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本の紹介

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本をご紹介。 少しでもお役に立てれば幸いです。
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#QOLあげてみた

句集『にもつは絵馬』(阿部完市氏)を読む。

句集『にもつは絵馬』(阿部完市氏)を読む。

句集『にもつは絵馬』(阿部完市氏)を読みました。

第三句集の文庫化版にあたるそうです。

作者の経歴

この作者の異色の経歴はWikipediaをご覧下さい。

五句選

余談

ご紹介した手元の句集は古本です。

同出版社の句集文庫の俳人メンバーが豪華です。
奥付裏広告より。
当時の俳壇の雰囲気が伺えますので、ご覧ください。

〔既刊〕

後藤比奈夫 第三句集『祇園守』

藤田湘子 第四句集『

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降雪の短歌・俳句

降雪の短歌・俳句

雪が数センチ積もりました。

雪を見ると創作意欲が増す、
かと思いきや色々な作品を思い出すのでした。

雪が降る度にX(旧Twitter)の短歌のタイムラインは
「ゆひら」
と言って騒ぎになります。

これは穂村弘氏の有名な短歌の一部から「ゆひら」の部分だけを取って言っています。

当該の短歌は以下です。

さて、それとは別に私が思い出す短歌は
以前noteの記事で紹介しました歌集
『スーパーアメ

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句集 『呼鈴のあと』(佐藤久氏)を読む。

句集 『呼鈴のあと』(佐藤久氏)を読む。

句集 『呼鈴のあと』(佐藤久氏)を読みました。

本の構成

序文→本編の俳句→跋文
の順になっています。

新緑のような緑色の装丁が、
収録されている俳句の内容と合っていると思います。

五句選

装丁だけではなく、
帯の一句にも惹かれて購入しました。

レトロ感と未来への明るい期待感が、
季語のソーダ水に詰まっています。

俳句らしい省略の一句です。

港のキリンですので、
キリンのような形の

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歌集『金魚を逃がす』(鈴木美紀子氏)を読む。

歌集『金魚を逃がす』(鈴木美紀子氏)を読む。

鈴木美紀子氏の第二歌集
『金魚を逃がす』を拝読しました。

感想と鑑賞

-火と水の相聞-

歌集の前半の相聞群は、
作者(作中主体)が火、
相聞の相手は水としての喩が多いように感じました。

******************

雨量の短歌は、前述の法則からは外れます。
自分の気持ちの高まりや積もり具合が雨量で喩えられているように読みました。
「相聞の相手が水で喩えられる」という読みを当てはめ

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歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読む。

歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読む。

歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読みました。

本の紹介

2017年刊行の大湯邦代氏の第六歌集です。
普遍性のある短歌が多いためか、内容が全く古くなくて、読み返しても面白い歌集です。

黒い表紙に櫻の花びらが映える
シックな装丁の一冊です。

五首選

歌集の前半の櫻の連作から一首と、
他に好きな短歌をご紹介します。

リンク

↑Amazon

↑出版社公式サイト・コールサック社

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を読む。

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を読む。

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を拝読しました。

北神照美氏の第四歌集にあたります。

装丁

ハードカバーの歌集です。

表紙のタイトル『ひかる水』が銀箔押しで、銀色に光る点にデザインの美しさを感じます。

五首選

リンク

Amazonで現行で販売・購入出来るものは英語版のため、英語版のリンクを掲載しました。

歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読む。

歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読む。

歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読んだ。

歌集について

福田淑子氏の第二歌集である。

宙と書いてそらと読ませる。
この漢字の読み方は歌集の内容に大いに関係がある。

例を挙げると、歌集の帯にある一首。

※「宙」に「そら」とルビあり。

宇宙の宙でそらである。

その他にも、多様なテーマの短歌が収録されている。
それぞれ別々のテーマに見えるが、根底で「自分が生きること、誰かが生きたこ

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句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読みました。

この句集についての雑談。

タイトルに惹かれて購入して読んだところ、見覚えがある俳句がちらほらあり
「どこで見たのかな」
と考えていました。

すると手元にある
『天の川銀河発電所』
という現代俳句のアンソロジーの本で紹介されていて
「ここか!」
と納得しました。

五句選

チョコでもココアでもなく、高級感のある「ショコラ」です。

消しゴムを大切に

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歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』を(佐クマサトシ氏)を読みました。

概要

淡々とした短歌集でありながら、現実にあるおかしみやズレを描きだしていると思いました。

五首選

洗濯機が動く音を聞き、洗濯の終わりを待ちながら考え事をする場面は日常にあります。

コインランドリーの待ち時間のイメージでした。

魔女とお茶は近い取り合わせですが、間に日常的な場面が入ることで、内容の距離を遠くする工夫があると思いました。

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歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を拝読しました。

概要

生活、震災詠、相聞などのテーマで、
工夫のある短歌が多々収録されている印象です。

五首選

※紹介する短歌の選もかなり悩みました。

バスの動きと雨雲の動きが連動しているようで、面白いと思います。

「嘘」がひとつまみのスパイスのように効いている一首です。

景が良くて爽やかなだけではなく、結句に含みや内容の奥行きを感じま

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歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を読む。

歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を読む。

歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を拝読した。

本の紹介

中年男性の立場からの視点が多い歌集。
ひとつまみの皮肉と哀愁がある。

時折作中に登場する「沼津の姉」の個性的な発言も魅力。

五首選

「領土」という仰々しい言い方が、おかしみを生んでいるように思った。
「ドトール」のカタカナ表記が異国の名前に見えてくるという効果もある。

「蹲る」は「うずくまる」と読む。
躓く(つまずく)と漢字が似ていて

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歌集『アーのようなカー』(寺井奈緒美氏)を読む。-ひねりと親しみやすさの両立-

歌集『アーのようなカー』(寺井奈緒美氏)を読む。-ひねりと親しみやすさの両立-

歌集『アーのようなカー』を読んだ。

不思議なタイトルは、歌集のある一首を読むことで分かるという工夫がある一冊。

五首選

今と過去が交差することで、それぞれの瞬間の切実さやかけがえのなさを感じる。

花びらとビニール傘の取り合わせも景が綺麗だと思う。

「面長の動物は横顔で絵を描かれがち」という発見も内包されている一首。

「向き合うんだ今日は」の部分だけ見ると、大変な出来事への決意のように見

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第二歌集『グロリオサの祈り』(岡田美幸)のご紹介。

第二歌集『グロリオサの祈り』(岡田美幸)のご紹介。

2023年10月12日は、
本の奥付にあるこの本の発行日です。
発行日は本の誕生日!
ということで紹介文を掲載します!

本としての紹介

第一歌集『現代鳥獣戯画』は二十代後半
第二歌集『グロリオサの祈り』は三十代前半に上梓させて頂きました。

第一歌集は約200首で
今回の第二歌集は約400首!
二倍のボリュームになりましたが
本体価格が第一歌集とは100円差です。

第一歌集で学んだ事を活かし

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日記の書き方であり成長物語。『さみしい夜にはペンを持て 』を読む。

日記の書き方であり成長物語。『さみしい夜にはペンを持て 』を読む。

人気の本を紹介したい。

最近「X」やインスタグラムなどで良く見かけるその本は
『さみしい夜にはペンを持て 』
である。

タイトルから勝手に
「ハウツー本か自己啓発本だろう」
と思い込んでいた。

しかし、内容は物語形式で、
日記を書くことの良さや主人公の成長などを描いた本だと感じた。

物語としては、
・応援したくなる主人公
・謎のある登場人物
・学校など親近感が持てる設定
・海の中を活用した

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