マガジンのカバー画像

すてきなことを描く人たち

53
noteで遭遇した、すてきなことを描く人たちを集めてみました。 同じようにすてきだなぁ、と感じて貰えたらとても気持ちがいいです。
運営しているクリエイター

#日記

憧れたブロガーさんがニセモノだった話

憧れたブロガーさんがニセモノだった話

高校生の頃に、よく見ていたブログがあった。

彼女は20代後半くらいでロンドンに住み、私が好きなバンドの写真を撮ったりしているフォトグラファーということだった。

美しい写真と共に日々更新される、日記のような記事。

仕事の話や、友人と訪れた新しいレストランの様子、彼と過ごす休日のこと。
ロンドンを舞台に繰り広げられる、憧れが詰まった映画のような世界に、私は夢中だった。

その当時はSNSなんても

もっとみる
灯台の小道

灯台の小道

歩くのは好きですか?

(それとどうか、深呼吸を忘れずに、
体に良い、とお医者から聞きましたよ。)

どこかへ向かって歩くのも
当て所なく歩くのも良いものです。

一歩ずつ確かに進んで行く感覚が好きで
私はよく散歩に出かけます。

右足を出し、左足を出す
(あるいは、左足を出し、右足を出す
あるいは、足が悪くても、無くても
それは人それぞれですよね。
向かう感覚には変わりありません。)

その単純

もっとみる
別れの切れ端

別れの切れ端

最近小さな別れが続いている。お店も人も。

別れに立ち会ったときに生まれてくるものを、みんなどう処理しているんだろう。別れと一口に言っても色んな種類や大きさがあって、いま私の世界で生まれているものは、すごい早さで流れてくる雲を眺めているときに感じるものに似ている。

別れるとその対象とはそれ以後の時間を共有できなくなる。そのため対象を介して生まれていた情緒は、嬉しいことも悲しいことも色んなこと含め

もっとみる
日常を3日間タイムループさせたら、74歳に娘ができた

日常を3日間タイムループさせたら、74歳に娘ができた

先日、私は神楽坂でタイムループした。

タイムループっていうのは、「物語の中で、登場人物が同じ期間を何度も繰り返す」というもの。これに憧れていた私は、自分の手でちょっとだけ、ループさせてみた。妄想でもSF小説でもない。至って日常的な一日を、3回繰り返した。

そうしたら、とある74歳の女性に娘ができた。
ひとりじゃない。ふたりもできた。

何を言っているのかわからないと思うので、その3日間にしたこ

もっとみる

私の背中を押す、「34グラムの銀」

18歳の私にとって、1番たかい買い物は、「シチズンの腕時計」であった。

デパートの1階。黒のストライプスーツを着こなす男性店員が2人。目をあわせぬよう、緊張を隠して店内へ。ショーケースの右から3番目にみつけた。

ソーラー充電だと楽だ。それでいて、ベルト部分はステンレスがいい。うっすらピンクの円に、小さい文字盤。きっかり12時を指して止まったままの針が3本。

即決だったように思う。

いつだっ

もっとみる