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農的マインド

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農的な事に関して考えたこと、思うこと
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農と哲学

農と哲学

以前「どうして農業やってるんですか?」と聞かれたことがある。会話の流れから、就農するきっかけというより今でも続けている理由に近い質問だったと記憶している。質問者からすれば体力的にもきつく、その割に儲からないというイメージから不思議に思ったのかもしれない。その時私は上手く答えられなかった。

以前の記事でも少し触れたが、農業を続けている理由はいくつかある。自分が野菜を育てたという達成感もある。美味し

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育苗の水管理、葉先の水玉が語るもの

育苗の水管理、葉先の水玉が語るもの

育苗をしていると、葉先に綺麗な水玉が付いていることに気づきます。 これは、土の中の水分が多く、吸い上げた余分な水を葉先から出していると聞いた ことがあります。

たしかに、その時は土に含まれる水分が多そうに思いますが、日中晴れて乾燥が 進むと、夕方にはカラカラに乾いていることもあります。特にトレーで、苗の一つ一つが 区分けされている場合、空気にふれる面積が増え、乾き易くなります。

先入観や思い

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自然と一体化するための独り言

自然と一体化するための独り言

畑仕事をしていると、独り言が多くなる。

誰かと一緒に作業をしていれば別だが、自然の中で一人でいると、心と自然が一体化して内に留めていた思いが外に溶け出てくる。 ある種の瞑想状態かもしれないが、言葉を持たない存在との会話が始まる。

「おはよう。今日は良い天気だね。水は十分あるかい?」

植物に対する問いかけでもあり、自分に対する問いかけてでもあるのだ。 声に出さずに考えるだけでは、周国の環境と同

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働く菌や微生物

働く菌や微生物

土には微生物や菌がたくさんいます。目に見えないだけで、生きて存在しているんですね。

微生物にも空気を好む者や好まない者という様に特徴があります。畑に残査をドカッと捨てると、その部分は乾燥しにくくなり、 水分が多くなります。従って、その環境を好む菌や微生物が増えます。
この菌や微生物の多い場所に野菜を植えると、植物の根は水も必要ですが、空気も必要とするので、彼らとの相性は悪く生育に影響が出るでしょ

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見守る温かさ

見守る温かさ

私は動物と一緒に暮らしていますが、ふと思う事があります。一緒の空間にいても、私がスマホを見ていたり本を読んでいたりすると、彼らはつまらなそうにこちらを眺めています。何もせず声を掛けて意識を彼らに向けるだけでも、不思議とテンションが上がり、嬉しそうにかけ回ったりします。きっと一緒にいて、見てくれているだけでも嬉しいんでしょうね。

思えば自分にも思い当たる節があります。
幼い頃、おばあちゃんの家に行

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歳相応の働き方

歳相応の働き方

体力的な衰えはスポーツ選手ほどではないものの、どんな職業の人も30代後半から40代にかけて強く感じるのではないでしょうか(50代は未知の領域です)。

私の仕事は農業です。30代前半から今の仕事に就いていますが、始めた当初は雪の降る極寒の環境でも、真夏のうだるような暑さの日でも体は順応できていました。しかし40歳あたりから、以前の動きが出来ないのはもちろん、風邪をひき易くなったり、関節に痛みが出や

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誰かの力を借りる

誰かの力を借りる

会社は組織で、会社員である以上、会社というチームに属していることになります。そのチームの中で自分の役割を果たしつつ、仲間の助けも借りるというスタンスは大事だと思ういます。フリーランスのように個人で活動されている方も、誰かの力を借りて仕事をこなしていると思います。
例えば、フリーランスのカメラマンが自分の撮影した映像を作品として出すとき、編集者が必要になります。簡単な編集なら自分で出来るかもしれませ

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水みちをつくりながら思うこと

水みちをつくりながら思うこと

私たちが日常的に使っている力に、重力があります。上から下に物が落ちる。いたってシンプルですが、とてもありがたい力ですね。重力がなければ宇宙空間と同じでふわふわと漂い、位置が定まりません。上から下へ流れる、転がる、そういったことがないと流しそうめんも出来ないし、パチンコもできない(私、パチンコしませんけど)。意識していないだけで、すごい力が身近にあるんですね。

今日はここ数日の雨で、圃場に溜まった

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気象予報とその結果

気象予報とその結果

一般的に気象予報は気にすると思います。でも今日の天気はどうだったかという結果はあまり気にしないのではないでしょうか。
私は農業関係者のため、予報だけでなく、結果も気にします。決して予報が当たった、外れたという比較ではありません。農業者にとって、日照や雨量は関係してくるからです。(精密にデータ分析をしているわけではありません。)

私が普段、記録として参考にさせてもらっているのは日本気象協会のten

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育苗で気になる霜

育苗で気になる霜

野山に草花が咲き始め、春を感じる陽気になりました。
オオイヌノフグリの咲くのを見て、いつもより早い気がするね。今年は春が早いのかな。なんて会話もされますよね。
確かに早くに暖かくなるのかもしれません。
が、しかし、注意が必要なのは霜です。霜にあたると枯れる可能性があります。植物にとってダメージが大きいです。
育苗する際に、霜が降りそうなときにはトンネルをすると良いようです。
また、水稲の育苗で裏技

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雪が少ないと水稲の水不足が心配

雪が少ないと水稲の水不足が心配

今日の窓の外は雨模様でした。今年は暖かい日が多く雪も少なかったように思います。寒さが和らぐと身も心も楽なのですが、寒いときには寒いなりに、寒さの必要性があると思います。

田んぼをしている近所のおじいさんの話では、冬に雪が少ないと夏場に水が少なくなるそうです。雪が積もることで雪解け水が地中にじわじわしみこんでいき、春夏にかけて山に蓄えられたれた水がゆっくりと流れ出してくるのでしょう。
また、植物に

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オペレーターの仕事は性格が出る

オペレーターの仕事は性格が出る

私は農業機械のオペレーターをすることが多いですが、他の人の前工程を担当する際に気をつけることは、後に続く人はどんなことを思って私の仕事を見るだろう。ということです。

作業工程が早い位置にあるとき、その影響は後工程に大きく影響します。例えば野菜を作るのに、耕すことをいい加減にすると、種をまく時に土をかぶせにくかったり、大根などの、根ものだと二股のものが増えたりといったことがおきます。

マニアック

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ひと味違う。上質なオペレーション

ひと味違う。上質なオペレーション

私はトラクターなどの農業系作業機の運転をしますが、オペレーターの仕事をする上で、重要になってくるのが、その作業の本質をつかむことだと思うんです。
ただ運転するだけであれば、入社一ヶ月の新入社員でもきちんと指導すれば運転できます。しかし、そこでただ作業するだけになると、後から結果をみて「ちょっと違うんだけど・・・」ということになりかねません。

何のための作業なのか、依頼者(会社員であれば社長や上司

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農的冬季の注意ポイント

農的冬季の注意ポイント

そろそろ冬に備えて気をつけておきたいポイントを書いておきます。

①トラクターのラジエーター水をチェック。
専用のラジエーター水を使っていれば大丈夫と思いますが、水道水を使っている場合は凍るので入れ替えが必要ですね。

②水抜き。
蛇口にホースをつけっぱなしにしていると、凍って使えません。
また、ポンプや動噴機など、水を扱う機械では凍結による膨張で、機械が破損します。ドレン抜きなどの対応しておきま

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