マガジンのカバー画像

詩集

26
たまに詩を書きます。
運営しているクリエイター

#感覚

受け入れる|詩

受け入れる|詩

ままならない一日
地球も太陽も待ってはくれない
容赦なく過ぎ去って

自分がわからなくなる
思いのほか動けない
うやむやになって

その鈍さに落ち込む
責めずにはいられない
柔らかく受け入れて

どうにか許す一日
代わりはいない
深刻さをふんわり手放して

軽やかに歩く
追手はいない
地に足をつけて

心の自然|詩

心の自然|詩

取り繕ったり
ひねくれたり
不自然なものは難しい

不必要に飾らない
まるくてやさしい
自然なものは穏やかだ

自然なものに身を寄せて
自然なものに磨かれて
自然と心が動く

そういう時間と場所へ
歩み寄る姿勢
忘れないでいる

嘘と|詩

嘘と|詩

嘘は優しさの裏返し
嘘は見栄の裏返し
嘘は本音の裏返し

どこでどんな風に
だれに向かって放つのか
どんな顔で放つのか

咄嗟に出るのか
考えあぐねて出すのか
いつも使うために用意してあるのか

笑うか泣くのか怒るのか
ものすごくバレバレなのか
顔色ひとつ変えないのか

案外自分でも分からない
守りたいものが
静かに隠れている

上手に生きる人はきっと
ほどよく嘘と付き合い
ほどよく世を渡る

消えゆく美しさ|詩

消えゆく美しさ|詩

花は枯れるから美しい
消えゆくものは
見る者を厳しさから遠ざける

なかなか消えぬものは悩ましい
永久に完璧なものなどあるわけもなく
見る者の目は厳しさを増す

長い時を経て消えるその時
どう消えゆくのか
そこに美しさはあるのか

花に実用性を求めず
ものにはそれを求めてしまう
理屈のものさしは時に無力だ

儚く消えるほど寛容で
消えるからこそ完璧で
失うからこそ美しい

深い夜|詩

深い夜|詩

視界が狭まる
夜の時間が好きだ
自分と世界をすり合わせる
静かに息をひそめて

夜はどこまでも宇宙で
自分と世界は
付かず離れずの距離
深く遠く潜る

内側を見つめる
反芻するほど
自分を取り戻せる
不思議な時間

あとの祭|詩

あとの祭|詩

わっしょいわっしょい
外から音がする
気持ちが乗らなかったのは
その輪に入らなかったから

わっしょいわっしょい
音が大きくなるたび
気持ちがささくれる
後悔はない

神輿の周囲は別世界
目の前にありながら
自分とはかけ離れた
遠い出来事

まだまだこの街に
馴染めない
よそ者感は拭えず
他人事の枠を越えない

嫌いにもなれず
気持ちの乗せ場も分からない
それは幽霊のように
辺りを浮遊した

溶けゆく日|詩

溶けゆく日|詩

時折やって来る
何をするにも時間がかかる日
前にも後ろにも進まない

動いているつもりなのに
気づけば行動が脱線し
気づけば日が暮れている

時間が溶けてしまう
溶けるのは
バターやチーズだけで良い

自分が溶けてしまう
溶けるなら
美味しくなりたい

時間も自分も
溶け消えてしまう前に
図書館へ駆け込んだ

溶けてなくなるはずの日は
読みたい本を読み終えた日になった
じんわり嬉しい日になった

1000回|詩

1000回|詩

いつの間にか頂いていた
1000回ものスキたち
みなさまいつも
ありがとうございます

なんとなく
今のわたしがピンと来る
千のつく四字熟語に
手を伸ばしてみました

心の持ちようも感覚も
千姿万態
光のあて方で
見え方も変わります

いつもどこかで
千思万考
素直に率直に
掬い上げたいです

これからも
小さくコツコツ
浮かんだり沈んだり
自分なりに

心地|詩

心地|詩

無闇に干渉されず
それでいて一人じゃない
そういう空間を
わたしは愛している

時が経つほど
じんわりひしひしと
好きが増して
同時によろこびも増す

自立と共生の
重なるところ
無理なく自然と笑える
そういう空間

仕事仲間でもなく
大親友でもない
深い関係を築かねば
そういう圧もない

聞いただけでは
いまいち伝わらない
そこへ入ってはじめて
わかる良さ

自分の心が
静かによろこべる場所

もっとみる
気持ちの置き場|詩

気持ちの置き場|詩

明るく振るまう時は
自分から遠く遠く
放り投げて
風呂敷を広げる

暗い時は
文字通り真っ暗
どこにあるのか
さっぱり分からなくなる

明暗なく落ち着いた時は
自分の真ん中に
しっかりと守られて
存在している

気持ちはころころと
辺りを移動する
遠くなったり
近くなったり

明るさばかり重視して
あんまり遠くへ投げても
はたまた明るさ忘れて
暗くなりすぎても

どちらにせよ見失いそうだ
気持ちは

もっとみる
存在|詩

存在|詩

食べたいから生きる
生きたいから食べる
食べるよろこびは
身体がよく知っている

笑わないと
心が死んでしまうから笑う
死にたくはないけど
死ぬほど笑いたい

聴くから音楽になるし
音に浸りたくて
溺れたくて
心を洗いたくて聴く

時折
自分でも驚くほど
静かに
心を救うように泣く

いつもの自分を保つため
なくてはならないものだから

美味しく幸せに食べて
笑えるだけ笑って
音楽を聴いて
しとし

もっとみる
夏のあさ|詩

夏のあさ|詩

デーデーホーホー
鳴き声がきこえる
気だるい朝

目覚めると
ここぞとばかりに張り合う
扇風機と蝉と工事の音

デーデーホーホー
あれはどうやら夢のなかで
鳴っていたようだ

名をキジバトというらしい
群れない孤高のハト
なんだか妙に親近感が湧く

いつの間にか
夢のそとでは鳴らなくなった
都会は窮屈なのだろう

デーデーホーホー
鳴きたいときに鳴ける
あいつがうらやましい

眩しいひと|詩

眩しいひと|詩

涼やかなのに眩しくて
同じ地球にいるはずなのに
違う世界にいるような
そういう素敵な人

可愛らしくて
それでいて甘くない
選ぶものも洒落ていて
自分の似合うを知っている

見た目だけじゃない
内面の素敵も見え隠れする
飾らない言葉
気さくな空気

うっかり意味もなく
自分の内側の暗い部分と
比べちゃうから
近寄れなかった人

今でも思い出せる
そうなりたいところと
そうなれないところの
重なった

もっとみる
光のなか|詩

光のなか|詩

暗がりに差し込む光
空間をつかむための光
どこまで届くのだろう

見えるということは
遥か彼方からの贈りものを
受け取るということ

眩しすぎれば見えなくなるから
決して欲張らないこと
受け取る喜びを分かち合う幸せ

----------

美術館へ向かう間に感じとったことを思い出しながら書いてみた。誰かの想像や創造に触れる時間はとても好きだ。

別の人の目を通して見えている世界を垣間見させてもら

もっとみる