マガジンのカバー画像

エッセイらしきものばかり

521
何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
運営しているクリエイター

2022年7月の記事一覧

うっかりへそを出してしまっていたのかもしれない

うっかりへそを出してしまっていたのかもしれない

 夏です。暑いです。そのせいか、ショート丈のトップスを着ている女性をチラホラ見かけるんです。ショート丈ということは、要は「へそ出し」というやつですね。そういう格好を着ている人は往々にして、ずっとお腹に力を入れているとしか思えないくらい、腹が引っ込んでるんです。日ごろの摂生の賜物なのでしょう。

 涼しそうな格好だと思うんです。でも、なぜだか知りませんが男の人がやると様にならない。先入観のせいでしょ

もっとみる
半解体工事

半解体工事

 住宅地は代り映えのない景色が続くと思いきや、ちょっとずつ変化が起きているものです。まだまだ住めそうな家がいきなり潰されて更地になり、あれよあれよという間に新しい家が建ったりします。

 そんなある日のことです。近所のとある家に建設業っぽい人たちが集まっていました。私が見た限り、まだまだ住めそうな家ではありましたが、古さは否めませんでした。ここも建て替えられるのかと思いながら通り過ぎました。以後、

もっとみる
槍投げから見る人類の多様性

槍投げから見る人類の多様性

 小学校、中学校、高校と行くにつれて、様々な勉強が専門化されてゆきます。体育も例外ではありません。単なる駆けっこから徐々に本格的なスポーツ競技をやるようになる。

 高校の時にはサッカーのような集団スポーツはもちろんですが、割とちゃんとした陸上競技もやった記憶があります。しかし、やったことと言えばハードル、三段跳び、槍投げという、どういう基準で選ばれたのかよく分からないセレクションでした。

 私

もっとみる
労働安全衛生ギャグ

労働安全衛生ギャグ

 衛生管理者という資格があります。労働環境を清潔に保ち、病気の予防をするように管理する人が持つとされる国家資格で、大きな事業所ではこの資格を持った人が必ずいなければならない決まりがあります。第一種衛生管理者の合格率はおおよそ40~50%くらいで推移していて、国家資格の中では高いほうだそうです。

 上司にもその資格を持ってる人がいるんですが、その人がなぜか資格をおもちゃにしたくなる性格なんです。せ

もっとみる
いつから人形は怖くなったのか

いつから人形は怖くなったのか

 こんな表現をするのも何なんですが、人形がホラーの道具として当たり前のように使われています。何故かって言われたら、やっぱ怖いからじゃないでしょうかとしか言いようがありません。もちろん、人形の造形にもよるでしょうけれども、薄暗い部屋を歩いていた時に無表情で真っ白な顔の人形がパッと目に入れば、私のようなチキンの中のチキンはまずビビるはずなんです。

 じゃあ、なんで怖いのか。個人的には人っぽいのが大き

もっとみる
送迎車コンプリートツアーズ

送迎車コンプリートツアーズ

 近所でよく見る車があるんです。白いバンみたいな車で、家に停まってはお年寄りを乗せたり降ろしたりしている。車体には医療法人の名前と連絡先が書かれています。いわゆるデイケアサービスの送り迎えをしているのでしょう。

 それは全く問題がないんですが、その車に書かれた医療法人名のそばに「4号車」という文字も併記されていたんです。つまり、その医療法人は同じような車を複数台持っている。その医療法人の車が通る

もっとみる
人生論は魔境

人生論は魔境

 不思議に思っていたんです。

 インタビューなんかで著名人や専門家が自分の考えを話してゆく、みたいなコンテンツは世間に溢れています。話している人はインタビューされるくらいですから、当然ながら聞くべき点がある。特にご自身の専門分野の話は非常に独自性があり面白い内容だったりします。しかし、そういう人でも話題が人生論に移ると急にどこかで聞いたような話をするようになるんです。もちろん、例外はありますが、

もっとみる
大学を探しただけなんです

大学を探しただけなんです

 そろそろ春の気配がしようかという季節に、息子が大学に合格したという話を上司がしてきたんです。どう考えてもめでたい話なんですが、上司の顔は明らかに浮かない様子です。

「どうしたんですか。合格したんですよね」
「うちの息子が本当に勉強ができなくてさ、大学に入っただけでマジで御の字なんだよ」
「そうだったんすか」
「そうだよ。もう聞いたこともない名前の大学でさ、全然覚えらんねー」
「大学もいろいろあ

もっとみる
侮れないアリ

侮れないアリ

 あれは何だったんだという事件に遭遇した経験はありませんか。別に大きな事件でなくてもいいんです。むしろ小さな事件の方が、あとになって振り返って妙に思ったりするものです。

 私が子供の頃、置時計が壊れたんです。何か大きな衝撃を与えたわけではないのに突然動かなくなった。買ったばかりでこれはおかしいということになり、母が時計屋へ持って行ったんです。さすが時計屋、時計はすっかり直って戻って来たんですが、

もっとみる
環境に寄り添っているのか、環境が寄り添ってくるのか

環境に寄り添っているのか、環境が寄り添ってくるのか

 隣の家の生活サイクルが独特なんです。平日でも夜の3時過ぎまで平気で起きている。4時もザラです。

 なんで知っているかと申しますと、お隣さんの生活をじっくり監視しているわけではもちろんなく、お隣さんの部屋の光が私の部屋にまで入ってくるからです。私の部屋のカーテンは遮光したがらないタイプなので、さあ寝ようと思って部屋の電気を消しますと、お隣さんの部屋から差し込む光がハッキリと分かるようになる。

もっとみる
親指姫のモグラ症候群

親指姫のモグラ症候群

 「親指姫」という有名な童話がありますね。アンデルセンの代表作のひとつとされ、アマゾンで検索すると今でも何種類もの絵本が簡単に出てきます。

 私、長らくこの話に対する印象がよくありませんでした。理由は完全に自分のせいなんです。私が幼かった頃、それこそ初めて親指姫を読んだ時の話です。

 読んだ方はご存じでしょうが、親指姫の話は割と苦難の連続です。ヒキガエルにさらわれたりコガネムシにさらわれたりと

もっとみる
霊界の肛門

霊界の肛門

 死んだらどうなるのか。意識はどこへ行くのか。なくなるのか、なくならないのか。ものすごく気になるけど、生きている間は確認ができません。だから死後の世界――ここではとりあえず霊界と書きますけれども――についての話は現在に至るまでいろんな人が口々に言い、「本当かよ」と疑いつつもつい耳を傾けてしまうんだと思います。

 霊界の話でまず問題なのが、本当かどうか分からない点です。嘘がつき放題なわけですね。仮

もっとみる
危険な温泉の記憶

危険な温泉の記憶

 年齢一桁だった頃の記憶なのでいろいろ曖昧ですが、家から離れた温泉地に一家で行ったことがあるんです。水着を着て入るため事実上の混浴というか、どちらかというと温水プールと言った方が近いのかもしれませんが、滅多にいかないような場所だったため私はそれなりに楽しんでいました。

 ただ、最も記憶に残っている温泉には入っていません。なぜかというと、周囲に柵が張り巡らされ、更には「危険!立入禁止!」という文字

もっとみる
願いが叶わなくて助かった

願いが叶わなくて助かった

 自己啓発本というのがあるのは知っていますし、恥ずかしながら私もそういう本を読んだことがあります。だから分かるんですが、大きい書店の自己啓発本コーナーとか、本のネットショップで自己啓発本のカテゴリーとかを見ると、もうその手の本が大量に出てくるんです。タイトルを見るだけでもみんな口々にいろんな主張をしているのが見て取れます。ただ、自己啓発本なので大半は読者の成功を目標としています。願いを叶えるとか、

もっとみる