マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

523
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

#過剰流動性

止まらない「過剰流動性」ゲーム - バローメーターはビットコイン

止まらない「過剰流動性」ゲーム - バローメーターはビットコイン

  "CPIショック" はちょっと大袈裟だが確かにマーケットの雰囲気は一変した。特に米国債とJGB(日本国債)。売り=金利に上昇に弾みがついている

 米国債については「逆イールド」から一気に「フラットニング」(イールドカーブの平坦化)「スティープニング」に向かう勢い。「年内利下げ」期待は剥落しつつあるのが現状。このままCPIや雇用統計が上昇基調を維持すれば2年以降の米国債金利は@5%越え、下手を

もっとみる
「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

 「投資」の考え方としては大きくこの2通りになる:

 A.「インカムゲイン」(Income Gain)

 「金利」「配当金」など定期的に得られる収入を目的とした「投資」。 ”サラリーマン大家” など家賃収入を目的とした賃貸アパートなどもこれに当るが、日本人はとにかくこっちが好き。「高利回り」と言われるとつい手が出てしまう。定期収入 ≓ 安定利益と勘違いしている点も多分にある

 B.「キャピタ

もっとみる
続・米国経済本当は強い?弱い?

続・米国経済本当は強い?弱い?

 米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編

 もう1年余りNFPにマーケットは悩まされ続けている。ISM非製造業指数を見ると価格等「インフレ」や景況感に減速の兆しが見えているが、とにかく「人が足りない」。平均時給が+4.3% → +4.1%と和らいでいるのが救い

 雇用統計発表直後は「米国債売り」(ドル金利上昇)+「ドル買い」で反応したが徐々に落ち着いてきている

 一

もっとみる
溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

 2023年、シリコンバレー銀行(SVB)やシグチャー銀行を吹き飛ばした米国債の "暴風雨” 。早期「利下げ」騒ぎで「逆イールド」を形成したが今や完全に行き詰まり。相場のダイナミズムを失っている。大やられした米銀もFRBの監視の目が厳しくなり米国債の "器" は一杯。商売あがったりである

 低調な米国債市場と歩調を合わせるように、相場を牽引してきたナスダックや ”マグニフィセント7” も上が詰ま

もっとみる
やっぱり「インフレ」しかない

やっぱり「インフレ」しかない

 地味ながら3/21に金融政策の ”予想外” が相次いだ

 対照的な2国だが、現在の世界の経済状況を端的に現していて興味深い

 まずスイスと言えば元々 ”世界一物価の高い国” 。それだけに今回の「インフレ」局面でもCPIは+1%台で低位安定しておりそれほど「利上げ」もせずに済んだ。日本とも共通するが世界一の「お金持ち」国家と言えるだろう

 これを見て 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下

もっとみる
勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険

勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険

 もうECBは完全に「利下げ」前のめり。全くこの人達は何を言っているのだろう。どうもきっかけは天然ガス価格の急落のようだが正直腹が立つ。そもそも「戦争」の引金になったのはロシアへの過剰なエネルギー依存。アメリカからバカ高いガスを買わされてイライラしているのは判るが自業自得。そう考えるとメディアを使って「停戦」へ導こうとしているのは見え見え。舌の根も乾かぬうちにロシアと手を結ぶのではないか

 ヨー

もっとみる
2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

 注目の2月米雇用統計はまた投資家泣かせの微妙な数字。NFPのヘッドライン+27.5万人を見て「先月より減った!」と米国債は買い(金利は低下、5年債は一時@4%)、ドル円は売りに飛びついたが、そもそも+20万人台は弱い数字ではない。慌てて6月に「利下げ」を急ぐ理由には成り難い

 年内の「利下げ」は依然7月開始~▼0.75%が有力だが、面白いのは30年金利が指標発表前よりむしろ上がったこと。1つは

もっとみる
ヨーロッパから聞こえてくる ”悲鳴” - AI相場は高速回転の ”インフレマシーン”

ヨーロッパから聞こえてくる ”悲鳴” - AI相場は高速回転の ”インフレマシーン”

 ECBは大方の予想通り政策金利を据え置いたが「インフレ率」の見通しを引下げた事から一時ドイツ国債等買われ金利が低下。やはり中国・ロシア傾斜のツケは重く本当に景気が悪いのだろう。フランス、イタリアなどラテン国家群を中心に「早期利下げ」を求める ”悲鳴” が聞こえてくるようだ

 これに対しかつての「世界のタカ」ブンデスバンク(ドイツ中央銀行)一派は拙速な「利下げ」には真っ向反対。中国傾斜で景気が悪

もっとみる
「過剰流動性」が生んだ "怪物" ビットコイン

「過剰流動性」が生んだ "怪物" ビットコイン

 不気味に上がり続けるビットコイン(BTC)。ブロックチェーンとか半減期とかマイニングに電力を消費するとか、とにかく断片的な知識しかない筆者にはいくら値が上がっても手が出ない代物。まあ「わからないものには投資しない」を是としてきたので、価格形成メカニズムが不明のまま「お金」を投じることはできない

 「テスラ」とBTCとWTI。ー 「過剰流動性」はどの程度影響していたのか。|損切丸 (note.c

もっとみる
米国経済本当は強い?弱い?

米国経済本当は強い?弱い?

 「強い」 - ことアメリカの「雇用」については統計が出る度にそう唸ることがもう1年以上続いている。米経済のベース、特に「需要」が強いこともあるが、やはりベビーブーマーの抜けた▼4,000万人の ”穴” はなかなか埋まらない。だから「人件費」をコアとした「インフレ」基調は強いまま

 前稿.「逆イールド」が奪う「銀行」の体力 - 「これ以上金利上昇に耐えられない」 ≓「過剰流動性」の "禁断症状"

もっとみる
「逆イールド」が奪う「銀行」の体力 - 「これ以上金利上昇に耐えられない」 ≓「過剰流動性」の "禁断症状"

「逆イールド」が奪う「銀行」の体力 - 「これ以上金利上昇に耐えられない」 ≓「過剰流動性」の "禁断症状"

 前稿.「金利」が低下したのに「ナスダック」が売られた - "慌てず勇気を持って挑む" 2024年|損切丸 (note.com) でも触れたが、突如始まった "不可思議な米国債のラリー" 。発端はオフィスビル等商業不動産投資で失敗したNYバンコープ(NYCB)の経営危機だろう

 直接的予兆としてあったのがシェアオフィス " WeWork" の経営危機。日本でもSBが出資して兆単位の損失が出たが「

もっとみる
「金利」が低下したのに「ナスダック」が売られた - "慌てず勇気を持って挑む" 2024年

「金利」が低下したのに「ナスダック」が売られた - "慌てず勇気を持って挑む" 2024年

 こういう不思議な事がずっと米株式市場で語られてきた。まあウォール街特有の ”為にする理屈” なのだが、昨日(1/31)この法則が崩れた。「金利」が低下したのに "典型" と捉えられてきた「借金」の多い「ナスダック」が売られた

 メディア的に面白くないのであまり記事は多くないが "米株弱気派” の投資家やファンドは結構存在する。代表的な例はPBR(株価純資産倍率)が4.4倍の米株は高過ぎる、e.

もっとみる
まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」

まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」

 これは "FACT" (真実)。▼0.10%をチャージされているのは500兆円余りの日銀当座預金のうちたったの30兆円程度であり、「マイナス金利解除」だけではとても「金融引締め」とは言えず象徴的意味しかもたない

 「マイナス金利解除の予告」と受け取った向きが一旦ドル円を売ったが、考えてみれば仮に日銀が+2%「利上げ」してFRBが@4%まで「利下げ」してもまだ「実質金利」で日本はアメリカを上回ら

もっとみる
 ”ノドに刺さった骨” -「日銀」が動いて初めて「インフレ」退治が始まる

”ノドに刺さった骨” -「日銀」が動いて初めて「インフレ」退治が始まる

 市場予想通り日銀は政策変更を見送ったが、案の定その後の植田総裁の記者会見が注目された。その中で Bloomberg 社に掲載された記事が興味深かった。データサイエンスの「ワードクラウド」の分析によるとと12/19の会見 ↓ に比べて今回( ↑ 標題添付)は「マイナス(金利)」「賃金」が増えているという。なるほど、さすがAI時代

 マーケットは素直に反応し、会見後ドル円は売られ、一時+400円以

もっとみる