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雑記

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#読書

読後について

これは特に小説に顕著な現象で、本を読み終えると、何だかモヤっとした読後感が残ることが多い。あの登場人物はなぜああいう行動をしたのか、あの時の心理は、そもそも言わんとしているテーマは何か、など。

しかし、不思議なことに時の経過とともに、その理由や仮説が閃いたり、誰かとの会話からそのヒントを得ることが多々ある。

本は自分の中で日々生育していくものなんだろう。

本を読む環境

今まで小説も概説書も専門書も場所を問わず読んでいたのだが、ある時電車に乗りながら小説を読んでいると、自分が思っているほど小説の世界に入り込めていないことに気づいた。電車の揺れや騒音によって、絶えず小説と外界を行き来しているようになっていて、全く集中できていなかった。

その経験から最近は、静かな環境では集中して読み込む必要のある小説を、逆に騒がしい環境では気が散っても問題がない新書を中心とした概説

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購入本ドトン

新宿区でPayPay25%還元キャンペーンをやっていたので、紀伊國屋本店で爆買い。

ざっくり35000円くらい…😅

和歌にハマったので西行と古今和歌集、美学に少し関心が出てきたので小田部先生の『美学』、望月先生訳の『戦争と平和』が完結したのでまとめ買い、などなど。

まぁ、いつ読めることやらという感じではある。笑

楽しみな一冊

ついに購入!
ブラームスとクララ・シューマンの約40年間にわたる往復書簡集、『友情の書簡』

装丁も美しいし、内容も楽しみ。

いま新宿区でpaypay25%還元をやっていたので、定価5000円を3700円ほどで購入することができた。

ふぅ、楽しみ。

ヤマトタケルの絶唱

ひさかたの 天の香山 利鎌に さ渡る鵠弱細 手弱腕を 枕かむとは 我はすれどさ寝むとは 我は思へど汝が著せる 襲の裾に 月立ちにけり

『古事記』にて、婚約者との久々の再会を果たしたヤマトタケルが詠んだ歌。最後の「月立ちにけり」は彼女の生理を表している。つまり月経を月に見立てている。何という奥ゆかしさだろうか!

さらに、この「月立ちにけり」は、お互いが再会するまでには体の変化が生じるほどの年月を

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多読術

「多読術とは逆説的に『本を読まないこと』である」というのは、加藤周一やピエール・バイヤールをはじめいろんな人が言っている。僕は長らくそれを知りつつも、無視して興味の赴くままに乱読していたのだが、徐々に一生涯に読める本の限界に気付いてきた。限界があるというのを知りながら、行動しなければ納得しないというのは若気の至りそのもの…笑

この本は今読む必要ないな、という嗅覚も育ってきたので、ここからは「読む

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最近ハマっていること

最近ハマっていること

この時期、比較的涼しい朝と夕方にベランダに出てキャンピングチェアに座りながら本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたりしてみると、すごく心地いい。生活空間から解放された、朝陽と夕陽を燦々と浴びる我が家のベランダは光で埋もれており、まるで印象派の絵画さながら。そこに時間は存在しない。ただただ傾いていく太陽と、流れゆく海風があるだけである。もうこれ以上、何を望もうか。

全集を読むこと

去年買った小林秀雄全集、32巻中10巻ほど読んだ段階からしばらく放っておいてたので、最近ちょこちょこ読んでる。

全集を読んでいると嫌でもその作家と日々対話しなきゃらならない。一緒に暮らしてる家族と毎日話すようなもんだ。粘り強く対話を続けていると、段々と作家の思想や見ている世界が伝わってくる。小林秀雄は、突き詰めれば作家自身の「姿」が見えると言う。人間が書いた文章を人間に戻す。全集を読むことはこの

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『ドン・キホーテ』に学ぶ「眠り」

寝てるときってなんでこんな気持ち良いんだろ。永眠はしたくないけど、意識がある状態でずっと寝てたいな😅

この眠りについて、セルバンテスの『ドン・キホーテ』に、面白い一節がある。(この一節に出会うために文庫本6冊のドンキホーテを読んだまである笑)

だって眠りは、人間のあらゆる思惑を覆い隠してくれるマントであり、飢えを取り除いてくれる糧食であり、渇きを癒してくれる水であり、寒さを暖めてくれる火であ

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8/1 購入本を紹介してみる

8/1 購入本を紹介してみる



今朝は町田のブックオフへ。この店舗は本当に品揃えが良くて行くたびに🤤こんな顔をしてる。

一冊一冊軽くコメント。

・アンナカレーニナ
2.4巻だけ持ってたので、1巻が手に入ってやっと読み始めることができそう。

・カンディード
神学が幅を利かせていたヨーロッパの伝統を、人間の理性によって打破しようとした啓蒙思想を代表するヴォルテールの作品。相場700〜800円なのが300円で売ってたので即

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本を読む人の美しさ

本を読む人の美しさ

昔通ってた水泳教室のスクールバスを見かけた。あの頃を懐かしみたい思いからか、バスの中の子ども達を一瞥した。

するとその中に本を読んでいる少女がいた。夕陽に照らされその眩しさに苛まれながらも、寸分も動揺することなく、ただ真剣に本に向き合っていた。その眼差しは凛々しく逞ましい聖女の様であった。

ところで、東京国立博物館に、黒田(清輝)記念館がある。そこに読書する女性の絵が展示されている。

黒田記

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本を読む意味とは?

僕は本が好きで、数ある趣味の中でも大切なものの一つだ。家でも、電車でも、公園でも、誰かと待ち合わせしている間も、コンサートの開演直前も、基本的には本を読んでいる

こういう人なんで、周りから「そんなに本を読んで何になるの?」と問われることが多々ある。文脈によって「○○で役立った」とそれらしく回答はするが、どうも自分の中では腹落ちしていないのが正直なところ・・・

今回は本を読んで何になるのか?につ

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古典の声を聴く

古典の声を聴く

先日、古本屋の店主と会話している中で岡潔、小林秀雄、加藤周一の話に花を咲かせた。その中で店主の方がポロッと「このコロナ禍の状況に対して彼らは何と言うんだろうね。私はこんなことを友人たちとこーでもない、あーでもない、と話したりしてるよ。」と語った。この時僕はハッとして「帰らぬ人となった先人を現代に生き返らせることはできないが、彼ら彼女らが書いた文章から想像力を使って現代に生き返すことはできる」という

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フロムから考える「欲しいもの」

フロムから考える「欲しいもの」

先日先輩との会話の中で「欲しいものなんでもあげると言われたら何が欲しいんだろう?」という話題になった。今までは迷わずお金!とか、世界周遊の権利!とか答えていたが、改めて今問われると答えに窮してしまい、これには自分でも驚いた。

じっくり考えた末に捻り出した答えは「自分が納得するBe」だった。つまり、自分が最善の状態にあることが一番の望みだった。この考えはドイツの精神分析学の大家、エーリッヒ・フロム

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