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記事一覧
【随想】結局、女の敵は男ってこと? ―映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』が提起した歴史の新解釈―
世にもドラマティックな女の戦いを、現代に再現する意義今をときめくアイルランドの女優、シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)にどハマリして2年目。昨年日本で公開された映画『アンモナイトの目覚め(原題:Ammonite)』(2020年)を観て以来、彼女が出演している作品という作品を見まくってきました。
そして遅ればせながら、今回観たのが『ふたりの女王 メアリーとエリザベス(原題:Mary
【随想】秋の夜長にホラーな歌をあなたに…… ~「あわて床屋」をめぐる一考察~
泣く子も黙る、日本一怖い童謡はなぜ書かれたのか?昭和を生きた日本人なら、誰もが一度は聴いた(かもしれない)童謡の、名曲中の名曲。
そう、「あわて床屋」です。作詞は北原白秋、作曲は山田耕筰。1923(大正12)年に発表されました。大正デモクラシーの華やかなりし時代に創られた、奇跡のような一編ですね(マジか)。
Wikipediaには、「カニの床屋と、客であるウサギのユーモラスなやりとりが面白おか
【随想】紅白歌合戦のアナクロニズムと、一人勝ちしたゴールデンな氷川きよし
マンネリ紅白の中にも咲く華がある大晦日に恒例の「NHK紅白歌合戦」なる国民的行事に参加しなくなって十数年。たいていは裏番組の「東急ジルベスターコンサート」を見ているか、あるいは実際にカウントダウンコンサートに行っているかのどちらかである。理由は簡単。ひとえに紅白歌合戦がつまらなくなったからだ。(念のため言っておくが、中学卒業まではご多分に漏れず、一応この国民的行事にも律儀に参加していた)
それで
【随想】映画でも健在、『ダウントン・アビー』の華麗なる群像劇
日本での公開翌日、深夜に『ダウントン・アビー』を見る会を決行しました。ドラマ(シーズン1~6)のファンのみならず、英国歴史マニアの間でも前評判の高かった映画版です。なるべくネタバレしないように振り返りたいと思います。
誰もが主人公となり得る史劇エンタテインメントその贅を極めた華麗さと緻密な歴史描写において、同じく貴族社会を活写したルキノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』にも匹敵するほどの完成度の高さ
【随想】人生は音楽だ!
昨日、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートをテレビ中継で見たばかりだというのに、今日も懲りずにサントリーホールで開催の生演奏コンサートに足を運びました。
普段は、いささかチャラい感じがしないでもない明るく軽やかなウィンナーワルツなど全く聴かないくせに、新年ともなると、やはり心が浮き立つのでしょうか。昔は「悲愴」をお供に、一人で平気に年越ししたものです(暗)
本日演奏のウィーン・フォルクスオ
【随想】自らの魂に忠実に生きる ―19世紀の女性詩人(1)―
年末年始の日課として、日中は大掃除に原稿書き、あるいは外出して“アート系のものに触れて帰る”というルーティンを繰り返していますが、夜には19世紀の女性文学者を描いた映像作品を好んで見直しています。
まずは、エミリ・ディキンスンの伝記映画『静かなる情熱』(原題:"A Quiet Passion")。
これほど自らの魂に忠実に生きた女性がいるでしょうか。19世紀の抑圧された旧弊的な価値観の下で、ほ