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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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#育児

3歳になった君へ

3歳になった君へ

気づけば1月が終わり、2月も半ばを過ぎてしまった。

目の前のものごとに追われて、ああもう今年は書かなくてもいいかなと少し、思ってしまってもいた。

でも1年前に書いた「2歳になった君へ」を読み返していたら、やっぱり何かを書いておきたいと思ったんだ。ちょっと、間に合わなかったけど。

いま、3歳になりたての君のことを、ここに記すね。この1年で君がどんなに大きく成長したか、どんなに頼もしくなったか、

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ふと思い出すFさんのこと。

ふと思い出すFさんのこと。

特別親しいと呼べるわけではない間柄のだれかについて、ふと思い出すことがある。ほんとうに何の前触れもなく、ふと。

ここ最近、よくFさんのことを思い出す。今朝も娘を保育園まで送ったあと、街を歩いていてふと、Fさんのことを思い出した。

* 

Fさんはわたしが新卒1年目のときに、途中から入ってきた派遣社員さんだった。基本的には週3回、9時から17時までの間、出社されていた。

当時わたしは右も左もわ

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白シャツという自由

白シャツという自由

最近、白シャツが楽しい。

少なくともここ3日間、気づいたら白シャツを着ている。

素材やデザインはいろいろだし、たいていキャミソールとかタンクトップとかとあわせてラフに着るのだけれど、とにかく真っ白なシャツがメインというのがいい。とてもいい。とても、なんていうか、気分だ。

朝、ねむい頭のままクローゼットの前に立って、ぼんやりと洋服を見る。

ああ、昨日も白シャツだったなあと思いながら、でもまた

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週末はピザトースト

週末はピザトースト

書こう書こうと思っている間に旬が過ぎてしまうということはよくある。

このピザトーストの話なんてまさにそんな感じだ。

春先、まだ寒さが残るくらいの季節に、週末の朝食としてピザトーストをするのにハマっていたときがあって、「ピザトースト簡単だしおいしいし最高じゃんこれ書こうっと」なんて思っていたら、いつのまにか汗ばむほどの陽気に見舞われる季節になってしまった。

いや、まあそれでもおいしいんだけどさ

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ぽんぽんのくつした

ぽんぽんのくつした

それは娘がまだ赤ちゃんのころ、ばあばがプレゼントしてくれたものだ。

パイル地というのだろうか、伸縮性のあるタオルみたいな生地でつくられた、ベビーサイズの小さな小さなくつした。足首の前のあたりに、直径2cmくらいある大きめのぽんぽんがついている。

当時はそのくつしたにぴったりの、小さな娘の足にそれを履かせて「あらかわいい」なんてほほえんでいたものだ。なんだろうね、あの時期って親が着せたいものを着

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砂場にて

砂場にて

いわゆる人付き合いというものに器用なほうではないわたしは、子どもたちの場にいると学ぶことがとても多い。

昨日も帰省先の近所の公園で娘と遊んでいて、ちょっと感銘を受けるような出会いがあった。

そもそも幼子とゆく公園というのは、意外と地味にコミュニケーション力を使うところだ。今ではわたしもだいぶマシになったと思うが、すべり台の順番待ちだとか、他の子にぶつからないかだとか、安全確保や秩序確保のために

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打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げという単語が縁遠くなってひさしい。

そもそも大勢のパーティは得意じゃないので、ひとりで働くようになってからはそういう“職場の飲み会”のような場が減り、ほっとしていたはずだ。

だけど……、だけど。

あまりに「打ち上げ」ていないと、わたしのような人間にも「打ち上げ欲求」というようなものが大いにひそんでいることに気づく。気づいてしまう。

そんなわたしの横で夫が言う。「昨日は◯◯の打ち上げ

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水餃子は飲みものか

水餃子は飲みものか

先週末は、家で水餃子だった。

前もって考えていたわけではない。その日は夫が料理を担当する日であり、リクエストも聞いてくれるというので、何が食べたいかなあと考えていて、ああ餃子食べたいなあと思ったのだ。

そもそも普段は自分が料理を担当しているというのに、なぜなかなか餃子を作らないかといえば、平日の忙しい夕方に悠長に餃子を包んでいる心身の余裕がわたしには欠如しているからである。

保育園のお迎えか

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ちいさなせなか

ちいさなせなか

ここのところ、2歳の娘がわたしの布団にもぐりこんでくることが増えた。

……と書くとほほえましいが、実際はまだ加減を知らない娘のこと。「ごっ」という鈍いひびきとともに、わたしのあごにタックルを決めてくる。母の胸もとやあごにアタックを繰り返しながら、ぐるぐると回転し、自分の心地よいポジションを探しているようだ。

昨夜も、最初は自分の布団にうつぶせに横になっていたのだけれど、眠れないのか結局のそりと

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床の見える生活

おしゃれなインテリアを楽しんだり、ものを持たない暮らしを追求する方も多くおられるご時世に、ものすごく低レベルな話をするけれど、我が家のリビングは子が生まれてからというもの、ほとんど床が見えていなかった。

何かの比喩でもなんでもなく、文字どおり、ものが散らかっていて床の見える面積が圧倒的に少ない、ただそれだけのことである。

特に子が動き回るようになってからの1年は、いたるところにおもちゃやそれに

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ノスタルジアは突然に

ノスタルジアは突然に

夕方、洗濯物をたたんでいてふと目をとめた。

お弁当をつつむ用の、ちょっと厚手で大きめのハンカチ。ライオンにゾウにトラにと、色とりどりの動物キャラクターたちが、野球のユニフォームをまとって可愛らしくプリントされている。

それは昨年実家に帰ったとき、帰りの飛行機で食べるためのおにぎりを、母がつつんでくれたものだった。ちょうど動物をゆびさして喜ぶようになった孫娘のために、動物がたくさんプリントされて

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あったかいスープをどうぞ

あったかいスープをどうぞ

娘が風邪で食欲がないとき、よくつくるスープがある。

咳やのどの痛みからか、いつもはもりもり食べる固形物をイヤイヤと受けつけないときでも、これだけはおかわりして何杯も食べてくれることが多いからだ。

つくり方はいたってシンプル。

かぼちゃ、にんじん、皮をむいたさつまいも、玉ねぎを同量くらいずつ適当にざくざくと切って、圧力鍋にほうりこみ、水と塩を入れて、フタをして火にかける。あとで調整できるので、

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娘の検査入院の日に考えたこと

娘の検査入院の日に考えたこと

たくさんの同意書に、次から次へとサインをした。

医師は、ていねいに説明をしてくれたと思う。

“ほとんどのひとにとっては問題なく安全にできる検査です。それでもごくまれに、次のような重篤な症状があらわれたり、命にかかわる事態になることがあります。”

その「起こりうる事態」についても、語句の下にアンダーラインを引きながら、ひとつひとつきちんと説明してくれた。医師という立場上、毎日多くの患者と接して

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ささやかすぎるけれど、一大事(娘のトイレデビュー記録)

ささやかすぎるけれど、一大事(娘のトイレデビュー記録)

今日はひたすら、娘のトイレデビューについて熱く語る。

いろいろダイレクトな表現で書くので、食事中の方や苦手な方はどうかスキップいただきたい。

* * *

月曜日、もうすぐ2歳になる娘が初めて、自宅のトイレに座って用を足すことに成功した。

ええ、いまさら?!と思われる方もいるかもしれないが、まあ時期は人それぞれ。ちなみに娘は、保育園の幼児専用便座では数ヵ月前から「ちゃんと座っておしっこできて

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