見出し画像

【随想】耐える勇気とともに ―19世紀の女性詩人(2)―

続いて、『ブロンテ姉妹』(原題:"Les Sœurs Brontë")。彼女たちは小説だけでなく詩も書いていましたから、ここではあえて「詩人」と呼びます。

本作はフランスが制作したため、全編がフランス語となっていますが、語学に堪能だった才女の三姉妹のことですから、あながちあり得ないシチュエーションではなかったのでは。何といっても、ガヴァネスですから……(萌える!)

陰鬱なハワースの荒野が、彼女たちの感性を磨き、精神を形成したといっても過言ではありません。孤独は不幸ではない。むしろ、何かを生み出そうとする者には不可欠な境遇であり、また才能でもあります。暗さに満ちた人生のように見えますが、それどころか彼女たちは、内なる火花を秘めて華々しかった。そうでなければ、『ジェイン・エア』や『嵐が丘』などの名作は生まれ得なかったでしょう。

過去のブログで、エミリ・ブロンテの詩一篇「Riches I hold in light esteem(富は問題にならぬ)」を紹介したことがあります。最後の一節「With courage to endure(耐える勇気とともに)」は、ウェストミンスター寺院にある記念碑で、シャーロット、エミリ、アンの名前と共に刻まれた引用句にもなっています。

耐える勇気とともに――。彼女たちの人生をこれほど端的に言い表した言葉が、他にあるでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?