追うサイコミステリーなのですが、これほどの興味深い事件なら、ついついのめり込んで

もっとみる
マリー・アントワネットに別れを告げて(2012)

マリー・アントワネットに別れを告げて(2012)

フランス革命最中のヴェルサイユ宮殿で何が起こったか
マリー・アントワネットに翻弄された少女の悲劇

フランス王妃として華麗かつ奔放に生きたマリー・アントワネットはギロチンで処刑されるという悲劇的な最期を迎えました。

彼女の処刑宣告は7月14日、フランス革命の発端となったバスティーユ監獄襲撃事件の際、国民から突き付けられることになりました。

本作では襲撃事件翌日からの3日間、マリーに心酔する朗読

もっとみる
インソムニア(2002)

インソムニア(2002)

24時間日の沈まない明るい世界が
人間の心の闇を明らかにする

『バッドマン・ビギンズ』(‘05年)、『ダークナイト』(’08年)、『インターセプション』(‘10年)、『TENET テネット』(’20年)など、作品ごとに面白さの度合いを増してくるクリストファー・ノーラン監督は、新作が最も楽しみな監督の1人という人も多いのではないでしょうか?

私は、最新技術を駆使した、挑戦的でトリッキーな映像世界

もっとみる
ヘイトフル・エイト(2015)

ヘイトフル・エイト(2015)

奇才タランティーノでしか成し得ない
驚愕の密室ミステリー

奇想天外なストーリー展開と生々しいバイオレンスアクションです。荒唐無稽で不快なのに、その唯一無二の物語世界に引きつけられました。

本作は奇才クエンティン・タランティーノ監督が初めて挑んだ本格密室ミステリー。タランティーノがどんな謎を仕掛けてくるのか、果たして、バイオレンスは封印するのか。奇才の新展開に興味が尽きません。

【ストーリー】

もっとみる
ヴィレッジ(2004)

ヴィレッジ(2004)

禁断の森の謎に挑むシャマランミステリー
大どんでん返しの結末よりも過程が大事

「なぜ少年は霊が見えるのか」(『シックス・センス』)、「なぜ男は乗客全員死亡の列車事故でたったひとり生存したのか」(『アンブレイカブル』)、「なぜミステリーサークルが出現したのか」(『サイン』)。

世界的な大ヒットを記録した『シックス~』以降、理屈では説明のつかない謎に取り組み、独特の答えを導き出してきたM.ナイト・

もっとみる