古典の声を聴く
先日、古本屋の店主と会話している中で岡潔、小林秀雄、加藤周一の話に花を咲かせた。その中で店主の方がポロッと「このコロナ禍の状況に対して彼らは何と言うんだろうね。私はこんなことを友人たちとこーでもない、あーでもない、と話したりしてるよ。」と語った。この時僕はハッとして「帰らぬ人となった先人を現代に生き返らせることはできないが、彼ら彼女らが書いた文章から想像力を使って現代に生き返すことはできる」ということに気がついた。
本を読むという行為は対話だ、サシ飲みだ、という言葉をしばしば耳にするが、本当にそうなのかも知れない。ダンテの『神曲』を読みながら軽いノリで「ダンテ、お前なら〇〇についてどう思う?」と尋ね、テクストから彼の答えを想像する。『神曲』に答えが見つからなければ『新生』でも『帝政論』でも、とにかく彼の他の著作にあたってみるべきだろう。そして返ってきた声を現代に生かすのだ。古典に新たな生命を吹き込むのだ。古本屋の店主との会話は、読書の仕方について考えさせられた貴重な機会となった。
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