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エッセイ。

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花と精神(29歳8月16日の日記)

花と精神(29歳8月16日の日記)

敷き布団のカバーが裂けてしまった。
掌に満たない大きさの裂けだけれど、
なんだか気になってしまう。
はやく新しいのを買わないと、とか

どうしてかな?

眠りという大切な
安心な行いの
底が割れてしまうような気が
するのだろうか

服でも、シーツでも、
座布団でも、
暮らしの中の布が裂けるのは
妙に気になる。

破れのない布の存在は、
私の暮らしの
安心を形づくっているのかもしれない。

****

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「労働者であること」をあきらめる(29歳、7月29日の日記)

「労働者であること」をあきらめる(29歳、7月29日の日記)

今日も海で背泳ぎ。
また、平泳ぎ、
バタ足。

今日はバタ足にひと工夫してみた。
斜めにバタ足するのだ。
右足と左足がバッテンになるような感じで。
そうすると、進むラインはくねくねするけれど、
ゆらゆら踊るような感触が味わえた。
ゆら、ゆら。

海の中で人知れず踊っている私。
ふふふ。

******

夕方、ふと父方の祖父のことを思ったのだ。

なんでだったかな。

職場にコロナ陽性者が出たとか

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29歳6.30の日記「慣れ」

29歳6.30の日記「慣れ」

今日も、
仕事していた。

お得意さんの屋上に生えた木や草の刈取り。
普段上らない場所。
眺めも良く、海が見えた。

草を刈りながら、
考え事していた。

「「場数を踏む」ことができるのは、
慣れないでいる間だけだなあ」ってこと。

******

慣れて、「こういうもの」「こんなもの」
と思ってするようになった途端、
それは経験ではなくて
ただの作業になる。
何も深まらなくなる。
記憶にもとどま

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ずれ

ずれ

なぜか

Mr.childrenの「HERO」が
聴きたくなった。

それがほんの数分前で、
今曲の中盤くらいを聴いている。

YoutubeのMVも、
この曲にはこれしかない、とは思わせてくれるわけじゃなくても、
思わせてはくれないからこそ、
(ビビットな「マッチング」ではないからこそ)
この曲の雰囲気を引き立ててくれている気がする。

表現における微妙なずれのようなものは、
良い味のワインに変

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アルコールと会話のはなし

アルコールと会話のはなし

アルコールなしで、人と話がしたい。

近頃の反省と、昔の追憶と、

漫画「異国日記」9巻を読んで、
そう思った。

******

先日、アルコールを飲み過ぎた。
お酒に呑まれるとはこのことか、と思った。
肩に担がれて家に運ばれたらしいのだが、記憶がない。
もちろん何を話したのか記憶もない。

その人とは、たまにサシで呑んでいて、
面白い話ができるなあ、と思っていたので、
その晩も呑んでいたのだっ

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29才4月21日

29才4月21日

左足がなぜかとっても痛くて
全身に原因不明のかぶれが出ちゃって

散々な、惨憺たる、Mizukiです。
でも、
19時半に
「まだご飯食べてなかったら、一緒にご飯でもどう?」
と尋ねたメールに
わー!今ご飯作ってるとこ!

っていう料理写真付きの返事をもらえたのは、
なんだかよかったな。

そのおかげでビールを開ける気持ちになれました。
ビールとちくわ美味しい。

******

以下、描きかけの

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無駄を愛そう。

無駄を愛そう。

効率を求める動きが、
いやでも競争を意識させて、
それで
なにもかも
苦しくなることに気がついた。

******
だから、
この夜に、
この夜だけで終わるものをつくろう。

言ってしまえば「無駄」なこと。
無駄を愛そう。

きょうもピアノを弾いた。
ギターも弾いた。
砂浜に寝転んでお日様のひかりを浴びていた。
柱を見つけた。倒立を手伝ってもらった。

名前のつかない様々な行いをした。
なんともい

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元気?

元気?

こないだ、
思いついて久しぶりに
遠方の友達に
連絡した。

******

「元気?」
「ご飯ちゃんと食べてる?」

元気だよ。
仕事前の吐き気もだいぶ治ってきて、
あさごはんも食べられてるよ。

よかった。
また話そうね。

うん。またね。

******

仕事場の仲間とも、
ときどき
プライベートで食事に行く。

同じように、
「元気?」
と声をかけるようなことなのかもなあ。
うちも
声か

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29歳3.22(日記)

29歳3.22(日記)

仕事を上がったので、
夕飯前に日記を書いてみる。

初めての試み。
いままでは
日記は寝る前に
紙のノートに
寝そべって書くものだったから。

***

今日は仕事。
午前中はツリークライミングの講座の
リハーサル。
緊張している。
人に登り方を伝えるのは初めてのことなので。

うちが教わる立場だったら、
楽しみでドキドキするだろうけど、
こちらは
別の意味でドキドキしてる。

こういう体験も貴重

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エントロピー

エントロピー

ときどき、
全く動けなくなる。

金縛りとかではなく。

仕事終わりとかに、
これから散歩に出たいな、とか、
浜辺に生きたいな、とか。
どこかに呑みに出かけようかな、とか

頭が考えても、

一歩も外に出られないだけではなく、
お鍋をコンロに載せることもできなくて。
なんなら、椅子を引いて座ることさえ
できない。

手順がいる動作のすべてができなくなって、

それはつまり、寝ることさえもできないわ

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今日の話題 2つ

今日の話題 2つ

裸ロシアには。
バーニャというサウナがあった。

とある農場のコミュニティに
それがあり、
うちも声をかけてもらい、
裸になって入った。

はじめ戸惑った。
初対面の男女がみな
当たり前のごとく
裸で入っていたのだ。

パートナーがいる人も、
そうでない人も。
若者も中年も。

少しの恥じらいもない。

お互いの体を
束ねた白樺の小枝で
たたいたり、
マッサージしあったりしている。

うちもやって

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砂時計の夜

砂時計の夜

死ぬときの夢を見る。

あれは死ぬときの夢なのだろう、
たぶん。

うちはひざをついて、
苦しい息を次第に潜めるようにして
縮こまってゆく。
ゆっくりと微かな呼吸をする。

とてもとても苦しい。

次第に次第に、息をしているのかも分からなくなって、
石になったみたい気がして、
ふと
どこか細いくびれを通り抜けたような
気配がする。

細いくびれを抜ける。
砂時計のくびれを抜ける。

あちら側へ。

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肌ざわり

肌ざわり

情報は満腹
肌ざわりに飢えてる

リモートなご時世で加速する
あらゆる情報化

もうおなか一杯。
正直、
情報としての音楽も、
情報としての絵画も、
満腹以上。
もう受け取れないほどに。

新聞とか、教材なんて、なおのこと。
ほんとムリ。今は無理。

飢えているのは
肌ざわり。

触れてくれる手や
抱きしめてくれる手。
撫でてくれる手。

吹いてくる風。
皮膚をじりじりと焼く太陽。
身を切るような

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白線

白線

大型車大型トラックの運転手が、
カーブなどするときに
中央線をはみ出して運転できるのは、
その特性に応じて
そのような動きが許されているからだと、

大型自動車免許を取ってきたその人は言った。

3分間スピーチ。
専門学校の朝礼で。

うちは、その言葉がずっと忘れられない。

いろんなミュージシャンや起業家たちを見るたびに、
そしてその人達の人並み外れた経験を語り聴くたびに、
うちはこの大型車の話

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